敬老の日、早朝の釧路駅。

前日に酒をあおったわりには、じいちゃんばあちゃんよりも早い時刻に起床しました。
早朝ということもあり、ホテルの朝食バイキングは泣く泣くあきらめることとなりましたが、前日あれだけの夕食をいただいたので、まぁいいでしょう。
この日はついに、この旅の最終目的地・根室へと足を運びます。

私を根室へといざなう列車は、5時35分発の花咲線(根室本線) 快速列車「はなさき」です。
停車駅は、東釧路、厚岸、茶内、浜中、厚床と、厚床からの各駅です。
発車時刻が来る前に、釧路駅の中を散策。


まずは駅名標。
本来なら前日に拝んでいるはずなのですが、今回の旅は高速バスを使ってしまったので・・・(T_T)

2番・3番線ホームにたたずんでいるのは・・・なぜか石炭。
あまりイメージが湧きませんが、じつは釧路は夕張、筑豊なき今では日本一の炭鉱の街でもあるのです。
釧路炭鉱は豊富な石炭埋蔵量を誇り、24時間体制で採掘がすすめられているそうです。

石炭の先にあるのは、「釧路驛湿原の鐘」。
釧路炭鉱で採れた石炭をもとにして造られたそうです。
・・・・・・ウソです。

釧路駅3番線に停車中の気動車・キハ54形。
北海道ではめずらしくもない1両編成です。
釧路~根室間は根室本線の中でも「花咲線」の愛称がついています。
(東京~黒磯間の東北本線を「宇都宮線」と呼んだり、京都~大阪間の東海道本線を「京都線」と呼ぶようなものですね)
そしてかわいらしい愛称とは裏腹に、この区間は利用者がとても少なく、JR北海道は単独での運営は困難ということで、花咲線の廃線も検討しているそうです。
それでは、廃線になる前に、花咲線の旅を楽しむこととしましょう。
列車は、私を含め5人程度の乗客を乗せ、日いづる東へと走り出しました。
そうそう、列車の座席ですが、圧倒的に進行方向右側(南側)がおすすめです。

まずは釧路川と釧路の街並み。
この景色をよ~く目に焼きつけておきましょう。
この先、ビルが建ち並ぶ大きい街はもうありません。
車窓から見える橋は、幣舞橋ではなく旭橋。幣舞橋から上流にある2本目の橋です。

釧路駅の隣駅・東釧路駅です。お出口は左側ですね。
ここは釧網(せんもう)本線の乗換駅で、複数の路線が接続する最東端の駅だそうです。
ちなみに複数の路線が接続する最西端はJR佐世保駅(長崎県)、最南端はJR鹿児島中央駅です。
私に先んじて、わが同好会のよね先生が最西端と最南端を制し、それに後れることわずか1日、私が最東端を制していきますよぉ~(^^♪
東釧路駅を出て、
大自然の中を駆け抜ける、花咲線の旅が本格的にスタート。

林の中を列車は駆け抜けます。
ときたま現れる小川や沼が、なんだか美しく感じます。
そして林の中から、あやしい物影が・・・

あっ シカだ。シカでした。
これが唯一のシカ(エゾシカ?)撮影成功画像(T_T)
シカはこの先何度も目撃するのですが、撮影はことごとく失敗してしまいました。
しかしシカだけではないのが花咲線。
この先もさまざまな動物にめぐりあうこととなります。

本州では見られない、北の大地の白樺林。
私が住む関東とは気候がまったく異なることが、植生からもわかります。


白樺林を抜けると、今度は湿原の風景。

湿原の向こうには、大きな農場の建物。
北海道らしい風景が続き、私は車内で眠ることができません。
嬉しい悲鳴とはこういうことを言うのですね。
門静駅を通過すると、花咲線は海沿いへと出ます。

