'07/07/03の朝刊記事から
五輪の陰に住民の犠牲
【北京 高山昌行】来年夏の五輪を前に市街地再開発が急ピッチで進む北京市で、暴力的な「地上げ」が続発している。
5月に約30世帯の住民が引きずり出され、家ごと破壊されたのに続き、6月には、開発業者の手で家の周囲の土地を2-4メートル掘り下げられる事件も起きた。
いずれも立ち退き料をめぐるトラブルが原因だ。
家を破壊された住民は今も、老人ホームなどでの仮住まいを強いられ、周囲を掘られた住民は電気、水道も止められ、自宅には、はしごを使って出入りしている。
住民の生命さえ脅かす無法行為に対し、警察や行政は手をこまねいているのだろうか。
住宅破壊事件で警察当局は、直後に1人を拘束しただけで、その後の捜査は進んでいないようだ。
暴力的な地上げがはびこる背景について「開発業者と当局がぐるになり、業者から当局に賄賂が渡っているのではないか」と見る関係者も少なくない。
中国政府は国の威信をかけ、「五輪成功」を期すが、庶民の犠牲の上に成り立つ五輪なら、成功と言えるはずがない。