徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

予防接種のスケジュール、立てられますか?

2011年12月09日 06時21分13秒 | 小児科診療
 近年、乳児期に受ける必要のあるワクチンが増えてきました。
 特に生後6ヶ月までは渋滞と云えるほど混み合っています。
 従来のBCG、ポリオ、三種混合(DPT)に加えて、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、そしてこの秋からロタウイルスワクチンも接種可能になり、さらに今後、B型肝炎ワクチンも入ってくると予想されます。

 赤ちゃんの生まれたお母さん方には、自治体から予防接種の予診表と「予防接種とこどもの健康」(あるいは自治体オリジナルの説明書)という冊子が配布されているはず。
 その際に、担当者から予防接種のスケジュールの組み方を教えてもらっているでしょうか?
 「これ読んでおいてください」と渡されただけでは途方に暮れてしまいそうですね。

 そんな折、この記事が目につきました;

子どもの予防接種(5)推奨スケジュールを公開
(2011年12月8日 読売新聞)
 今年4月に長男を出産した千葉県習志野市の主婦、土屋利華さん(40)は予防接種の予定表を手にし、種類の多さに驚いた。
 BCGやポリオ、三種混合(ジフテリア、百日せき、破傷風)など、公費で行う定期接種のほか、自費で受ける任意接種のヒブ(インフルエンザ菌b型)、小児用肺炎球菌、B型肝炎、水痘(水ぼうそう)、おたふくかぜなどもある。
 さらに、それぞれ接種する時期や回数が決まっている。例えばヒブ、小児用肺炎球菌は通常、生後2~6か月で接種を始め、計4回接種する。三種混合は同3か月から3回、その後、12~18か月の間に1回、追加接種するのが標準的だ。
 ワクチンには、病原体の毒性を弱めた「生ワクチン」と、毒性をなくした「不活化ワクチン」がある。生ワクチンを接種すると、他のワクチンの接種までに27日以上、不活化ワクチンの場合は6日以上間隔を空ける決まりもある。土屋さんは「何回も接種が必要なワクチンがいくつもあり、スケジュールを立てるのが大変です」と話す。
 新潟大(新潟市)小児科教授の斎藤昭彦さんは「どのワクチンも重要だが、あえて順番をつけるのであれば、重症化の恐れがあるものや、地域で流行している感染症のワクチンを優先してほしい」と助言する。
 例えば細菌性髄膜炎は、子どもの場合、約5%が死亡し、20~30%に発達障害などの後遺症が残る。また、百日せきは全国的に成人の間で流行している。これらの病気を予防するヒブや肺炎球菌、三種混合のワクチンは早めに接種する。
 日本小児科学会は推奨する予防接種スケジュールを今春、同学会のホームページで公開した。
 同学会は、定期、任意を区別せず、優先度が高いワクチンを示した。生後2か月でヒブ、肺炎球菌、B型肝炎、ロタウイルス胃腸炎、同3か月から、これらの2回目と三種混合、BCG、ポリオ――とワクチンを接種していくことを勧めている。
 いずれも複数のワクチンを一度に接種する同時接種が前提だ。斎藤さんは「同時接種でワクチンの有効性が落ちたり副反応の頻度が高まったりはしない。何度も医療機関に通院する負担が軽減され、効率よく接種できる」と説明する。
 感染症で命を落としたり、重大な後遺症が残ったりするのを防ぐのがワクチンだ。子どもには早めに予防接種を受けさせたい。


 昨年春に同時接種後の死亡例が報告されて話題になり一旦停止しましたが、分析・検証の結果「同時接種と死亡例は関係ない」と判断され再開されました。しかし、未だに「同時接種は恐い」という漠然とした不安がぬぐい切れていない印象があります。
 アメリカではロタウイルスワクチンを含め、生後2・4・6ヶ月には6種類のワクチンを同時接種しています。それで問題は起きていませんので、マスコミが煽った実態のない不安に怯えているのは日本だけのようです。

 記事にあるように日本小児科学会推奨の予防接種スケジュールがHP上で公開されています。他にも、信頼できる団体がスケジュールを提案・公開していますので参考にしてください;

