日本人の身長はずっと伸び続けていずれ欧米人に近づくと信じていました。
確か、私が高校生の頃でしょうか。
「日本人男子高校生の平均身長が170cmを超えた」とニュースで流れたことを記憶しています。
しかし、私が結婚し子どもができて次の世代を見ていると・・・なんだか中学生・高校生はあまり大きくない。
むしろ小さくなったのでは、と感じることもあります。
そんな疑問に答える報告が目にとまりました;
■ 日本の成人の身長低下、低出生体重が原因か
(ケアネット:2017/08/28)
国立成育医療研究センターの森崎 菜穂氏らが、わが国における1969年以降の出生特性と成人の平均身長の推移を調査したところ、20世紀は増加し続けていた成人の身長は1980年生まれから低下し始めていた。一方、低出生体重(LBW)での出生はU字型を示し、成人の身長の低下がLBW出生の増加に起因する可能性が示された。Journal of Epidemiology and Community Health誌オンライン版2017年8月19日号に掲載。
著者らは、1969~2014年の人口統計における6,411万5,249人の出生特性の長期的推移と、全国・地方・地域で実施された79の調査から、1969~96年に生まれた成人314万5,521人の平均身長の推移を観察した。
主な結果は以下のとおり。
・LBWの割合は1978~79年(5.5%)まで減少した後増加するU字型を示し、逆に、成人の平均身長はその同じ時期に生まれた人(男性:171.5cm、女性:158.5cm)でピークに達し、その後減少していた。
・LBWの割合と成人の身長は、強い逆相関を示した(男性:r=-0.98、女性:r=-0.88)。
・出生と経済的特性に基づく予測モデルによると、成人の身長の全国平均は低下し続け、2014年に生まれた人では、男性170.0cm(95%CI:169.6~170.3)、女性157.9cm(95%CI:157.5~158.3)になると予測された。
<原著論文>
・Morisaki N, et al. J Epidemiol Community Health. 2017 Aug 19.
確かにしばらく前から「小さく産んで大き育てる」風潮が無きにしも非ず。
お母さんのお腹の中で大きくなると妊娠線が残りやすいとかの議論もあったような・・・。
しかし一方で、「小さく産んで大きく育てる」と将来糖尿病や生活習慣病のリスクが高くなるとの報告も耳にします。
「スリムな妊婦さん」はお母さん自身の満足感はあるかもしれませんが、生まれてくる赤ちゃんにはマイナス面が多いようです。
■低出生体重と糖尿病リスクの関連裏付ける因子を特定
[2015年1月8日/HealthDayNews]
低体重で出生した児は将来の2型糖尿病発症リスクが高いことが知られるが、その関連を確認し、さらにリスク上昇に関わる因子を特定する知見が、「Diabetologia」オンライン版に1月8日掲載された。
米ブラウン大学(ロードアイランド州)疫学・医学のSimin Liu教授らによる研究の結果。同氏は、低出生体重によってどのように生理学的過程が混乱し、糖尿病という結果につながるのかの解明に役立つ知見になると述べている。
研究では、2型糖尿病患者1,200人以上および約1,800人の非糖尿病患者を対象として出生時体重との関係を検討した。その結果、出生時体重が2.72㎏(6ポンド)未満の場合、2.72~3.63㎏(6~8ポンド)の場合に比べて、将来の糖尿病リスクが1.27倍高いことが分かった。3.63~4.54kg(8~10ポンド)の場合に比べると糖尿病リスクは2.15倍とさらに上昇した。
低出生体重と糖尿病発症リスク上昇の関連に影響する因子として特定された生化学的因子は、インスリン抵抗性、性ホルモン結合グロブリンの減少、血管内皮障害、収縮期血圧高値だった。
Liu氏は同大ニュースリリースで、「それぞれの経路の重要性を理解するため、低出生体重に起因するリスクのどの割合がこれら生化学的因子によって説明できるのか、検討を続けている」と述べている。
同研究は、米国立衛生研究所(NIH)の資金援助を受けて実施された。
■妊娠、出産にまつわるデータ集:第1回「小さく産んで大きく育てる」は間違い?低出生体重児のリスク
