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木之内みどり「硝子坂」配信始まりました

2022年11月13日 | 昭和歌謡・アイドル歌謡

 

 「硝子坂」とはいえ曲名ではなくアルバムの話。これは1977年2月に発売された木之内みどりさんの5枚目のアルバム。そのタイトル曲「硝子坂」は、その後高田みづえさんのデビュー曲となりましたが、アレンジはまったく違います。ほぼ別物のレベル。

 木之内みどりさんはベストアルバムのみ配信されていましたが、今回全オリジナルアルバムが解禁されました。この「硝子坂」は一時CDでも発売されていて、今や中古市場で高騰してますので評価は高かったのでしょう。私も当時兄がレコードを買ったので家にはあるのですが、CDは持っておらず今回の配信は本当に嬉しいです。

 このアルバムは1曲目が松本隆&吉田拓郎作品のシングル「東京メルヘン」なので、普通に行くと「東京メルヘン」というアルバム名になりそうなのが、「硝子坂」となったので、いかにこの曲の世界に注力されているかがわかります。

 このアルバムは全11曲ですが、タイトル曲の「硝子坂」を含むB面の6曲がすべて作詞・島武実、作曲:宇崎竜童。そして「東京メルヘン」を除く10曲の編曲と演奏がThe Last Showで、その世界がこのアルバムを象徴していると私は感じています。(なお「東京メルヘン」の編曲は石川鷹彦さん。) 特に1曲目の「五月雨」という曲のスピード感、ハーモニカの切れの良さは惚れ惚れします。

 そのThe Last Showのメンバーは以下の通り。

松田幸一 (ハーモニカ)
村上律(ペダル・スティール・ギター)
徳武弘文(ギター)
島村英二(ドラム)
河合徹三(ベース)

 この方々は、いろんなところで活躍してますが、アリスが「冬の稲妻」とか「ジョニーの子守唄」をヒットさせた頃にバックを努めていたので、実はお茶の間にはお馴染みです。レコードでも「夢去りし街角」のハーモニカは、たしか松田さんでした。

 ドラムの島村さんも色々な歌手のレコーディング、ステージで活躍されてますし、今では吉田拓郎さんのバンドでは欠かせない存在となってます。売れっ子です。

 そしてこのアルバムでも大活躍なのがスティールギターの村上さん。タイトル曲の「硝子坂」をはじめ、「ありったけさわやかに」「明日からごめんね」などで本当に素晴らしい演奏を聞かせてくれてます。

 ギターのDr.Kこと徳武弘文さんは、あの独特のフィンガーピッキングが有名ですが、ここでは「明日からごめんね」で「これぞ」という音を聞かせてくれています。初めて聞いた時は「どうやって弾いてるの?」とか思いました。その後、この方がフィンガーピッキングのスタイルであることを知って「なるほど…」と。

 そんな記憶が鮮明なので、このアルバムは当時の日本のアイドルポップスのレベルの高さの象徴として多くの人に聞いて欲しいと思っています。木之内みどりさんの歌手としての評価は別にして(失礼…)、楽曲と演奏とを含めてこういう世界が作れるということにすごく可能性を感じます。今回の配信開始を大歓迎するものであります。

 なお、当時は「しょうじざか」と読む人が少なからずいたのですが、正しく「ガラスザカ」と読まれることになったのは高田みづえさんのヒットによるものでしょう。まあその辺の話はまた別の機会に。