今日のひとネタ

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映画「サウスバウンド」(ネタばれ注意)

2007年10月08日 | 映画
 原作を読んだばかりなのですが本日映画「サウスバウンド」を見に行ってきました。ということで今日の内容はバリバリの「ネタばれアリ」ですので、映画をまだ見てない人というか予備知識無しで見たいという方はご注意下さい。読まない方が賢明です。

 今回は原作を1週間前に読んだばかりの私と、奥田英朗ファンでどういう話かはちょっとだけ知ってるけど原作はまだ読んでないという妻の二人で行きました。朝9時40分からの回だったのですが、劇場内は200席に対して40人ほど。まずまず話題になってるようです。

 原作のレビューは先日書いた通りですが面白いと思ってます。映画の感想はそういう者のごく個人的な意見として好き勝手書かせていただきますが、率直に言うと「期待が大きかっただけにガックリ来た」の一言に尽きるかと。

 そもそもあの話を2時間程度に収めるには無理があるので、原作のあらすじをサラッとなぞった上で西表島の風景で締めくくったという感じ。不満に感じるポイントとしては、

・追い詰められて東京を離れざるを得なかったという感覚が乏しい
・原作に見られた西表島での生活スタイル、すなわち「お金がなくても住民みんなが無意識に助け合う」という雰囲気が伝わってこない。

の2点に集約されます。一番の問題点は「アキラおじさん」が出てこなかったことでしょう。妻に「話わかったか?」と聞いたところ、やはり「子供がケンカ相手を殴っただけで急に西表島に行かなきゃいけないとこが唐突でわかんなかった」と言ってましたし。

 これ以外に細かい事を言うと、母親の実家の事とか子供の友達関係の事とか長女の出生の秘密とかいろいろありますが。また、アカハチとかガンジンさんとかパイパティローマとかそのあたりももうちょっと突っ込まないと映画だけ見るとわかりにくいのかなぁと。

 役者さんについていうと父親役の豊川悦司はバッチリ。期待以上でしたので文句ありません。ただ、この配役を聞いたために映画全体への期待が膨らみすぎたという弊害もありますが。

 あとは巡査役の松山ケンイチもすごくよかったです。彼はたしか青森出身だったと思いますので沖縄のしゃべり方も相当勉強したのでしょう。今回はわかりやすいキャラクターと言えばそうですが、大げさにやると目立ちすぎるのでさりげなく上手く演じたという印象が強いです。若いうちからああいう雰囲気が出せる人は他にいません。今後素晴らしい役者になるでしょう。

 それと桃子役の子役の女の子。すごく表情豊かで可愛かったです。原作のイメージとほぼ一致して素晴らしいの一言。

 よかったのはここまでで、一番イメージが違ったのは一家の長女役。原作のイメージ通りであればいいというわけではないのですが、屈折していながらももう少しちゃっかりしたというかしっかりした感じがあった方が島で合流した時の安心感が出ると思ったのは私だけ?

 それと「難しいだろうなぁ」と思ったのが母親役の天海祐希。実は原作を読んでも母親がどういうキャラクターの人なのか最後までよくわかりませんでした。そういう意味では演じる方も難しかった事でしょう。

 それと演出の事について。森田監督の映画は伊藤克信がよく出ますが、今回さらに素人っぽいしゃべり方をしてた人は島の一般人なのでしょうか? あの演出は好き嫌いは別にして、ストーリーにのめり込みたい時にああいうしゃべり方の人が何人も出てくるとスッと引いてしまうので私は好きではありません。特にこういう話の場合は。

 ということで、非常に辛口になりましたけど「もう1回じっくり見てみようか」という気にはならない映画でした。話自体は面白いし登場人物のキャラクターも魅力的なので「惜しい!」という感じで。