KODAK DC4800 ZOOM DIGITAL CAMERA 17.7 mm f/4.76 1/395sec ISO100
’08/04/20の朝刊記事から
愛国主義過熱を警戒
中国反仏デモ 政府 沈静化急ぐ
【北京19日佐々木学】中国各地で起きた反仏デモは、チベット情勢をめぐる欧米の報道や北京五輪聖火リレーの妨害により、「中華民族の尊厳が傷つけられた」という反欧米感情の激しさを物語っている。
中国政府は、愛国主義の過熱が社会の安定を揺るがしかねないとして、抑制に乗り出した。
19日の中国紙「中国青年報」は、国営新華社通信が配信した「自分のことをしっかりやることが最大の愛国」と題した評論を掲載。
チベット騒乱や聖火リレー妨害に怒る気持ちをたたえながらも、「祖国への熱愛を各人の本業をしっかり務めることに転化し、北京五輪を成功させよう」と呼びかけた。
中国当局の宣伝が効き、チベット騒乱も聖火リレー妨害も「ダライ・ラマ(14世)集団と西側諸国の策略」と、多くの中国国民は受け止めた。
当局自ら愛国主義の高まりを招いたとも言える。
武漢の反仏デモは、インターネットや携帯電話を通じて呼びかけられ、事前許可がないにもかかわらず、公安当局は黙認した。
2005年の反日デモと似ている。
いったん火がついた愛国主義運動を安易に制止すると、政権批判に転じかねず、政府も難しい対応を迫られる。
しかし、むきだしの愛国主義は国際社会に再び、「中国が五輪開催国にふさわしいのか」との疑問を呼び起こす。
中国政府も五輪成功への障害と受け止め危機感を募らせており、これ以上のデモ拡大を防ぎ、事態の沈静化を急ぐとみられる。