厚岸湾のそばを進む花咲線。

島にかかる橋?
当時はそのように思いましたが、実際は違います。
両岸共に北海道本土、そして橋は厚岸大橋といい、厚岸湾と厚岸湖の境目となっています。


6時21分、厚岸駅に到着しました。
漁師町・厚岸の中心にある駅で、厚岸大橋の近くにあります。
無人駅が続く花咲線の中で、この駅は有人駅。
厚岸駅の次の有人駅は、根室駅、すなわち終点まで駅員はいません。

厚岸駅を発つと、


厚岸湖は、淡水と海水が入り混じる汽水湖。
そして湖沿いには、人の手が加えられていない原生の湿原が広がっていて、ラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)に登録されています。

列車は湖沿いを離れ、湿原地帯に入りました。


花咲線の最大の見どころです。

湿原を飛び回る水鳥。
ツル・・・・・・じゃないよな、多分サギかな?



糸魚沢駅を通過し、別寒辺牛川を越えると、素晴らしき湿原の風景は終わりを迎えます。
6時43分、茶内駅に到着。

なぜかICPO(国際刑事警察機構)職員が私をお出迎え・・・・・・私は何も盗んでいませんぞぉ。

6時55分、浜中駅に到着。

今度は大変なものを盗んでいった怪盗が待ち受けています!
浜中駅、茶内駅がある浜中町は、「ルパン三世」の作者・モンキー・パンチ氏の出身地なのだそうです。
そんなわけで、「ルパン三世」の登場人物たちが駅に立っているのですね。
次元、五衛門、不二子ちゃんは今回残念ながら見つかりませんでした。

浜中駅を発った列車は、車窓向こうに

湿原から離れると、
車窓からは、大きな農場・牧場が目に入るようになります。

7時11分、厚床駅に到着。
ついに本土最東端のまち・根室に入りました!
しかし花咲線のたびは、まだまだ続きます。

牧場。



牧場。

再び海が見えてきました!

太平洋に突き出ている岬は、落石岬というそうです。

落石岬を越え、7時38分落石駅に到着。

太平洋と風力発電の風景。
花咲線は根室半島の先へと進んでいきます。

まわりは林のようですが、海には近い昆布盛駅です。
花咲線(根室本線)には「昆布盛駅」という、昆布がメチャクチャとれそうな名前の駅がありますが、函館本線には山の中にあるにもかかわらず昆布駅という駅もあります。
「昆布盛」の由来は、アイヌ語の「コンブ・モイ」で「昆布の採れる湾」という意味だそうです。
いっぽう山の中の「昆布」は、アイヌ語の「トコンポ・ヌプリ」で「小さなこぶ山」という意味で、昆布とはまったく関係ないのだそうです。
昆布盛駅を発ち、その隣駅西和田駅を過ぎると、

牧場!

この牧場はとても大きくて、お馬さんも悠然と放牧されていました。

北海道ならではの大きな農地。
そのうち列車は根室の街中へと入っていき、乗り鉄諸氏垂涎の駅へ。

日本最東端の駅・東根室駅です!
鹿児島のJR最南端・西大山駅を制したよね先生に後れることわずか1日、私が最東端を制しました。
・・・・・・さぁ、終着の根室駅へ急ぎましょう。


最東端の東根室駅に下り立つこともなく、そのまま根室駅へ。
厚岸駅以来の、駅員さんのいる駅です。

起点の滝川駅から400km以上続いた線路は、根室駅の先で終焉を迎えます。

「日本最東端有人の駅」の表示です。
最東端は文句なく根室駅ですが、最西端は佐世保駅(長崎県)??
いちおう沖縄にも「ゆいレール」という鉄道がありますので、最西端の有人駅は那覇空港駅になります。
佐世保駅はJRグループに限定した場合、という条件がつきます。
根室駅で「最果て」の感覚を大いに得つつ、駅の外へ。

ここから、さらなる最果ての地をめざします。
【今回の乗車記録】
JR北海道 (K53)釧路駅 3番線 5時35分発
■花咲線(根室本線) 快速 はなさき 根室行き 1両ワンマン
根室駅 8時03分着
*所要時間 2時間28分
*移動距離 135.4km *運賃 北海道&東日本パス使用(不使用の場合は2,490円)
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