今年も「子ども予防接種週間」に突入しました。皆さんご存じのこの事業は、2004年に厚生労働省と日本医師会他が始めた事業です。
「子ども予防接種週間」(Wikipedia)
「子ども予防接種週間」の創設(idsc)
現行の主催者HPはこちら;
「日本医師会」
「厚生労働省」
具体的な内容は、年度末に「接種忘れチェック」することと協力医療機関における「休日接種」がテーマとなっています。平日は忙しくて予防接種に連れてこられない保護者への気遣いという名目らしい。しかしこの「休日接種」、実は賛否両論で問題点が無きにしも非ず。
群馬県内の協力医療機関は群馬県医師会のHPからたどると「表」の通り・・・なんと当地域の医療機関は協力者ゼロです。
つまり、当院も入っていません。
「そんな無責任な!」
という非難の声が聞こえてきそうなので、理由を以下に述べておきます。
単純に「休日接種は危険」だからです。
主に2つの要素があります;
1.重篤副反応例の受け入れ先が確保されていない
日々の予防接種の日程に関しては、重篤な副反応の発現の可能性を考慮して、救急受け入れ体制のある総合病院が稼働している時間帯に設定するのがふつうです。
有事の際に救急搬送する先が見つからないという事態を避けたいからです。
子ども予防接種週間が始まった当初から全国の小児科医は「救急受け入れ体制を整えた上で協力医療機関を募るべきではないか」と声を上げてきましたが、なしのつぶて。
現在でもそのような体制が整備されているとは云えない状況です。
とくに当地域は自治体設立基幹病院小児科病棟が閉鎖状態であり、救急搬送先は近隣の市町村の総合病院へ、とさらに条件は悪くなっています。
2.かかりつけ患者以外の希望者が殺到する
休日接種を行うなると、かかりつけ患者以外の希望者も増えることが予想されます。
すると、ふだんの健康状態が把握できていない子どもたちも押し寄せることになります。
昨年10月に発生した日本脳炎ワクチン接種後死亡例はまだ記憶に新しいところです。
あの事例について、上述1と2を当てはめて考えますと・・・
・かかりつけ医以外で接種したこと
・母親が別の医療機関に通院していて投薬を受けていたことを申告しなかったこと
の2つが問題点として挙げられると思います。
休日接種では、この種のリスクが増えるのです。
そして、接種後にショック状態発生、救急搬送。
しかし当地域では救急搬送先が遠い近隣市町村の総合病院となり、時間がかかる分、患者さんの予後にも影響が出てきます。
「対応が遅かった」「救急病院にもっと早く搬送できれば助かったのに」「救急病院が近くにないのに休日接種を強行した」と非難されるのは接種した医師です。
このようなハイリスクの事業に参加するための勇気と度胸は私にはありません。
「休日接種」は危機管理という視点からは望ましくない事業に見えてしまうのです。
子どもの予防接種週間が始まって10年目になりますが、音頭を取る上層部と現場の事情の乖離がまったく改善されていないのは嘆かわしいことです。
さて、現在の予防接種の現場では
1.種類が増えてスケジュール管理が難しい
2.同時接種に対する漠然とした不安
3.1・2による接種現場の混乱による誤接種が後を絶たない
などが主要な問題になっていると考えます。
「子ども予防接種週間」にあたっては、休日接種を無理強いするよりもこれらを解決すべく啓蒙を進めていただきたい、というのが私の意見です。
「子ども予防接種週間」(Wikipedia)
「子ども予防接種週間」の創設(idsc)
現行の主催者HPはこちら;
「日本医師会」
「厚生労働省」
具体的な内容は、年度末に「接種忘れチェック」することと協力医療機関における「休日接種」がテーマとなっています。平日は忙しくて予防接種に連れてこられない保護者への気遣いという名目らしい。しかしこの「休日接種」、実は賛否両論で問題点が無きにしも非ず。
群馬県内の協力医療機関は群馬県医師会のHPからたどると「表」の通り・・・なんと当地域の医療機関は協力者ゼロです。
つまり、当院も入っていません。
「そんな無責任な!」
という非難の声が聞こえてきそうなので、理由を以下に述べておきます。
単純に「休日接種は危険」だからです。
主に2つの要素があります;
1.重篤副反応例の受け入れ先が確保されていない
日々の予防接種の日程に関しては、重篤な副反応の発現の可能性を考慮して、救急受け入れ体制のある総合病院が稼働している時間帯に設定するのがふつうです。
有事の際に救急搬送する先が見つからないという事態を避けたいからです。
子ども予防接種週間が始まった当初から全国の小児科医は「救急受け入れ体制を整えた上で協力医療機関を募るべきではないか」と声を上げてきましたが、なしのつぶて。
現在でもそのような体制が整備されているとは云えない状況です。
とくに当地域は自治体設立基幹病院小児科病棟が閉鎖状態であり、救急搬送先は近隣の市町村の総合病院へ、とさらに条件は悪くなっています。
2.かかりつけ患者以外の希望者が殺到する
休日接種を行うなると、かかりつけ患者以外の希望者も増えることが予想されます。
すると、ふだんの健康状態が把握できていない子どもたちも押し寄せることになります。
昨年10月に発生した日本脳炎ワクチン接種後死亡例はまだ記憶に新しいところです。
あの事例について、上述1と2を当てはめて考えますと・・・
・かかりつけ医以外で接種したこと
・母親が別の医療機関に通院していて投薬を受けていたことを申告しなかったこと
の2つが問題点として挙げられると思います。
休日接種では、この種のリスクが増えるのです。
そして、接種後にショック状態発生、救急搬送。
しかし当地域では救急搬送先が遠い近隣市町村の総合病院となり、時間がかかる分、患者さんの予後にも影響が出てきます。
「対応が遅かった」「救急病院にもっと早く搬送できれば助かったのに」「救急病院が近くにないのに休日接種を強行した」と非難されるのは接種した医師です。
このようなハイリスクの事業に参加するための勇気と度胸は私にはありません。
「休日接種」は危機管理という視点からは望ましくない事業に見えてしまうのです。
子どもの予防接種週間が始まって10年目になりますが、音頭を取る上層部と現場の事情の乖離がまったく改善されていないのは嘆かわしいことです。
さて、現在の予防接種の現場では
1.種類が増えてスケジュール管理が難しい
2.同時接種に対する漠然とした不安
3.1・2による接種現場の混乱による誤接種が後を絶たない
などが主要な問題になっていると考えます。
「子ども予防接種週間」にあたっては、休日接種を無理強いするよりもこれらを解決すべく啓蒙を進めていただきたい、というのが私の意見です。