■厚労省研究班調査、低出生体重児は糖尿病の可能性 要因は妊娠適齢期女性の「喫煙」や「低栄養」
(2013年6月:ヘルスネットメディア)
日本では、80年代に入って、低出生体重児の出現率が増加、今やOECD加盟国の中でもトップといわれている。要因として妊娠適齢期女性の「喫煙」や「低栄養」が挙げられているが、低出生体重児が成人になると糖尿病になりやすいことが厚生労働省研究班調査で明らかになった。
低出生体重児の出現率、1975年以降増加傾向
体重が1.5kg未満の低体重児が成人になると3割近くが糖尿病になりやすい---。
先頃、厚生労働省研究班がそうした報告を行った。調査は1990年に体重1.5kg未満で生まれた平均年齢20.3歳、66人を対象にした。
日本では、80年代に入って、低出生体重児の出現率(出生時体重2.5kg未満)が増えている。人口動態統計によると、低出生体重児の出現率は1975年以降、増加傾向にあり、1975年は男児4.7%、女児5.5%だったが、2000年にはそれぞれ7.8%、9.5%へと増加している。
低出生体重児誕生の要因として、妊娠適齢期女性の「喫煙」や「低栄養による痩せ」が指摘されている。とくに若い女性の痩せ願望による無理なダイエットで、母体の妊娠前の栄養不良が低出生体重児出現のリスクファクターとなっている。
低出生体重児、生活習慣病に罹患しやすい(バーカー説)
低体重出生児は死亡リスクが高いばかりでなく、成人期における冠動脈疾患、高血圧、糖尿病といった生活習慣病に罹患しやすいとされている。 これについては、バーカー説(成人病胎児期発症説)がよく知られる。母子の健康状態や栄養状況が現代と比べて劣っていた1920~30年代に生まれたヨーロッパ人を追跡調査した研究で、胎内及び早期乳児期の低栄養保育は、身体の組成や生理機能、代謝に生涯にわたって影響を及ぼすことが示唆された。
これによりバーカー説では、「子宮内環境で低栄養の赤ちゃんが育つことが成人病の原因となる。これに出生後、生活習慣でリスクファクターが加わると成人病が発症しやすくなる」としている。そのため、乳幼児期ばかりでなく、妊娠前の女性の栄養摂取が乳幼児の成人期における生活習慣病のリスク軽減の重要なカギとなる。
現在、日本の低出生体重児の出現率は9.1%、OECD加盟国中では日本がトップになっている。平均すると現在10人に1人の割合で低出生体重児が誕生していることになる。
糖尿病、ガンのリスクを高める
今回の厚生労働省研究班の報告で、低出生体重児の成人後の糖尿病リスクが指摘されたが、糖尿病はガン罹患のリスクも高めることが最近報告されている。5月15日付けの朝日新聞で、日本糖尿病学会と日本癌学会の研究で、糖尿病患者はガンになるリスクが1.2倍に高まることが分かったと報じている。
研究では、35歳以上の男性15万5千人、女性18万1千人を平均10年間追跡調査。調査期間中、男性約2万人、女性約1万3千人が、ガンになったが、この人達を糖尿病の人がガンになるリスクを糖尿病でない人と比べると、ガン全体で2割ほど高くなっていたという。
現在、日本における糖尿病患者は900万人、予備軍を含めると2千万人を超すといわれている。
■低体重児、成長後にリスク やせ形妊婦や喫煙が要因
(2016/3/15:日本経済新聞)
■妊婦さん痩せすぎにご用心、子どもの病気リスク高める
(2014/10/12:日経ヘルス&メディカル)
一方、発展途上国では栄養状態が悪くて胎児が十分育たないことが問題になっています。
同じ地球の上でも出生体重が少ない理由が真逆です。
■ 低・中所得国では新生児の2割が胎児発育遅延/BMJ
(ケアネット:2017/09/06)
低・中所得国では、新生児のうちおよそ5人に1人が胎児発育遅延(Small for gestational age:SGA)で出生し、そのうち4人に1人が新生児期(生後28日以内)に死亡しているという。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のAnne CC Lee氏らが、低・中所得国の14の集団ベースから成る出生コホートChild Health Epidemiology Reference Group(CHERG)のデータを分析して明らかにした。BMJ誌2017年8月17日号掲載の報告。
