今日のひとネタ

日常ふと浮かんだことを思いのままに。更新は基本的に毎日。笑っていただければ幸いです。

アルピニストからの緊急提言

2008年04月24日 | ニュースに一言
 発売中の雑誌「SAPIO」5月14日号にてアルピニスト野口健さんが緊急提言として「二度と登頂できなくなっても私は訴える チョモランマ『死の聖火リレー』の言語道断」という文を寄稿されています。

 野口さんによると、中国は環境破壊やチベットに対する弾圧・文化的ジェノサイド(虐殺)の実態を隠そうとしているだけではなく、聖火リレーの特別ルートとして予定しているチョモランマ登頂の無謀で危険な計画も報道されたくない、のだそうです。

 今回の3ページに渡る記事のポイントは、チベットで行われている「近代化という美名の下の文化的ジェノサイド」を明らかにすることと、「チョモランマでの無謀な聖火リレーで死亡事故が起こる可能性もある」という点。そして中国はそれを国際社会に絶対に知られたくないということも書かれています。

 このチョモランマでの無謀な聖火リレーにあたっては中国隊以外はチョモランマに登頂できないように規制していること、ネパールにも圧力を掛けていることなどを日本の新聞記者に話し記事にしてくれるように頼んだところ、「北京オリンピックが終わるまでは中国を刺激する記事は掲載できない」としり込みされたとか。しかもそれは保守系の新聞だったそうです。

 このことを今回公のメディアに書いたことについては、「中国のブラックリストに載せられ、二度とチベットルートを利用できなくなるかもしれない」という危惧はあるそうですが、「事実を知りながら発言しないことは、間接的にチョモランマの環境破壊、チベットに対する文化的ジェノサイドに手を貸すことになる」とも書かれています。

 野口さんがここまでの決心をして書いた文章は少しでも多くの人に読んでもらいたいです。SAPIOと聞くと敷居が高いと感じる人も中にはいるかもしれませんが、この文章の全文と写真を見るためだけでも今号は買いです。もちろん、野口さんはブログでも環境問題や人権問題など様々なメッセージを発信していますが、大手出版社の雑誌での記事となるとやはり注目でしょう。

 メディアの腰が引けてるといえば、一昨年チベット人がナンパ・ラ峠を越えようとしていたところ中国国境警備隊に発砲され二人が死亡したという事件のこともそう。初めはシラを切っていた中国当局も、たまたま撮影していたルーマニアの登山家がインターネットに映像を流したことから認めざるを得なくなり「自衛のために発砲した」と釈明したとか。

 このあたりの話も日本では大きく記事になることはないのですが、数週間前のTBSサンデーモーニングにて江川紹子さんがこの件を話したところ他のコメンテーターは一斉に沈黙してしまったという光景を見ました。TBSテレビの屁タレぶりはいまさら言うまでもないですが、日本の場合北京オリンピックの影響だけでなく胡錦濤総書記の来日も控えてるのでメディアへの締め付けが相当厳しいことは想像に難くありません。

 しかし、だからといってチベット問題に蓋をしてしまえば、世界中から日本が人権に対して極めて意識が低い国だとみなされてしまうのではないでしょうか。腰が引けてるといえばメディアだけじゃなくて国連もそうなのですが。まったくなぜこれだけ知らん顔できるんだか。