私が所有しているタレント本でかなり好きなのが「スパイダース ありがとう」なのですが、著者はスパイダースのギタリストだった井上尭之さん。そもそもひょっとした縁からスパイダースの周辺でうろうろし始め、そのうちヴォーカリストで加入したのが事情によりリードギターになったという人です。この自伝でも詳しいのですが、ギタリストとしても音楽家としても天才肌ではなく努力の人です。あのハスキーなヴォーカルを活かしてブルース系のヴォーカリストとして活躍していれば、もしかして天才と言われたかもしれません。人生わからないものです。
ギタリストとしてはあちこちで存在感も示していたのですが、会社を作ってプロデューサーとして活躍したり、作曲家として映画音楽を担当したりすることについて「本当に音楽家といえるのか」「その自信のなさゆえに会社を作って自己保身してかったのか」などを考え、すべて自分のためにやってきたことではないか?と思ったそうです。
それで2年間一人暮らしをして部屋にこもり、実際に貧乏になって自分を見つめ直そうとしたのだとか。本当に真面目な人ですね。そう思ったときが、50歳まであと2年という時期だったそうで、そんなことを考える人は滅多にいないでしょう。
いずれにしても、「ギタリストはギターしかわからなくて音楽の専門的な事は疎くストリングス編曲や作曲は苦手」というイメージを覆す珍しい人なのかもしれません。まだまだ楽しませて欲しい思うので今後の活動にも注目してみたい人ですね。