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小田原駅の隣駅・早川駅。
ここは小田原城【国指定史跡】の最寄駅・・・
ではなく、小田原城を落とすために築城された石垣山城【国指定史跡】の最寄駅です。
豊臣秀吉の天下統一事業・・・これに最後に立ちはだかったのが、関東の雄・北条氏政・氏直父子です。
秀吉は、上州(群馬県)の名胡桃城奪取事件をきっかけに、北条征伐を決意。
諸大名の軍勢を総動員し、関東に進軍しました。
対する北条軍は、家臣の軍勢を巨城・小田原城に集結させます。
他の城は取られてもいいから、まずは小田原を守り抜く。
そして秀吉が撤退してから、取られた城を取り返す。
氏政の父・氏康が、永禄3年(1560年)の上杉謙信による関東進軍に対してとった戦略を踏襲しようとしたのです。
秀吉率いる軍勢は約20万ですが、北条軍が小田原に集結させている軍勢も約8万。
力攻めにしても甚大な被害が出てしまいます。
そこで秀吉は小田原からほど近い場所に城郭を築き、降伏しない限り軍勢を退かない姿勢を内外に示したのです。
この城こそ、石垣山城。
石垣構築のプロ集団・
はじめは木陰に隠れて秘密裏に築き、城郭がかたちとなったところで木を切り倒し、小田原の城兵たちに誇示してみせたといます。
そのさまを見た北条軍は、「秀吉は石垣の城を一夜で築いた」と思い込み、その士気が大きく削がれてしまいました。
さらに有力家臣の内応が発覚するなど北条軍の内部崩壊が始まり、北条氏政・氏直父子は降伏を決断したのです。
世に云う、「石垣山一夜城」のエピソードです。
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スタート地点の早川駅。
ここから石垣山城へのバスはなく、またコインロッカーもありません。
周囲にはレンタサイクルもなさそう。
夏の暑さの中、手荷物すべてを抱えた地獄の行軍がここに始まります。
早川駅の前を走っている国道135号。
駅を出たら、まずは左へ。
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「一夜城歴史公園」に向かうべく、先にある信号交差点を左へ・・・
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信号交差点までは行かずにその手前の丁字路を左折し、跨道橋をくぐります。
草木に覆われてしまいそうな、この看板が目印です。
石垣山城までは2,100メートルですか・・・ゆっくり進んでもだいたい40分くらいでしょうか。
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ほどなく進むと、こんな看板。
公式の看板に従うならば、ここを左折なのですが・・・青いごみネットがかかっている看板によると、石垣山城は細い路地に入って進む模様。
どちらが正しいのか・・・Google Map さんに問えば、細い路地を進むのが最短距離のようなので、こちらを進むことにします。
ここから急坂が始まり、
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5分も歩けば、もう絶景。
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傾斜20%ほどの急な上り坂が、ほぼ終始続きます。
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沿道に民家はなくなり、
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振り返れば相模湾、そして大いなる太平洋。
しかしこの日の小田原市内の気温は、36度。
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文字がほとんど消えかかっていますが、「史跡 石垣山 あと一キロメートル」という案内表記。
使われているのか打ち棄てられているのかわからない小屋のそばに立っています。
体力の消耗甚だしい私は、小屋がちょうど日陰をなしていたので、ここで小休止。
数分後に再び歩き出し、
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舗装された公道との十字路に到達。
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案内看板によると、「石垣山一夜城歴史公園 1,720m」!!
720メートルも上積みされてんじゃねぇか!
ただしこれは、十字路を左に曲がった場合の道のり。
坂道を余計に720メートルも歩きたくない私は、そのまま直進してショートカットを狙います。
しかし・・・36℃の猛暑と、相変わらず続く20%の急坂には勝てず。
私は再び荷物を放り出して、人通りも車通りもない坂道に座り込んでしまいました。
このまま休まずに進めば熱中症にやられてしまい、小田原の山の中で野垂れ死にすることに・・・。
ここは多少の時間を費やしても休憩して、呼吸を整えてから上っていこう。
石垣山まではあと1キロもないんだから・・・多分。
腰を下ろして休んでいると、どこからともなくオオスズメバチが飛んできました。
これは・・・ここで休むのは危険だ。
私はみたび歩き出すことを余儀なくされたのでした。
そして・・・
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舗装道に再会。
傾斜のきつい上り坂は、これにて終了です。
この後も上り坂は続きますが、傾斜は緩めなので、さしたる苦もなく進むことができました。
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道沿いには、「石垣山に参陣した武将たち」の立看板が据えられています。
でもここには武将・・・ではない、淀殿が紹介されています。
難攻不落の小田原城を陥落させるには、持久戦で臨むしかない。
そう考えた秀吉は、参陣した諸大名の苦労を思いやり、その妻を参陣させることを許したといいます。
そして秀吉自身も、側室の淀殿を大坂から呼び寄せました。
淀殿の看板から石垣山までは、あと340メートル。
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ラスボスともいうべき豊臣秀吉の看板です。
石垣山城の築城主が現れたということは、ゴールももうすぐですね。
ちなみに「石垣山に参陣した武将たち」は、8名が紹介されています。
残る6人は、坂の上から順番に千利休、豊臣秀次、徳川家康、宇喜多秀家、伊達政宗、堀秀政です。
秀吉の看板から50メートル。
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石垣山一夜城歴史公園、
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道路を挟んで反対側の「一夜城ヨロイヅカファーム」に到達しました。
登城する前に立ち寄ったレストラン&パティスリー。
その理由は、
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駐車場にある公衆トイレ。
用を足したかったのもありますが、ここにはパンフレット&続100名城スタンプがあるのです。
疲労困憊の中で、スタンプをゲット・・・
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!!!!!
100名城登城から10年余、初めてやらかした痛恨の押印ミス・・・。
でも仕方ありません、改めまして・・・
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126番、石垣山城!
絵柄は・・・「石垣山」らしく石垣に取り囲まれた郭のようですね。
そして「ヨロイヅカファーム」に立ち寄ったもう一つの理由。
ただ単に、疲れた! 甘いものが食いてぇ!
ということで・・・
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店舗内のパティスリーで、ブルーベリーフロマージュソフト(税込380円)をオーダー。
どうやらソフトクリームは季節ごとにラインナップが変わるようで、夏場のこの時季はブルーベリーのソフトクリームが販売されていました。
それから喉が渇いたので、有機アップルジュース(税込120円)も購入。
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ブルーベリーのソフトクリーム、うまい!
ブルーベリーの果実が5粒ほどトッピングされ、もとより色濃いベリーのソフトクリームに良いアクセントを加えています。
この画像をソフトクリーム好きの女王様に送り付けて・・・休憩はここまで。
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豪快に石が横たわっている石垣山城へと、足を踏み入れることにします。
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