□ 「日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール」(2011年11月)
□ KNOW*VPDが推奨する予防接種スケジュール「ワクチンデビューは生後2ヶ月の誕生日!
□ 国立感染症研究所の感染症情報センターの推奨する「乳幼児予防接種スケジュール
 こちらでは接種可能な主要ワクチンをすべて受ける場合の接種方法を3パターン示しています。

(1)同時接種を希望するが、1回当たり2種類以下を希望する場合(インフルエンザワクチンを除いた受診回数:18回
(2)同時接種を希望する場合(同14回
(3)単独接種を希望する場合(同29回

 
 迷って決めかねているお母さん・お父さんは、地域の保健センターや保健師さんにご相談ください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

胃ろうと人間の尊厳

2011年12月06日 22時33分23秒 | 小児科診療
 日本では高齢者がモノを食べたり飲んだりできなくなると「胃ろう」といってお腹に穴を開けて胃と繋がるトンネルを造り、そこから栄養剤を流し込んで延命を図るのがふつうです。

 ですから飲み込む力がなくても、意識がなくても、生き続けることが可能です。家庭では管理できないので入院する必要がありますが、ベッドは慢性不足状態。

 そこで「胃ろうビジネス」が登場しました。
 体の弱った高齢者の食事の介護は時間を時間と手間がかかりますが、胃ろう造設者は栄養剤を流し込むだけでよいので、医療施設としては手がかからず人件費を抑えることが可能です。
 さらに医師に不適切な「指示書」を書いてもらうことにより高額の収入を得る抜け道も利用され、保険診療の網をくぐって金儲けをする輩達が暗躍しているらしい。

 しばらく前に日本テレビの「ドキュメント日本」でその実態がルポされていました。
 胃ろう造設者のみを集めて、畳三畳ほどの狭い部屋に閉じ込め、食事という名の栄養剤注入のみで過ごす日々。TVもラジオもなく、白い壁と天上を見つめるだけの余生は生きる気力を削いでいきます。
 患者家族からは感謝されるので「必要悪」という側面もなきにしもあらず。なんだか、見ていて悲しくなりました。
 しかし、医療費を食いつぶして圧迫していく現実は無視できません。

 一方、欧米では「モノが飲み食いできない=死期」を意味します。
 本人の意志に反して(あるいは確認できないのに)胃ろうを造ることは「人間の尊厳」を傷つけることになると認識されているそうです。
 ここでも、日本の常識は世界の非常識。
 欧米で寝たきり老人が少ない理由は、ここにあったのです。

 さて、日本でもこの非人間的な処置にようやくメスが入りました;

人工栄養法、導入しない選択肢も 厚労省研究班が指針案
(2011.12.5:朝日新聞)


(人工栄養法の指針案)

 口から十分な栄養や水分をとるのが難しくなった高齢者に栄養を送る人工栄養法について、厚生労働省研究班は4日、導入までの手順や考え方を定めた指針案を公表した。生命維持の効果が少なく、患者に苦痛があるだけの場合、導入せず自然な死を迎える選択肢もあることを患者本人や家族に示し、導入後に中止や減量ができることも盛り込んだ。
 一般からも意見を募り、日本老年医学会が来春にも指針として完成させ、医療・介護現場で活用してもらうことを目指す。
 代表的な人工栄養法で、おなかの表面に穴をあけて胃に管を入れて栄養を送る「胃ろう」は現在、推定40万人が導入している。高齢者ケアの現場では、十分に栄養をとることで再び口から食べられるようになる人も一部にいる。一方で、近年、高齢者の体に負担や苦痛を伴い、人工的な延命につながりかねない場合もあるとの指摘が出ていた。


 昔の日本では、年を取って働けなくなり、家族のお荷物になると姥捨て山に捨てられる習慣がありました。「捨てられる」とは云っても、半分は自分の意志です。
 映画化された小説「楢山節考」はそんな時代を描いた作品です。東北地方では「でんでら」という、やはり人生の週末を迎える場所が用意されており、日本国中にそのような習慣が存在したことが伺われます。

 現代日本人は、生き方のみならず、死に方さえ見失ってしまっているようです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

