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'07/07/02の朝刊記事から
沖縄返還密約 米大統領にも報告
公文書館でメモ発見 「利益は6億8500万ドル」
【ワシントン1日時事】沖縄返還に関連して日米間で結ばれた財政支払いの密約に関連し、ケネディ米財務長官(当時)がニクソン大統領(同)に「我々の利益は総額で6億
8500万ドルに達した」と報告したメモが1日までに米国立公文書館で発見された。
金額そのものは既に明らかになっているが、大統領宛の報告が見つかったのは初めて。
日米密約の存在とその内容を米国の最高指導者も知っていたことが確認された。
日本政府は密約の存在を否定し、「沖縄返還協定に明記された3億2千万ドルの支払いがすべて」との説明を繰り返している。
このメモの日付は明記されていないが、内容から日米が秘密裏に合意した直後の
1969年11月中旬の作成と見られる。
メモの中で同財務長官は交渉の経過を大統領に報告するとともに、「米国が成功したのは、細かく一つずつ積み上げていく方式ではなく、一括した総額支払い方式を採用したことによる」と述べ、日本側の支払いは具体的な根拠がない「つかみ金」だったことを認めている。
琉球大学の我部政明教授らのこれまでの研究で、69年11月の沖縄返還合意時には、基地移転費用2億ドルや民生用資産買い取りを含む3億7500万ドルの日本側支払いに加え、「予算節約」になった分など総計で6億8500万ドルが米国の利益になったことが判明している。
今回のメモは、この密約が最高指導者へも報告されていたことを意味する。
しかし、財政取り決めには公表できない請求補償費などが含まれたため、72年の返還協定では米資産の買い取りなど日本側から「5年間にわたり3億2千万ドルを支払う」とだけ書かれた。
日本政府は密約があったことも「つかみ金」的な性格だたことも認めていない。
沖縄財政密約
日米両政府は、沖縄返還に伴い発生する財政的な負担について1969年に秘密合意を結んだ。
本来は米政府が負担すべき400万ドルを日本が肩代わりすることなども含まれたため、一切公表されていない。
外務省の吉野文六・元アメリカ局長は最近、「密約はあった」と証言。
密約の存在を示す公電を入手し、国家公務員法違反で有罪となった元毎日新聞記者、西山太吉さんは国を相手取って賠償を求めたが、3月の一審判決で敗訴した。(ワシントン時事)