学問空間

「『増鏡』を読む会」、第10回は3月1日(土)、テーマは「二条天皇とは何者か」です。

歌会始選者・篠弘さんに捧げる歌六首

2017-01-14 | 歌会始

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2017年 1月14日(土)21時30分37秒

なかなか扱いの難しい天皇譲位問題の折でもあり、皇室行事に積極的に言及するつもりはなかったのですが、昨日行なわれた歌会始における選者筆頭の篠弘氏の歌は、私のスルー(through)力の限界を試すものでした。

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篠弘さん

 書くためにすべての資料揃ふるが慣ひとなりしきまじめ野郎

http://www.sankei.com/life/news/170113/lif1701130016-n1.html

「お題」が「野」なので、天皇陛下は「那須の野に」、皇后陛下は「野蒜(のびる)を引きてさながらに野にあるごとく」、皇太子殿下は「野を流れゆく」といった具合に、多くの人は野原・草原・平原をテーマとされていますが、たった一人、篠弘氏だけが「野郎」をテーマとしていますね。
天皇・皇后両陛下を始め、皇族の方々は語彙としては「野郎」を御存じだったでしょうが、皇室の公式行事の場で、朗々と「野郎」という上品な言葉が響き渡る情景はかなり意外なものではなかったであろうかと拝察いたします。
ま、これが趣味・傾向を同じくする歌人仲間の私的な場であれば「野郎」も結構だとは思いますが、何もわざわざ新春を寿ぐ歌会始の場で「野郎」呼ばわりしなくてもよいのに、と私などは思います。
ということで、選者筆頭・篠弘氏に捧げる歌を六首ほど。


篠弘 粗にして野だが 卑でもあり
 珍を極むる きまじめ野郎

年の初めに 不協和音を 轟かす
 前衛歌人の 政治力学

ブレーキと アクセル 違(たが)えて 幾星霜
 皇宮警察 取り締まるべし

歌の野を 燃やし尽くして 生真面目に
 暴れまくるは 篠ゴジラかな

東(ひむがし)の 野に炎(かぎろひ)の 立つ見えて
 かへり見すれば 篠ゴジラかな

ひろしです
きまじめ野郎の
ひろしです
八十過ぎて野生児の
ひろしです


最後のが歌かと問われれば若干のためらいもありますが、仮に「書くためにすべての資料揃ふるが慣ひとなりしきまじめ野郎」を歌と呼べるならば、これも歌ではなかろうかと思います。

日本文藝家協会理事長・篠弘氏の変てこな歌
https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/ffbf607c361a3c38d6efe16507b30c93

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2 コメント

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2017歌会始の筆頭撰者 (勇馬眞次郎)
2018-01-13 16:22:40
全く同感です。よく詠んで頂きました。溜飲が下がります。
クビにもならず今年も撰者で流石におとなしくなりましたたが今年の「ーーわが身の揺らぐ」もいただけません。全体に作品の質が衰弱しています。撰者を大幅に替えないと駄作が入選化になるのを防げません。
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ご訪問ありがとうございます。 (鈴木小太郎)
2018-01-15 18:22:02
勇馬様
確かに質の劣化を超えて衰弱化している感じですね。
優れた歌人であった昭和天皇が亡くなられた後、皇室では皇后陛下が歌の水準を保つのに大きく貢献されていたように思いますが、今上帝の御退位後は今以上に難しい状況になりそうです。
選者の大幅変更は喫緊の課題ですね。


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