とうとう粉ミルクからもセシウム検出

2011年12月06日 21時40分26秒 | 小児科診療
 東日本大震災~福島原発事故の被害の一端です。

セシウム:明治の粉ミルクから検出 40万缶無償交換へ
(毎日新聞:2011年12月6日)
 食品大手の明治(東京都江東区)は6日、粉ミルク「明治ステップ」850グラム缶の一部から1キロあたり最大30.8ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。厚生労働省によると、粉ミルクからのセシウム検出は初めて。乳製品の暫定規制値(1キロあたり200ベクレル)未満で、毎日飲んでも健康に影響ないレベルとされているが、同社は「安心して使っていただくことを最優先する」として、検出された製品と近い時期に製造した同銘柄の約40万缶を無償で交換する。
 セシウムが検出されたのは、同社埼玉工場(埼玉県春日部市)で3月14~20日に製造した粉ミルクを使ったものの一部。11月28日、「ステップで放射性物質が出たと聞いた」と報道機関から問い合わせがあり、在庫分などを調べたところ、21.5~30.8ベクレル検出された。前後の期間に製造した粉ミルクを使った商品は、いずれも検出限界値(1キロあたり5ベクレル)未満だった。
 原料の粉乳は大部分が豪州など外国産で一部は北海道産だが、いずれも東日本大震災以前に製造された。同社は、粉乳を水などと混ぜ合わせて霧状に噴霧したものを熱風で乾燥させて粉ミルクを作っており、「乾燥の過程で取り込んだ外気に含まれるセシウムが影響した」とみている。
 同社は4月末から毎月1回程度、放射性物質の定期検査を行っている。3月製造分については関東地方で大気中の放射線量が高かった3月21日のものを調べたが、検出限界値未満だったという。
 厚労省は「暫定規制値を下回れば健康への影響は考えられない」とする。一方、子どもは大人より放射性物質の影響を受ける可能性があるとして、乳児用食品の区分を新設し、現行より厳しい規制値を設定する方針だ。
 無償交換の対象は、賞味期限が来年10月3~6日、同21~24日の製品で全国に流通。問い合わせは同社お客様センター(0120・077・369)。

◇明治による「明治ステップ850グラム缶」の検査結果
   賞味期限         セシウム濃度
2012年10月 4日    21.5ベクレル
        21日    29.0ベクレル
        22日    30.8ベクレル
        24日    22.5ベクレル

※ 検査結果の数値は1キロあたり
※ ゲルマニウム半導体検出器による検査で、検出限界値は1キロあたり5ベクレル


 このような事例が後から後から雨後の竹の子のように出てくることでしょう。
 先日東京電力がまとめた事故調査の中間報告は「想定外の地震・津波により甚大な被害を出したが、我々の対応は間違っていなかった」という無責任な内容に終始し、あきれ果てました。
 考えてみると、原発関係では震災後誰一人として責任を取って辞任した人がいません。東電・原子力安全委員会・原子力保安院・・・。
 あ、ひとり辞任した人がいました。脱原発を唱えた管総理。
 まあ、原発推進派の圧力で辞めされられたのが真実でしょうけど。

 日本ってそんな国です、残念ですが。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

おたふくかぜと水ぼうそうが流行中

2011年12月05日 06時26分41秒 | 小児科診療
 全国的にはインフルエンザが流行始めた一方で、ここ館林市邑楽郡地域ではまだ聞こえてきません。
 むしろ、保育園・幼稚園中心のおたふくかぜ水ぼうそう流行が目立ち、連日数人程度来院しています。

 この二つの感染症のワクチンは任意接種で有料なので、接種率が低いことが原因です。
 小児科医の間では教育や検診で予防可能な子宮頚癌ワクチン(HPVワクチン)より、乳幼児の集団生活の場では感染を避けることができないおたふくかぜ・水ぼうそうのワクチン無料化が先なのではないか、との意見が多勢を占めています。

