じゃ、僕の話をします。

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東京赤坂にて「室町砂場」の暖簾を潜る。

2016-06-07 | ラーメン・蕎麦・うどん

東京と言えば蕎麦。

名店が数々あると昔から聞き及んでいてですね…

その蕎麦の名店の中の、ひとつでいいから一度は行きたいなと、昔から常々思ってた訳です。そんなお店の暖簾を潜るのが憧れでした。

でも、今回の東京滞在中にはスケジュール的に無理かなと諦めてたら…

あった。

泊まってるホテルのすぐ近くに。

思わぬ誤算とはこのことで。

朝にホテルの近くを散歩してたら、老舗「室町砂場」が目の前に。

急遽少し予定を変更して、こちらでお昼を食べることに。

「天もり」で有名なお蕎麦屋さんです。まずはこれを食べなきゃ始まりません。

温かな汁にかき揚げが入っていて、これに冷たい蕎麦を浸して戴く。

この佇まいからして蕎麦好きにはたまらないかと。

当然のようにビールもいただいてたのですが、このつけ汁だけでアテになります。

それにしても、何故に蕎麦屋さんの天麩羅はお酒にピッタリなのか。天麩羅屋さんとは違い、まさしく「アテ」。

この天もり。しっかり揚げられたかき揚げの、まだ汁に浸かってない部分はカリカリとしていて、海鮮の旨みが香ばしさと共にほとばしる。

一方の、汁に浸された部分はしっとりとしていて、噛むと蕎麦つゆをたっぶり含んだかき揚げからは、ジュワッと蕎麦つゆの風味とその旨みが一気に溢れる。後から拡がる、揚げ油の香りは食欲を煽る。

あ、アレです。

「どん◯衛」の天そばの、後乗せかき揚げ。あれのとんでもなく凄いやつ。

蕎麦マニアの方からは怒られそうな例えですが(笑)。

念のため、僕は「ど◯兵衛」もあのお値段であの味わいというのは、とんでもなく素晴らしいとおもってますよ。本当に。

閑話休題。

ビールがすすみます。止まらんのです。

そして徐ろに、それを突き崩した所へ蕎麦を浸して啜れば、あらゆる旨さが蕎麦の香りと渾然一体となって口に雪崩れ込む。

…うっとり。

もちろん、蕎麦屋さんならではのつまみもあります。


メニューには「わさび蒲鉾」と。いわゆる板わさですね。お通しが茹でた空豆というのも渋い。

これでゆっくりお酒をいただいてから、天もりを楽しんだわけです。

ただ。

江戸の蕎麦文化のひとつなのか、蕎麦の盛りはかなり少なめ。

「あくまで小腹を満たすのが蕎麦なので、蕎麦でお腹いっぱいにしてはいけない。少しお酒をいただいて、サッと蕎麦を手繰るのが粋。従って東京の蕎麦は盛りが少ない」

と、いう話も聞いたことがあったのですが、本当にザルの上にうっすらと盛られた感じ。北海道の盛り蕎麦の半分くらいで、これが江戸っ子の蕎麦なのかとしみじみ。

えーと。

…まぁ、それはそれとして。
(^_^;)

江戸っ子ではないのでいつも通り、蕎麦で腹をとことん満たそうかなと。

しかも、こちらのお店、「もり」と「ざる」で蕎麦自体違うのです。

なので、当然追加。

「別製大ざる」です。確かに違う。こちらの方が噛み応えがありました。蕎麦の風味や歯応え、喉越しを楽しむならこちらの方がいいかも。

これぞ江戸の蕎麦、といった堂々たる風格。

で。

こうなると温かな蕎麦も食べたい。

花巻を追加。

蕎麦つゆの風味と溶け合いながら立ち昇る、海苔の香りがたまらない。

最初は別盛りの葱は入れずに。この香りを十分堪能しつつ、半分くらい食べたところで葱を。鮮烈な葱の自己主張を楽しみながら、汁も残さず完食。

花番さんもこのころには「よく食べるな~」という表情でしたが(笑)、今までいただいてきた蕎麦はまさに一期一会。またこちらのお店に来ることができるかどうかはわからないので、後悔しないように全力でいただきました。

それにしても、花番さんの雰囲気も素敵でした。

「いらっしゃいまし」とお客を迎えるのが伝統なんですね。それだけでワクワクしてしまいました。

接客も、例えば最初の天もりとわさび蒲鉾は、ビールと共に同時にオーダーしたのですが、まずわさび蒲鉾を出してくださり、花番さんは僕がビールを飲みつつ、おつまみを食べ進めていくスピードをさりげなく察しつつ、絶妙なタイミングで改めて天もりのオーダーを通してたんですね。

で、その結果見事に、僕がおつまみを食べ終わった瞬間に、出来上がったばかりの天もりが目の前に。

ジャストミートなタイミング。素敵。

これは今となっては、中々他のお店では体験できないおもてなし。この「察し」をしてくださるお店、僕はとてもありがたく感じます。

これもまた、長く続く江戸の蕎麦文化を継承するお店の横綱相撲、ってやつですね。


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