父は、愛する娘へ物語を書き続けた。
約束を果たすために…。
ニューヨークを舞台に、少女の成長を通して、
父と娘のかけがえのない絆を
カーペンターズの「Close to You」に
のせて描かれます。
車の中で幼い娘も同乗していながら妻に責め立てられ、
運転を誤り事故を起こしてしまうジェィク。
妻は亡くなり、肉体だけでなく精神的にも損傷を受け、
後遺症から痙攣にも苦しみ耐える日々が続くことになります。
父ジェイクを演じるにのは名優ラッセル・クロウ。
小説家としての仕事をこなしながらも娘を愛し、
娘を手放したくない思いから懸命に生きる父親役を熱演。
子ども時代の娘(ケィティ)を演じるカイリー・ロジャーズの
健気で可憐な姿には目が離せなくなり、
誰もがこのような娘が欲しくなってしまうでしょう。
事故で負傷したパパを心配し絶叫、
公園でのパパとの自転車競走では茶目っ気たっぷり、
お迎えが一番最後になってすねたり、
サプライズバースデーでは満面の笑み、
博物館で見掛けた母娘を見かけ、母親への想いが募った時の泣き顔、
この演技は今後が楽しみな名子役ぶりでした。
いつまでもこの親子を見ていたかったのですが、
突然別れがやってきてしまうのです。
心に闇を抱えた女性になってしまったケィティ、
自暴自棄になり・・・。
それでも父と一緒に歌ったカーペンターズの
「Close to You」を思い出し、自分を取り戻していくのです。
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いつまでも一緒にいて見守っていきたかったジェイクの想い、
痙攣を起こし、頭を打ち、薄れ行く意識…
感動ものの名演を披露するそのシーンが蘇ります。
映画館で観ていた時は、その演技力の素晴らしさばかりに
目が行ってしまいましたが、こうしてブログの記事にしようと
「Close to You」の歌詞を考えてみたりすると
小説に込められたであろう想いなど父親の愛に目が潤みます。
「親の心子知らず」と、言いますが、
その想いに気づいたからには本当の愛に目覚めるのでしょう。
母親に愛されていなかったとのではと思われる
ケイティの母やその後育ててくれた伯母も
自暴自棄な生活をしてしまうことの要因なのだと思うと
この物語の奥の深さを感じます。
監督:ガブリエル・ムッチーノ
脚本:ブラッド・デッシュ
出演:ラッセル・クロウ、アマンダ・セイフライド、アーロン・ポール
クヮベンジャネ・ウォレス、カイリー・ロジャーズ
2015年/アメリカ・イタリア合作/116分
まるみの評価は☆☆☆☆
シネ・リーブル池袋
2015.10.8