 おたふくかぜは罹患すると1000人に一人の割合で難聴を発症します。治療法がないので、子どもは一生難聴を抱えた不自由な生活を余儀なくされます。

 水ぼうそうは罹患すると100万人あたり20人死亡します(つまり5万人に一人)。また、水痘ウイルスは体の中に居座り高齢になり免疫力が落ちてくると帯状疱疹を起こして痛みに悩まされます。
 さらに水ぼうそうは免疫力が落ちた患者さん(白血病や癌の治療中)が罹ると重症化し死の危険にさらされることが医師の間では常識です。しかしそのような人たちはワクチンを受けることができません(生ワクチンでも発症してしまうので)。そのような免疫弱者を社会で守るためにもワクチン接種率向上が望まれます。
 残念ながら水ぼうそうのワクチンは他のワクチンと比較して効果が劣り、発症阻止率は約8割です(残り2割は罹っても軽く済みます)。2回接種してやっと他のワクチン並みの発症阻止率9割に達しますので、今後は2回接種が標準になっていくと思われます。

 診療していると、皆さんは「罹ってしまった方がいい」くらいに考えている様子が伺えます。病気の怖さを知らないのでしょう。
 健康教育・啓蒙不足以外の何者でもありません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

インフルエンザ流行の足音が・・・

2011年12月04日 16時05分09秒 | 小児科診療
 群馬県内でもインフルエンザ流行による学級閉鎖の報告が入りました;

インフルエンザで今季初の学級閉鎖 群馬
(2011.12.3:産経新聞)
 県などは2日、高崎市中豊岡町の市立豊岡小学校の4年生1クラスの児童8人がインフルエンザを発症して欠席したため、同クラス(児童33人)を7日まで学級閉鎖すると発表した。
 また、みどり市笠懸町鹿の県立渡良瀬養護学校中学部でも、1クラスの生徒1人がインフルエンザを発症して欠席。同校は同クラス(生徒4人)を5日まで学級閉鎖することを決めた。


 友人の小児科医からの情報では前橋市でも学級閉鎖が出たと聞きました。
 群馬県の流行状況は以下のHPをご参照ください;
★ 「群馬県感染症情報ーインフルエンザー
★ 「群馬県感染症情報ー群馬県インフルエンザ施設別発生報告
(平成23/24シーズン)ー

 ・・・まだ学級閉鎖情報は反映されていませんね。まあ、お役所なので情報更新はいつも1~2週遅れ(苦笑)。

 全国的にも流行が始まりつつあります。現在は「A香港型」が中心で、子どもにとってはインフルエンザ脳症、高齢者では肺炎のリスクが高いタイプですので要注意;

インフルエンザ 流行の兆し
(12月2日:NHK)
 インフルエンザの患者が、宮城県のほか中部地方や中国地方などで増え、国立感染症研究所は今月下旬にも全国的な流行に入る可能性があるとして、ワクチンの接種や手洗いなど予防策の徹底を呼びかけています。
 国立感染症研究所によりますと、先月27日までの1週間に全国のおよそ5000の医療機関から報告されたインフルエンザの患者は、宮城県のほか、中部地方や中国地方などで増え、前の週の1.4倍の1397人となりました。1つの医療機関当たりでは0.29人と、流行の目安とされる「1」には達していませんが、患者数の増加は6週連続で、今月下旬にも全国的な流行に入る可能性があるということです。都道府県別にみると、宮城県が2.53人と最も多く、次いで沖縄県が1.76人、三重県が1.14人などとなっています。これまでに検出されたウイルスは、A香港型が全体の80%近くを占めて最も多く、おととし「新型インフルエンザ」として流行したウイルスは数%にとどまっているということです。A香港型は、高齢者が感染すると重症化しやすいという特徴があります。国立感染症研究所の岡部信彦感染症情報センター長は「ここ数日、寒さが厳しく、体調を崩しやすくなっているので、早めのワクチン接種やうがい、手洗いなど徹底した感染予防策が必要だ。また、宮城県をはじめとした被災地では、去年までと違う生活環境なので、重症化しやすいお年寄りを中心に一層、注意してほしい」と呼びかけています。


 全国の流行状況はこちら;
★ 「MLインフルエンザ流行前線情報DB
★ 「インフルエンザ流行レベルマップ

 世界の流行状況が一目でわかるHP
★ 「グーグル・インフル・トレンド
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