2012年の低・中所得国14の出生コホートのデータを分析
CHERGには、14の出生コホートの在胎期間、出生時体重、新生児追跡調査のデータが含まれていた。SGAは、在胎期間と性別および民族性を反映したINTERGROWTH-21stの出生児体重標準値から、出生時の体重が10パーセンタイル値未満の場合と定義。SGA児の出生率と新生児死亡リスク比を、地域レベルのデータセットで算出しプールした。また、入手できた国レベルのSGA出生率と、SGA起因の新生児死亡率も推算した。
主要評価項目は、2012年の低・中所得国における、新生児のSGA数と割合であった。SGA起因の新生児死亡数と割合を評価し、またSGA出生率を10%に減らすことで回避可能な新生児の死亡数と割合を評価した。
SGA児の新生児期の死亡は全新生児死亡の21.9%
2012年に低・中所得国で誕生したSGA児は、約2,330万例(不確定範囲[UR]:1,760万~3,190万)であった(SGA出生率19.3%)。また、満期産かつ非低体重(2,500g以上)の児は1,120万例(UR:80万~1,580万)、満期産だが低体重(2,500g未満)の児は1,070万例(UR:760万~1,500万)で、早産児は150万例(UR:90万~260万)であった。
低・中所得国でのSGA児の新生児期の死亡数は約60万6,500例(UR:49万5,000~77万3,000)で、全新生児死亡の21.9%であった。負荷が最も大きかったのは南アジアで、SGA出生率は最も高率の34%で、新生児死亡の約26%をSGA児が占めていた。
これらの国で、SGA出生率を19.3%から10.0%に減らした場合、新生児死亡率は9.2%(25万4,600例:UR:16万4,800~44万9,700)にまで減らすことが可能と推算された。
著者は、「低・中所得国における高リスク新生児の生存のためにも、ケアの質を改善する、さらなる努力が求められる」とまとめている。
<原著論文>
・Lee AC, et al. BMJ. 2017;358:j3677.
確か、私が高校生の頃でしょうか。
「日本人男子高校生の平均身長が170cmを超えた」とニュースで流れたことを記憶しています。
しかし、私が結婚し子どもができて次の世代を見ていると・・・なんだか中学生・高校生はあまり大きくない。
むしろ小さくなったのでは、と感じることもあります。
そんな疑問に答える報告が目にとまりました;
■ 日本の成人の身長低下、低出生体重が原因か
(ケアネット:2017/08/28)
国立成育医療研究センターの森崎 菜穂氏らが、わが国における1969年以降の出生特性と成人の平均身長の推移を調査したところ、20世紀は増加し続けていた成人の身長は1980年生まれから低下し始めていた。一方、低出生体重(LBW)での出生はU字型を示し、成人の身長の低下がLBW出生の増加に起因する可能性が示された。Journal of Epidemiology and Community Health誌オンライン版2017年8月19日号に掲載。
著者らは、1969~2014年の人口統計における6,411万5,249人の出生特性の長期的推移と、全国・地方・地域で実施された79の調査から、1969~96年に生まれた成人314万5,521人の平均身長の推移を観察した。
主な結果は以下のとおり。
・LBWの割合は1978~79年(5.5%)まで減少した後増加するU字型を示し、逆に、成人の平均身長はその同じ時期に生まれた人(男性:171.5cm、女性:158.5cm)でピークに達し、その後減少していた。
・LBWの割合と成人の身長は、強い逆相関を示した(男性:r=-0.98、女性:r=-0.88)。
・出生と経済的特性に基づく予測モデルによると、成人の身長の全国平均は低下し続け、2014年に生まれた人では、男性170.0cm(95%CI:169.6~170.3)、女性157.9cm(95%CI:157.5~158.3)になると予測された。
<原著論文>
・Morisaki N, et al. J Epidemiol Community Health. 2017 Aug 19.
