リンゴ病(医学的には伝染性紅斑という病名)はウイルス感染症です。
ほっぺたがリンゴのように赤くなり火照るのが特徴で、
手足にも淡いまだら状の発赤が出現します。
高熱が出ることは少なく、
皮疹はかゆみも痛みも乏しく、
皮疹が出現する頃には他人にうつす感染力もほぼ無くなっているため、
隔離義務もありません。
な〜んだ、たいしたことないじゃん…
と思いきや、妊婦さんが罹ると大変です。
お腹の赤ちゃんに影響が出るのです。
そして大人が感染しても、
子どもほどはっきりほっぺたの赤みが出ることは少なく、
熱が出て節々が痛いという、インフルエンザのような症状が出ます。
というわけで“あなどれない感染症”なのです。
私は子どもの伝染性紅斑を診療した際は、
付き添いのお母さんに妊娠の有無を確認し、
患児が日常的に接している妊婦さんがいるかどうかを確認し、
もしいたら産科主治医に報告するよう指示しています。
詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
日本では現在、伝染性紅斑が流行中です。
それを扱った記事を紹介します。
妊婦さんのリスクを具体的な数字を提示して説明してありました;
「妊婦が初めて感染した場合、6%で流死産や子宮内胎児死亡を、4%で胎児貧血や胎児水腫を引き起こす可能性がある」
▢ 伝染性紅斑が感染拡大、日本産婦人科感染症学会などが注意喚起
(2024/12/13:日経メディカル)より一部抜粋(下線は私が引きました);
2019年を最後に流行が確認されていなかった伝染性紅斑が、今年は再び猛威を振るっている。2024年第48週(11月25日~12月1日)の定点当たり報告数は0.89と、直近で流行した2019年のピーク(第2週[1月7~13日]、定点当たり1.00)にも届く勢いだ。伝染性紅斑は妊婦が感染すると流産のリスクや胎児への影響が懸念されることから、日本産婦人科感染症学会が12月7日に、日本産科婦人科学会が12月10日に一般に向けて注意を呼びかける文書をウェブサイトで公開した。
・・・
都道府県別に見た第48週の定点当たり報告数で多いのは、埼玉県(3.49)、東京都(3.02)、神奈川県(2.17)、千葉県(2.10)、青森県(1.68)の順。日本産科婦人科学会は文書の中で、現在、関東を中心に流行が見られており「2025年は全国的な流行が危惧される」と注意喚起している。
伝染性紅斑は、ヒトパルボウイルスB19を病原体とする、小児中心の流行性発疹性疾患だ。頬に蝶翼状の紅斑が出現してリンゴのように赤くなることから「リンゴ病」とも呼ばれる。頬以外にも手足や胸腹背部に発疹が表れることもある。1週間前後でこれらの発疹は消失するが、症状が長期化したり、一度消えた発疹が短期間のうちに再発したりするケースが見られる。成人の場合は頬の発疹症状は少ない一方で、関節痛をはじめとする全身痛を訴えるのが特徴だ。
主な感染経路は飛沫感染や接触感染で、頬の発疹が出現する7〜10日ほど前に微熱や感冒様症状などの前駆症状が見られ、この時期にウイルスの排泄量が最も多くなる。一方で、成人が伝染性紅斑にかかったときは症状による判断が難しいため、伝染性紅斑患者との接触の有無や職業などの問診に加え、血中のIgG(保険未収載)、IgMの測定により感染を判定する。日本産婦人科感染症学会の文書では、IgMが陽性の妊婦の場合、最近初めて感染した可能性があるため、抗体検査や超音波検査を受けることを勧めている。
また同学会は文書で、日本人妊婦におけるヒトパルボウイルスB19の抗体保有率は20〜50%であり、妊婦が初めて感染した場合、6%で流死産や子宮内胎児死亡を、4%で胎児貧血や胎児水腫を引き起こす可能性があると説明。妊娠後期よりも妊娠初期の感染が、これらのリスクを高めることから、こまめな手洗いやうがい、マスクの使用などで感染を防ぐよう呼びかけている。
厚生労働省も12月6日に医療機関や自治体に向けて、伝染性紅斑の増加に注意喚起に関する事務連絡を公開している。
【参考】
・妊婦さんはパルボウイルスB19によるリンゴ病(伝染性紅斑)に注意しましょう(日本産婦人科感染症学会)
・パルボウイルスB19によるリンゴ病(伝染性紅斑)はお腹の赤ちゃんに影響することがあります(日本産科婦人科学会)
・伝染性紅斑の増加に伴う注意喚起について(厚労省)
伝染性紅斑は、ヒトパルボウイルスB19を病原体とする、小児中心の流行性発疹性疾患だ。頬に蝶翼状の紅斑が出現してリンゴのように赤くなることから「リンゴ病」とも呼ばれる。頬以外にも手足や胸腹背部に発疹が表れることもある。1週間前後でこれらの発疹は消失するが、症状が長期化したり、一度消えた発疹が短期間のうちに再発したりするケースが見られる。成人の場合は頬の発疹症状は少ない一方で、関節痛をはじめとする全身痛を訴えるのが特徴だ。
主な感染経路は飛沫感染や接触感染で、頬の発疹が出現する7〜10日ほど前に微熱や感冒様症状などの前駆症状が見られ、この時期にウイルスの排泄量が最も多くなる。一方で、成人が伝染性紅斑にかかったときは症状による判断が難しいため、伝染性紅斑患者との接触の有無や職業などの問診に加え、血中のIgG(保険未収載)、IgMの測定により感染を判定する。日本産婦人科感染症学会の文書では、IgMが陽性の妊婦の場合、最近初めて感染した可能性があるため、抗体検査や超音波検査を受けることを勧めている。
また同学会は文書で、日本人妊婦におけるヒトパルボウイルスB19の抗体保有率は20〜50%であり、妊婦が初めて感染した場合、6%で流死産や子宮内胎児死亡を、4%で胎児貧血や胎児水腫を引き起こす可能性があると説明。妊娠後期よりも妊娠初期の感染が、これらのリスクを高めることから、こまめな手洗いやうがい、マスクの使用などで感染を防ぐよう呼びかけている。
厚生労働省も12月6日に医療機関や自治体に向けて、伝染性紅斑の増加に注意喚起に関する事務連絡を公開している。
【参考】
・妊婦さんはパルボウイルスB19によるリンゴ病(伝染性紅斑)に注意しましょう(日本産婦人科感染症学会)
・パルボウイルスB19によるリンゴ病(伝染性紅斑)はお腹の赤ちゃんに影響することがあります(日本産科婦人科学会)
・伝染性紅斑の増加に伴う注意喚起について(厚労省)