花粉・マスク・被曝

2011年12月02日 07時12分09秒 | 小児科診療
 花粉症用のマスクが被曝予防になるというニュースが流れました。

被曝予防に花粉マスク有効 セシウム通さず 東大実験
(2011.12.2:朝日新聞)
 花粉用マスクをつければ、浮遊しているセシウムをほとんど吸い込まずにすみ、内部被曝(ひばく)量を減らせるとの実験結果を、東大アイソトープ総合センターなどがまとめた。30日に横浜市で開かれた日本放射線安全管理学会学術大会で発表された。
 同大の桧垣正吾助教は、福島第一原発事故直後の3月15日午後3時から翌日午前9時までの18時間、東大本郷キャンパスで、市販されている不織布の立体型マスクを着用した。
 花粉やほこりに付いて、空中を浮遊している放射性物質と、マスクに付着した放射性物質の量などを調べた。この結果、花粉用マスクで、セシウムのほぼ全てを吸い込まずにすむことが確認された。マスクに付着した放射性物質の量から換算すると、仮にマスクをせずに体内に吸い込んでいれば、内部被曝は9.3マイクロシーベルトに相当していた。
 来春、スギ花粉からセシウムが検出される可能性も指摘されており、林野庁は今秋から実態を調べている。桧垣さんは「除染の際も、放射性物質が舞い上がる可能性がある。気になる人は、マスクを着用すれば防げる」と話している。


 記事中にあるように、花粉にセシウムが乗って飛散するという可能性も指摘されていますので、この冬~春はマスクをしている人だらけになりそうです。

スギ花粉の放射線濃度を調査 林野庁、被曝リスク分析
(2011/12/1:日本経済新聞)
 林野庁は1日、福島県内で始めたスギ花粉に含まれる放射性セシウムの濃度調査の模様を公開した。スギ花粉は風速などの気象条件により数百キロ先まで到達する可能性があるため、来春の飛散シーズンを前に東北・関東地方の各地で雄花を採取、分析して被曝(ひばく)リスクを調べる。
 福島県飯舘村の計画的避難区域にある国有林では1日午前、調査員がスギの雄花を採取した。園芸用のこぎりで枝を切り落とし、雄花を切り取り袋に密封。持ち帰った雄花は洗浄、乾燥処理したうえでセシウム134、同137の濃度を測定する。
 調査は16都県182カ所の杉林で実施、今月中に中間報告を公表する。
 福島県川俣町内の計画的避難区域にあるスギの葉の10月の測定値を用いた試算では、成人が吸い込む放射線量は1時間当たり0.000132マイクロシーベルトで「影響は軽微」との見解を示した。ただ葉に付着したセシウムがどの程度花粉に移るのかは不明で、詳しく調査する。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

毎日排便のない子どもは4割

2011年12月02日 06時12分01秒 | 小児科診療
 大塚製薬が医師とタイアップして行った調査で、件名の事実が判明しました。

「子どもの排便状況と食物繊維の摂取」に関する実態調査(2011.12.1)
 毎日の排便がない小学生は約4割
 毎日の排便がない子どもの約6割の母親は食物繊維不足を実感


 大塚製薬株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:岩本太郎)は、松生クリニック(東京都)の松生恒夫院長監修のもと、ベネッセコーポレーション運営の女性クチコミサイト「ウィメンズパーク」* にて6~12歳の子どもをもつ女性1,162名を対象に、「子どもの排便状況と食物繊維の摂取」に関する実態調査を行いました。

図 あなたのお子様は、この一週間に何回、排便がありましたか? SA (n=1,162)


 その結果、小学生の約4割が1日1回の排便がなく、現代の子どもたちの排便状況は決して良いとは言えないことが分りました。また、排便1日1回未満の子どもの母親の6割以上(62.1%)が子どもの食物繊維不足を実感している一方で、「子どもの排便状況の改善」を考えている母親は全体の約2割(21%)に留まり、全体的に意識が低いことが明らかになりました。


