3月12日は 母の命日です
母が亡くなって今年で28年でしょうか 昭和58年のことです
私は1歳半になった息子を抱え 妹は1月に生まれたばかりの娘を抱え その当時の田舎の風習に従って行った父の生家での葬式の後片づけに追われていました
父は覚悟していたものの 葬式を出した後は嘆くばかりで茫然自失の状態でした
乳飲み子を私たち姉妹でおぶったりしながら片づけていたのですが そのとき 庭から父が声をかけました
『二人とも 出て来てごらん。 庭の梅が悲しいまでに美しく咲いている』 父は泣いていました
梅の花は母が好きだった花でした
夫婦で梅の木の接ぎ木の仕方を習ったりして 田舎の広い庭には地植えされたり 鉢植えされたりしている梅の木がずいぶん増えていました
私たち姉妹は 母が亡くなった後の様々な対応に心底疲れてもいたので 泣く暇もないといった状態というか 父のような悲しみを受け止められずにいました
そこで 父のその『庭の梅の花が悲しいまでに美しく咲いている』という言葉に妹が切れて 父とけんかになってしまいました
父の嘆く気持ちは重々とわかっていても 『よくも淡々と雑用をこなせるなぁ』という父の思いを 言外に感じていたのでした
以来私たち姉妹は梅の季節になると当時の父の言葉を思い出すようになりました
その後も 梅の木の管理だけは一生懸命にしていました
ところが二年前の冬に 父から私に相談がありました
『鉢植えの梅の木を 近所の人やいとこやお世話になった人にあげたいと思うが どうだろうか』 という内容でした
もちろん父は 『こんなにたくさんの大きな鉢植えがあっては 後を次いだおたかさんが苦労するから』 とも言ってくれました
私としては 『お父さんの好きなようにしたらいいわよ』 というしかありませんでした
そうして 父が愛して慈しんだ庭からたくさんの梅の木の鉢植えがひとつふたつと消えていき 今では6鉢ほどになってしまいました
私は結婚以来ずーっと集合住宅暮らしなので庭木の手入れをしたことがありません
去年の夏 暑い中妹がボウボウに伸びていた梅の枝の剪定をしてくれました
そんなに坊主にするの? と心配するほどでしたが 季節が巡ってくると 見事に次々と花が咲き出しました
そんな中 今日は少し早いのですが トトと二人でお寺に行ってきました
妹から届いたお供えに添えてあった手紙に
『梅は咲いていますか? お父さんと二人で笑い語らっているでしょうね』 とありました
私も同じようなことを思っていました
写真ではよくわからないのですが 白いしだれ梅の木に 赤い梅の枝が接いであります
接ぎ木をしたのは30年ほど前のことでしょうか 赤い花の枝は下の方です
下の枝は 妹がほんとにばっさりと切ってしまったので 咲いている花も少々
今年はもう少しのばしてあげましょう
父と母が一本の梅の木にいるような気のする今日でした
母が亡くなって今年で28年でしょうか 昭和58年のことです
私は1歳半になった息子を抱え 妹は1月に生まれたばかりの娘を抱え その当時の田舎の風習に従って行った父の生家での葬式の後片づけに追われていました
父は覚悟していたものの 葬式を出した後は嘆くばかりで茫然自失の状態でした
乳飲み子を私たち姉妹でおぶったりしながら片づけていたのですが そのとき 庭から父が声をかけました
『二人とも 出て来てごらん。 庭の梅が悲しいまでに美しく咲いている』 父は泣いていました
梅の花は母が好きだった花でした
夫婦で梅の木の接ぎ木の仕方を習ったりして 田舎の広い庭には地植えされたり 鉢植えされたりしている梅の木がずいぶん増えていました
私たち姉妹は 母が亡くなった後の様々な対応に心底疲れてもいたので 泣く暇もないといった状態というか 父のような悲しみを受け止められずにいました
そこで 父のその『庭の梅の花が悲しいまでに美しく咲いている』という言葉に妹が切れて 父とけんかになってしまいました
父の嘆く気持ちは重々とわかっていても 『よくも淡々と雑用をこなせるなぁ』という父の思いを 言外に感じていたのでした
以来私たち姉妹は梅の季節になると当時の父の言葉を思い出すようになりました
その後も 梅の木の管理だけは一生懸命にしていました
ところが二年前の冬に 父から私に相談がありました
『鉢植えの梅の木を 近所の人やいとこやお世話になった人にあげたいと思うが どうだろうか』 という内容でした
もちろん父は 『こんなにたくさんの大きな鉢植えがあっては 後を次いだおたかさんが苦労するから』 とも言ってくれました
私としては 『お父さんの好きなようにしたらいいわよ』 というしかありませんでした
そうして 父が愛して慈しんだ庭からたくさんの梅の木の鉢植えがひとつふたつと消えていき 今では6鉢ほどになってしまいました
私は結婚以来ずーっと集合住宅暮らしなので庭木の手入れをしたことがありません
去年の夏 暑い中妹がボウボウに伸びていた梅の枝の剪定をしてくれました
そんなに坊主にするの? と心配するほどでしたが 季節が巡ってくると 見事に次々と花が咲き出しました
そんな中 今日は少し早いのですが トトと二人でお寺に行ってきました
妹から届いたお供えに添えてあった手紙に
『梅は咲いていますか? お父さんと二人で笑い語らっているでしょうね』 とありました
私も同じようなことを思っていました
写真ではよくわからないのですが 白いしだれ梅の木に 赤い梅の枝が接いであります
接ぎ木をしたのは30年ほど前のことでしょうか 赤い花の枝は下の方です
下の枝は 妹がほんとにばっさりと切ってしまったので 咲いている花も少々
今年はもう少しのばしてあげましょう
父と母が一本の梅の木にいるような気のする今日でした