半年ほど前に久しぶりに書店に行ったときのこと。ビジネス書のコーナーにやたら「頭のいい人」と「仕事ができる」というワードが目立ってて「はて?」と。
そういうのが流行るならいっそのこと「頭のいい人は仕事ができる!」という本を出せば大ベストセラーになるでしょうにと思ったのですが、最近また書店に行っても同じような本が全盛でした。気になったのでamazonでその手のランキング上位になってる本のタイトルを並べてみたのが以下の通り。
頭がいい人の思考術 日本一やさしいロジカルシンキング
メタ思考~「頭のいい人」の思考法を身につける
頭のいい人が話す前に考えていること
頭のいい人だけが解ける論理的思考問題
偏差値35から東大に合格してわかった 頭がいい人は○○が違う
頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方
世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた
頭のいい人は「短く」伝える
本当に頭のいい人がやっている思考習慣100
頭がいい人の脳の使い方
あなたの話はきちんと伝わっていますか?「頭のいい人」の説明の公式
頭のいい人だけが知っている説得力
頭のいい人が問題解決をする前に考えていること
頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術
図解 頭がいい人はなぜ、方眼ノートを使うのか?
「頭のいい人」はシンプルに生きる―「快適生活」の方法
こうなると既に大喜利状態ですが、とにかくどれも売れてるのでしょう。これらを読んでる人は心から頭がよくなりたいと思ってるのか、とりあえず人から「頭のいい人」と言われたいのか、頭のいい人は業績良さそうだからとにかくうわべだけでも真似しておきたいのか、どうなのでしょう。
そもそも、誰が見ても頭がいいと思う人に面と向かって「あなた、頭いいですね。」とは言わないし、「頭いい」とか「仕事ができる」とおだてながら近づいてくる人がいれば、厄介ごとや自分でやるのが面倒な業務を押し付けようとする姿勢が感じられていけません。そんななので私はこの言葉にはよいイメージを持ってはおらず、理由は様々ですが代表的なのは以下の二つのエピソード。
まずは父と兄の話。昔、父がコーヒーのポットをガスにかけようとして五徳にうまく乗らず、グラグラさせてました。その時、ちょうど台所に来た兄がそれを見て焼き網を五徳に乗せ、その上にひょいっとポットを乗せました。
その時の父の反応は「お前、頭いいのになんであんなに成績悪いんや? ああ、今の文部省と合わんだけか。」ですって。私は幼心に「素直に褒めるか感謝すればいいのに!」と思ったものです。
もう一つは、30年ほど前にFM青森で聞いた一番タクシーという会社のローカルCM。スナックのママさんと酔客の会話で、
「ママ、タクシー呼んでけろ。」
「どこのタクシーがいいの?」
「どこでもいいけど、一番いいタクシー頼む。」
「一番いいタクシーなら、一番タクシーでしょう!」
「ママ、アダマいい~。」
というもの。後者は単にCMではありますが、どちらも「案外」頭がいいというのを言ってるわけで、普段はまったくそう思っていないわけです。
そんななので、いい大人がやたらと「頭がいい」という言葉を使うことについてはいかがなものかと思います。小学生が褒め合うならともかく。そして、以前テレビで「IQ160のクイズ王」という人を見て、「その頭脳をもっと世の中のためになることに使えんのか!」と思ったこともあります。
いずれにしても、「頭がいい」というならアクタ共和国のルチ将軍並みに「知能指数は1300」というくらいまでいって欲しいでございますですよ。まったく。私などは「頭がいい」とは言われませんが、いつも「かっこよすぎる」とか「抱かれたい」とか陰口叩かれてうんざりしますし。