あるBOX(改)

ボクシング、70年代ロック、ヲタ系、日々の出来事などをウダウダと・・・

黒澤明映画上映イベントに行く(4)

2018年01月20日 | 生活
持ち時間20分、フルに語る岩瀬氏。
相手の女性は相槌程度。

『羅生門』を見て「映画音楽家になる!」と決意したのが佐藤勝。
音楽教育を受けた上で早坂文雄唯一の内弟子となった。



「七人の侍」の時は、早坂の下でオーケストレーションを担う。
もう一人、机を並べたのは武満徹!
録音には2人とも立ち会わせて貰い、最高の勉強となったとの事。
※普通は20代の作曲家の譜面が演奏されるなんて無いゆえ…

早坂文雄急逝後、黒澤映画の音楽を担当するようになった佐藤勝。
当初は黒澤監督の要求に苦しんだが、4作ほど重ねて互いの意志
伝搬が向上。

既成曲のイメージ無しで完成したのが『用心棒』!



海外における日本映画評価の先駆けとなった『羅生門』は芸術作品
でもあったが。
『用心棒』は、まさに痛快な時代劇!

気の向くままに旅をする浪人(三船敏郎)が立ち寄ったのは、二つの
ヤクザ勢力が対立している宿場町。

自らを桑畑三十郎と名乗る彼は、両方の親分に自分を用心棒として
売り込みつつ、双方を巧みに争わせ、大掃除を目論む。



出演は三船敏郎、仲代達矢、東野英治郎、山田五十鈴ほか。

おもなテーマは4曲。時代劇にEギターを取り込んだり、打楽器のみの
曲あり。非常にモダンな雰囲気もある映画音楽が全編に流れる。

オーケストラからヴァイオリンを抜き、従来にない音域を楽器と
演奏者に強いるスタイルは新たな緊張感を産んだとか!
※ストラヴィンスキーの「春の祭典」ですか!?

「さぁ、その辺を踏まえて『用心棒』を観ましょう」



黒部ダム映画用の曲を転用したという用心棒テーマを始めとして、
仕掛けが効きながら単純明快な劇伴が映画を盛り上げる!

日本映画最高とも言える殺陣を経てエンディング。
やっぱ面白い!

「終」の文字で思わず「うん!」と頷いてしまった私。
期せずして場内に拍手が。

凄いなぁ、上映会で拍手が起きたよ!
皆さん「やっぱ黒澤すごい」「おもしろい!」と改めて感じ入ったの
ですね。



会場は小ホールとはいえ2階席まで埋まっており、満員とは言えない
までも、それでも充分すぎる観客数でした。

この娯楽大作は国内外で人気を博し、海外でのリメイク化も度々。
米アカデミー賞作曲賞にノミネート!

楽譜を送るよう言われた佐藤は、(その革新性ゆえ)「目茶目茶な
スコアだから『音楽を知らん奴が書いたようだ』と言われないか」
心配していたそうな。



ただ、残念だったのが若い観客が見当たらなかった事。
20~30代どころか40代の姿も殆ど・・・。
若い人にこそ観て欲しかったよなぁ~。

ちなみに『用心棒』は35mmフィルム上映で。
ワイドスクリーンでの立ち回りの迫力に圧倒されましたよ。

さらに映写機が回る音が場内に響くのも感激で。
一瞬の暗転に合わせて「ガシャン」なんて音も聞こえて来て、
「あっ、今フィルム・チェンジしたのかな?」なんてワクワク
させてくれました。
※そういう意味でも良かったなぁ…


そんな事を考えながら表に出ると、すっかり外は暗かった。

練馬駅までの道程はイルミネーションが綺麗でしたよ。
※クリスマスからずっとなのかな?



練馬アニメカーニバル以来の「ココネリ」も、イルミネーション越しに
見上げて感無量。

あの時に見聞きした事が、そのまま続いているよね…。

また、何かの機会に練馬文化ホールには来たいですなぁ。

黒澤明映画上映イベントに行く(3)

2018年01月20日 | 生活
練馬文化センター「映画音楽の名作を観る」。
トークは元東宝の音楽プロデューサー岩瀬政雄さん。
ゴジラ音楽コンサートにも関わり、黒澤映画サントラBOXも
手掛けた方。



トークは、まず 岩瀬氏の自慢(?)から始まった。
「僕は黒澤監督に『バカヤロ~!』と言わた事があります」

そして東宝映画の音響効果を担った三縄一郎さんが昨年末
99才で亡くなった事を悼まれた。



三縄一郎さんは、ゴジラの鳴き声や、「刀で人を切る音」を
考案したと言われる人。

黒澤監督に「時代劇で人を切る音が欲しいんだよなぁ」と
言われ、あらゆる肉を買ってきて試し切り、最後は鶏肉の
中に割り箸を仕込んで切って「コレだ!」。

チャンバラに、新しい音が生まれた。トーキー映画創世期に
あらゆる音響を生み出した立役者だったとのこと。



そこから話は『羅生門』へ。
「久々に大きな画面で見て圧倒された。やはり凄い」と。

岩瀬氏は「自分は音の人間だから、映画を見る場合も音を
気にする」として、『羅生門』の前半~終盤の音入れの差、
終盤の「無音」によって生まれる圧倒的緊張感を称賛。



また、時々鳴く「鳥の声のタイミング」を絶賛!
とにかく絶妙なのだそうです。

ボレロ調の曲は、やはり黒澤監督が「ラベルで」と言って
しまってた…との事。ああ酷い。



なんでも思い通りの映画監督だが、音楽だけは人が作った物
待ちの状態。

~とはいえ「どういう曲で」というイメージは伝えたいから
結局はクラシックの名曲の題名を言って「ああいう感じで」
「しかも、もっとイイ曲を」。

「これは作曲家側からすると、本当にしんどい」
岩瀬さん、やっぱり『音サイドの人』です。作曲家さんへの
同情がありありです…。

(続く)

黒澤明映画上映イベントに行く(2)

2018年01月20日 | 生活
練馬文化センターの 「映画音楽の名作を観る」。
黒澤明特集。



まず『羅生門』。
さすが記憶力の無さに定評ある私、けっこう忘れている。



舞台は平安時代。
天災、飢饉、戦乱、疫病、犯罪、強奪で荒んだ京の都。
盗賊・侍・その妻を巡り、検非違使の取り調べ現場と
当事者の回想、目撃者の思いが交錯する。



役者は最小限。
取り調べ役は登場もせず、セリフもない。
当事者の供述が舞台演劇のように続く。

そして朽ち果てた羅生門。
そこで取り調べを回想する、杣売りと旅法師。
3日前、薪を取りに山に入った杣売りは、侍の死体を発見。
参考人として検非違使に出頭したのだった。



当事者の話が全く違ったと、慄く杣売り。
もう1人の下人がゲス丸出しの好奇心で話を聞く…。

イタコのような巫女の口寄せで、死んだ侍も証言。
それぞれ見栄を張った証言を続けるも、実際はいずれも
現実とは異なり、全員がエゴを露呈した遣り取りの末、
見苦しく刀を振り合う沙汰だった…。



前半、音楽は効果音兼用。
役者の動きに合わせて音も躍動する。

中盤は心理描写。
終盤は無音のシーンも。検非違使の取り調べはボレロ…。

まさにラベルのボレロを思わせる曲調。
黒澤監督は既成曲をイメージとして伝え、「それより良い
曲を」と要求するタイプ。

これは一番キツイ。
今回見た私は「笙の音色など、平安を思わせる効果を
果たしていたし、ボレロでも日本的な音を被せて精一杯
努力されているよなぁ」と感じた。



「羅生門」は、その芸術性ゆえヴェネツィア映画祭の
金獅子賞を獲得したが
※口寄せシーンとか外国人には珍しかったろうからな

音楽の方は「どこかで聴いた曲だ」と貶されたとか…。
そりゃ作曲者の早坂文雄さんに酷ですよ。

黒澤明映画上映イベントに行く(1)

2018年01月20日 | 生活
「この世界の片隅に」大ヒット感謝祭で訪れた練馬。
文化センターの建物には近々予定ののイベントが
掲げてあった。



「映画音楽の名作を観る」
上映作品は黒澤明監督の『羅生門』と『用心棒』。
小ホールとはいえ、『羅生門』はデジタルリマスター版。
『用心棒』は35mmフィルム上映!



トークコーナーもあり。

ゲストは岩瀬政雄氏。
元東宝レコード・プロデューサー、元東宝ミュージック
社長を務めた人。



数多くの映画製作に音楽プロデューサーとして関わり、
CDBOX 「黒澤明完全盤」等を制作。

2014年に「ゴジラ」完全上映全曲演奏コンサートを
プロデュースした人。

どんな解説してくれるのか、楽しみ。



『羅生門』作曲の早坂文雄は伊福部明と同郷・同年齢。
そして映画音楽に誘った人物。

温厚で監督と喧嘩する事もなかったので(笑)、黒澤に
愛されたという。



『用心棒』の作曲は、弟子筋の佐藤勝。
早坂亡きあと黒澤作品を支えた人。

黒澤映画の他にも多数の作品を担当。日本映画の音楽に
貢献されている。



場内は全席指定 1,000円(1日券)※2本立て
チケットは予約済み。

練馬区の文化事業だが、在住者以外も観覧可能だったので
TwitterにもUPしてたのですが、さぁ区外から来た方は
居らしたのでしょうか?



問題は土曜の昼という、魔の時間帯。
イベントに出かけても仕事疲れで睡魔に負けるパターン多し。
長丁場だし、厳しいかなぁ…と。

心配しながらの練馬詣でとなったのでした。