 この記事の中で医師がコメントされているように、子どもの便秘の相談は実に多い。私の医院を受診される患者さんは主に乳幼児ですが、お母さんの目が行き届く年齢なので、数日間排便がないと受診されます。

 食生活の改善を指導しても便秘が続く場合は下剤を利用して便通を調整します。でも、下剤を使うとお腹が痛くなってしまう、下剤や浣腸をずっと手放せなくて困る場合は、私は漢方薬を勧めています。飲むのにちょっとハードルがありますが、体にあった漢方が見つかると副次的な効果もあるので患者さんに喜ばれています。

 漢方薬を使うようになってから、乳幼児の便秘には(漢方的視点から)いくつかパターンがあることに気づきました。

□ 「赤ちゃん便秘
・・・乳児期前半は排便回数は少ないのですが、決して硬くはなりません。下剤ではなく昔からある赤ちゃんの便秘薬:滋養糖~マルツエキスなどを中心に使用します。

□ 「虚弱児の便秘
・・・食が細い、線が細い、よくお腹を痛がる(便通が悪い)・・・こんな子どもには漢方薬の小建中湯がぴったり。
 飲んでいると便秘だけでなく「食欲が出て元気になった、お腹も痛がらず、風邪を引いても軽く済むようになった」という声をよく聞きます。

※ TV-アニメ「ちびまる子ちゃん」の登場人物「山根」はこのキャラクターそのもの。昔からこんな子どもはいましたよねえ。彼が登場する度に「小建中湯を飲ませたい・・・」と考えてしまう私(笑)。
 山根君については「ちびまる子ちゃん」の公式HP→ 「キャラクター紹介」→ 「3年4組」→ 「山根」でご覧下さい。

□ 「お腹が張る便秘
・・・お腹がぼてっとしてさわるとフニャフニャで冷え気味、こんなお腹には大建中湯という薬が合います。

□ 「フツーに元気な子の便秘
・・・小柴胡湯という薬で解決することがあります。

 日本の伝統医学である漢方は、ずっと日本の子ども達を見つめてその体に合うくすりを造り、残してきたわけですから、利用しない手はありません。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

乾燥肌は国民病?

2011年12月01日 20時09分45秒 | 小児科診療
 寒くなるとともに空気が乾燥し、カサカサ皮膚を掻き壊して来院する患者さんが増えてきます。
 先日、あるお母さんから質問を受けました。

 「この子は毎年保湿クリームのお世話になっていますが、今後もず~っと塗り続ける必要があるんですか?

 私は、
 「日本に住んでいる限り、必要でしょう
 と答えました。

 毎日お風呂に入って汚れとともに脂分も洗い落としてしまうので乾燥します。
 エアコンを使うとさらに乾燥します。
 日本でフツーに生活していると乾燥から逃れることができないのです。

 こんなエピソードを読んだことがあります。
 某有名小児皮膚科医がモンゴルを表敬訪問したときのお話。

 首都ウランバートルの子ども達の皮膚は日本と同じくカサカサだったそうです。
 ではゲル(移動式住居)を住まいとする遊牧民の子ども達はどうか?
 驚いたことにツルツルだったとのこと。
 でも汗のすえた臭いがきつかった・・・と。

 都会の子どもは頻繁に入浴し、遊牧民の子どもはめったに入浴しないという習慣の差が、皮膚の乾燥度に表れていると実感したそうです。

 清潔でカサカサか、臭うけどツルツルか・・・悩ましい問題です。

 というわけで、日本の生活習慣の中で清潔でツルツル肌を保つには保湿クリームをずっと塗る必要がある、という落ちでした。

 乾燥肌は痒いので、乳幼児は知らず知らずのうちに掻き壊して湿疹になりがちです。
 この湿疹を放っておくと、壊れた皮膚バリアの隙間からアレルギーの原因が侵入して、将来のアレルギー疾患を呼び込むことになることが近年明らかになってきました。
 それを予防するため、生まれて直後からスキンケア(=保湿ケア)が必要と提言している皮膚科医もいらっしゃいます。

<参考HP>
□ 「すこやか肌を育てる会
□ 「山本一哉先生のバーチャル診察室
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする