クレイジー・キム、フィジー選手を2RKO
・・・というと、また怪しいポリネシア選手を倒しただけかと思われそうだが。
いやぁ、なかなか緊迫感あるKOで御座いました。
2008年3月18日、後楽園ホールで行われたノンタイトル10回戦
東洋太平洋Lヘビー級王者クレイジー・キム(ヨネクラ)vsビトリ・ナタワケ(フィジー)は、
キムの第2RKOで終わったワケだが。
クルーザー級出身のナタワケは、なかなかガタイが良く
前回の「腰引け」「足細」「カバリング中心」のフィジー人とは違い、初回の先制はスピードと迫力あって驚かされた。
上半身は筋骨逞しく、胴回りはスッキリ、脚も程よく肉が付いてるナタワケ
一桁の戦績に反し「こりゃ強敵かも」と思わせたが
キムは、体勢を立て直し、いつも通りのノラクラ・リードとボディアタックを敢行。
ラウンド終了間際、ナタワケの右に合わせた右ストレートのカウンター、一閃!
これ一発でダウンをスコア。
ここを終了ゴングで救われたナタワケだったが
次のラウンドには、揉み合いからの左右フックで腰砕けダウン。
クリンチで少し持ち直し、捨て鉢な攻撃に出るナタワケに、身体ごと左ボディーを叩き付けるキム!
フィジー人は、これで悶絶。10カウント聞いた後も横たわったままだった。
結果は見事な2RKO勝ち。
次戦は4月に豪州で予定されているキム。
WBAライト・ヘビー級王者ダニー・グリーンの防衛戦と同リングでPABA戦を行うとか。
これに勝って念願の世界挑戦(グリーン戦)が期待されるキム、今年が最後の勝負になりそうゆえ、頑張って欲しいトコロ。
今日も北は(ほぼ)満杯だし、客を呼べるボクサーであるキムに朗報が届きますように・・・
その他、この日の後楽園ホールでは趣向の違う催しあり。
雑誌「Woooooo!(ウォ―――!)」を発行するマガジンマガジン社が興行を協力している関係で
同社が出版した「小説/西口プロレス」のアントニオ小猪木とジャイアント小馬場がリングに登場。
ボクシングファンの微妙な視線を浴びながら、西口プロレスのネタを披露していた。
「帰れ!」の声にも
「仕事で来てんだぁ、コラァ!」とやり返し、「細かすぎて伝わらないものまね選手権」で披露するようなネタを連発。
一部のファンを喜ばせていた。
さすが、キムのファンは心が広い。
(昔は、もっと「他の格闘技へのアレルギー」が強かったからねぇ)
色々な意味で面白い興行だった。
日本ランキング常連の土居伸久(ヨネクラ)が登場するも。
「コロニータ」なるミドルネームをくっ付け、ポンチョ風のガウンを羽織りリングイン。
改名第一戦も、いつも通りの「上手いが動きすぎて自分のパンチも不的確」な判定試合を披露した。
客席からは「コロニータ!」の声が飛ぶが。リングネームの由来はナゾのままだった。
メキシコ修行の経験ある知人は「“フラッシュ”の意味じゃなかったかなぁ」と推測していたが。
また、6回戦では、ヘビー級の試合も行われ、アベジムの竹原真敬が、オサムジムの相澤健治を最終ラウンドでTKOしたが。
力量差あるのに、なかなか詰めに行かず。最後は、やや まとまったパンチがヒットしたトコロで唐突にレフェリーが止めた印象。
勝者インタビュー中、リング下から山中トレーナーに「(お客さんに)謝れ!」と叱咤された竹原選手。
アベジムvsオサムジムのヘビー級対戦なのに、なぜかアベジムの選手の方が「洋介山」ぽかったのが面白かったな。
体重水増しで身体がダブついてた相澤選手に較べ、均整の取れた竹原選手。
日本のヘビー級であれだけ動けるなら大した物だと思うが、もっと思い切りやパワフルさを増して欲しいねぇ。
相澤選手も、中に入って攻めるしか打開の方法が無い状況に見えたが、攻める姿勢が足らず。単調な左右フックに終始。
「重量級のパンチ」を警戒し合う展開だった。変なところに「重量級ゆえの弊害」を感じた一戦でもありました。
オサムジム選手なのに「宇宙パンチ」も無かったなぁ・・・。
また、4~6回戦では「カオス江崎」や「キューピー金沢」といった珍リングネームも登場。
好きだなぁ「カオス江崎」。
一緒に行った元同僚は「カオスって・・・なんなんでしょうね」と困惑していたが。
いやぁ、「混沌」「混乱」「コンフュージョン」。
「混沌こそが我が墓碑銘」(←それは違うから)
ウフフフ・・・
「やはり前座はこうでなくては」と好事家の私を喜ばせてくれた。
そんな意味でも
やっぱ生観戦は面白い。
3/18興行の第一戦
バンタム級4回戦「近江真人(ヨネクラ)vsカオス江崎(浜松堀内)」
カオスのリングネームばかり取り上げてしまったが、
デビュー戦ながらアマチュア経験を感じさせるサウスポー近江のバランス取れたボクシングも良かったし、
2勝4敗のファイター・カオス江崎も、雑草魂を見せて前進を止めなかった。
良い試合でした。
そして
最終ラウンドが終わって採点が発表されるまでの間、実に興味深い発表があったのだ。
第4R、近江が放った左ストレートがカウンターとなり、カオス江崎が蹴つまずいたように倒れたのだが。
なんと、島川レフェリーはヒットした瞬間を見逃したのか、「スリップ」の裁定を下し、会場をどよめかせていたのだが。
我々も、「ありゃりゃ、採点はダウンが無くても近江に行く内容だけど。あれをスリップにされちゃ選手も堪らんなぁ・・」と話し合っていたのだが。
なんと、リングアナが
「レフェリーはスリップと判定したが、あれはダウンであるとして、最終ラウンドは『10-8』である」事を発表したのだ。
相撲の「物言い」ではないが、ラウンド終了後に協議され、レフェリーの裁定が覆されるという驚きのシーンだった。
昔は、「絶対に」「意地でも」引っくり返される事は無かったのだが。
変わったねぇ。
良い変化です。
裁定の変更を受け入れた島川レフェリーも立派と申し上げておこう。
また、
安河内剛事務局長をはじめとした、JBCの方々の前向きな「改革意思」の表れとして、
その姿勢も称えておきたいと思います。