確かにしばらく前から「小さく産んで大き育てる」風潮が無きにしも非ず。
お母さんのお腹の中で大きくなると妊娠線が残りやすいとかの議論もあったような・・・。
しかし一方で、「小さく産んで大きく育てる」と将来糖尿病や生活習慣病のリスクが高くなるとの報告も耳にします。
「スリムな妊婦さん」はお母さん自身の満足感はあるかもしれませんが、生まれてくる赤ちゃんにはマイナス面が多いようです。
■低出生体重と糖尿病リスクの関連裏付ける因子を特定
[2015年1月8日/HealthDayNews]
低体重で出生した児は将来の2型糖尿病発症リスクが高いことが知られるが、その関連を確認し、さらにリスク上昇に関わる因子を特定する知見が、「Diabetologia」オンライン版に1月8日掲載された。
米ブラウン大学(ロードアイランド州)疫学・医学のSimin Liu教授らによる研究の結果。同氏は、低出生体重によってどのように生理学的過程が混乱し、糖尿病という結果につながるのかの解明に役立つ知見になると述べている。
研究では、2型糖尿病患者1,200人以上および約1,800人の非糖尿病患者を対象として出生時体重との関係を検討した。その結果、出生時体重が2.72㎏(6ポンド)未満の場合、2.72~3.63㎏(6~8ポンド)の場合に比べて、将来の糖尿病リスクが1.27倍高いことが分かった。3.63~4.54kg(8~10ポンド)の場合に比べると糖尿病リスクは2.15倍とさらに上昇した。
低出生体重と糖尿病発症リスク上昇の関連に影響する因子として特定された生化学的因子は、インスリン抵抗性、性ホルモン結合グロブリンの減少、血管内皮障害、収縮期血圧高値だった。
Liu氏は同大ニュースリリースで、「それぞれの経路の重要性を理解するため、低出生体重に起因するリスクのどの割合がこれら生化学的因子によって説明できるのか、検討を続けている」と述べている。
同研究は、米国立衛生研究所(NIH)の資金援助を受けて実施された。
■妊娠、出産にまつわるデータ集:第1回「小さく産んで大きく育てる」は間違い?低出生体重児のリスク
■厚労省研究班調査、低出生体重児は糖尿病の可能性 要因は妊娠適齢期女性の「喫煙」や「低栄養」
(2013年6月:ヘルスネットメディア)
日本では、80年代に入って、低出生体重児の出現率が増加、今やOECD加盟国の中でもトップといわれている。要因として妊娠適齢期女性の「喫煙」や「低栄養」が挙げられているが、低出生体重児が成人になると糖尿病になりやすいことが厚生労働省研究班調査で明らかになった。
低出生体重児の出現率、1975年以降増加傾向
体重が1.5kg未満の低体重児が成人になると3割近くが糖尿病になりやすい---。
先頃、厚生労働省研究班がそうした報告を行った。調査は1990年に体重1.5kg未満で生まれた平均年齢20.3歳、66人を対象にした。
日本では、80年代に入って、低出生体重児の出現率(出生時体重2.5kg未満)が増えている。人口動態統計によると、低出生体重児の出現率は1975年以降、増加傾向にあり、1975年は男児4.7%、女児5.5%だったが、2000年にはそれぞれ7.8%、9.5%へと増加している。
低出生体重児誕生の要因として、妊娠適齢期女性の「喫煙」や「低栄養による痩せ」が指摘されている。とくに若い女性の痩せ願望による無理なダイエットで、母体の妊娠前の栄養不良が低出生体重児出現のリスクファクターとなっている。
低出生体重児、生活習慣病に罹患しやすい(バーカー説)
低体重出生児は死亡リスクが高いばかりでなく、成人期における冠動脈疾患、高血圧、糖尿病といった生活習慣病に罹患しやすいとされている。 これについては、バーカー説(成人病胎児期発症説)がよく知られる。母子の健康状態や栄養状況が現代と比べて劣っていた1920~30年代に生まれたヨーロッパ人を追跡調査した研究で、胎内及び早期乳児期の低栄養保育は、身体の組成や生理機能、代謝に生涯にわたって影響を及ぼすことが示唆された。
これによりバーカー説では、「子宮内環境で低栄養の赤ちゃんが育つことが成人病の原因となる。これに出生後、生活習慣でリスクファクターが加わると成人病が発症しやすくなる」としている。そのため、乳幼児期ばかりでなく、妊娠前の女性の栄養摂取が乳幼児の成人期における生活習慣病のリスク軽減の重要なカギとなる。
現在、日本の低出生体重児の出現率は9.1%、OECD加盟国中では日本がトップになっている。平均すると現在10人に1人の割合で低出生体重児が誕生していることになる。
糖尿病、ガンのリスクを高める
今回の厚生労働省研究班の報告で、低出生体重児の成人後の糖尿病リスクが指摘されたが、糖尿病はガン罹患のリスクも高めることが最近報告されている。5月15日付けの朝日新聞で、日本糖尿病学会と日本癌学会の研究で、糖尿病患者はガンになるリスクが1.2倍に高まることが分かったと報じている。
研究では、35歳以上の男性15万5千人、女性18万1千人を平均10年間追跡調査。調査期間中、男性約2万人、女性約1万3千人が、ガンになったが、この人達を糖尿病の人がガンになるリスクを糖尿病でない人と比べると、ガン全体で2割ほど高くなっていたという。
現在、日本における糖尿病患者は900万人、予備軍を含めると2千万人を超すといわれている。
■低体重児、成長後にリスク やせ形妊婦や喫煙が要因
(2016/3/15:日本経済新聞)
■妊婦さん痩せすぎにご用心、子どもの病気リスク高める
(2014/10/12:日経ヘルス&メディカル)
一方、発展途上国では栄養状態が悪くて胎児が十分育たないことが問題になっています。
同じ地球の上でも出生体重が少ない理由が真逆です。
■ 低・中所得国では新生児の2割が胎児発育遅延/BMJ
(ケアネット:2017/09/06)
低・中所得国では、新生児のうちおよそ5人に1人が胎児発育遅延(Small for gestational age:SGA)で出生し、そのうち4人に1人が新生児期(生後28日以内)に死亡しているという。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のAnne CC Lee氏らが、低・中所得国の14の集団ベースから成る出生コホートChild Health Epidemiology Reference Group(CHERG)のデータを分析して明らかにした。BMJ誌2017年8月17日号掲載の報告。
2012年の低・中所得国14の出生コホートのデータを分析
CHERGには、14の出生コホートの在胎期間、出生時体重、新生児追跡調査のデータが含まれていた。SGAは、在胎期間と性別および民族性を反映したINTERGROWTH-21stの出生児体重標準値から、出生時の体重が10パーセンタイル値未満の場合と定義。SGA児の出生率と新生児死亡リスク比を、地域レベルのデータセットで算出しプールした。また、入手できた国レベルのSGA出生率と、SGA起因の新生児死亡率も推算した。
主要評価項目は、2012年の低・中所得国における、新生児のSGA数と割合であった。SGA起因の新生児死亡数と割合を評価し、またSGA出生率を10%に減らすことで回避可能な新生児の死亡数と割合を評価した。
SGA児の新生児期の死亡は全新生児死亡の21.9%
2012年に低・中所得国で誕生したSGA児は、約2,330万例(不確定範囲[UR]:1,760万~3,190万)であった(SGA出生率19.3%)。また、満期産かつ非低体重(2,500g以上)の児は1,120万例(UR:80万~1,580万)、満期産だが低体重(2,500g未満)の児は1,070万例(UR:760万~1,500万)で、早産児は150万例(UR:90万~260万)であった。
低・中所得国でのSGA児の新生児期の死亡数は約60万6,500例(UR:49万5,000~77万3,000)で、全新生児死亡の21.9%であった。負荷が最も大きかったのは南アジアで、SGA出生率は最も高率の34%で、新生児死亡の約26%をSGA児が占めていた。
これらの国で、SGA出生率を19.3%から10.0%に減らした場合、新生児死亡率は9.2%(25万4,600例:UR:16万4,800~44万9,700)にまで減らすことが可能と推算された。
著者は、「低・中所得国における高リスク新生児の生存のためにも、ケアの質を改善する、さらなる努力が求められる」とまとめている。
<原著論文>
・Lee AC, et al. BMJ. 2017;358:j3677.