これってやはり化石? 私のライフスタイル!

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衿肩あきと三つ衿の縫い代寸法で変わる 衿の形 ‥‥ 手持ちの和裁本から

2016-02-18 | 着物
和服裁縫〈前編〉―新しい寸法による図解式 (1966年)
岩松 マス
雄鶏社


この本は図書館で探し出して(和裁 仕立て などの検索ワードで見つけ出した)借りたところ、大変わかりやすかったので、古書で買った本です

最初は一部分コピーしたのですが、はやり一冊欲しくなりました

和裁を習い始めたころのことです

私が習った先生は 和裁師でもあり、指導の免状もお持ちのベテランの方でしたが、時々職人の感による寸法の出し方というか へらつけをされていて どうしてもそれを図や言葉として知りたいと思うことがたびたびありました

あるいは 私の中で 教えていただく内容に  と思う部分があったりして そのな部分をもう少し詳しくはっきりさせたいと思うこともありました

何しろプロなので人の体をみて ヘラ位置を決めるというところもあったのです

そんな自分の中のに 答えを出してくれる本が この一冊でした

着物は 長いこと( 習ったときから最近まで ) 繰越し5分、つけ込み8分で仕立てていました

この場合、私が教わった衿肩あきは背縫いをした中心から2寸2分5厘ほどです

衽下がりの剣先の位置は 抱き幅と衿付けしるしを一直線に折ってつけて、その後、衽下がりの部分に1分ほどのカーブをつける方法でした

私の体が薄いから 『 このへらつけがいいんですよ 』 という説明でした

一直線のままだと、着物を着たときに衿付けの衽下がりの位置にしわが入って見苦しいけど、1分のカーブをつけると解消される ということでした

そして まさにその通りでこのカーブは以後ずっと衿付けの時につけてきました

特に問題なく 同じ寸法やへらつけで衿付けはしてきたのですが、時々本をめくったりして読んだり、人様が仕立てた着物を解いて洗い張りに出すときに 仕立て方やヘラ付けで ふううん、こういうやり方もあるんだと 発見があります

そういう発見を 自分で 自分の着物の仕立てでやりたくなってきたのが この頃の心境です

そこで、この本の登場になります

衿肩あきと繰越し寸法で どういう風に衿の形がかわるかを とても丁寧に説明してあします

最初の図は



こちらは、繰り越しを2cmとし えり肩あきを8.8cmあけると、三つ衿の曲線がVの字になって、えり足が細く見え、若向きによい という説明がしてあります

次は



3㎝繰越して、えり肩あきを8.5cmあけて 図のように印をつけると、さらに深くV形に抜ける。 衿を多く抜きたい場合によい とあります

最後は



4cmの繰越しをつけて、あきは普通に9.5cmにして 図のように印をつけると、えりがUの字に広く抜けて 着付けにゆったりとゆとりが見える 年配ならこの方法がよい とあるのです

図と説明の内容は 岩松マス著 新しい寸法による図解式 和服裁縫 ( 後編 ) から引用させてもらっています

単の仕立てについて書いてある前編には 実際に仕立てた着物を着たときの違いまでのせて 説明が詳しくのっています

60代に入った私は そろそろ最後の図のような衿付けでもいいのかもしれませんが、そこまでゆったりと衿を抜かないので、まずは、2番目の図のような衿付けをしてみようと思ったのです


洋服では、部分縫い見本とか、部分縫い練習とかあって 難易度の高い縫製やカッティングの場合 部分的に同じサイズやデザインで その部分だけを縫って形作るということがあります

そこで この本のこの部分を読んだ時には、ぜひ部分縫いで3パーターン作って ボディに着せて この目で違いを確認してみたい! そんなことを思っていたのですが、なかなか実行に移せずにあっという間に10年です

そこで、自分の着物を仕立てるときに、やっちゃえ!と なりました


図を見ても そんなに大きな違いはないのですが、②の場合は えり肩あき寸法が少なくて、衿付けのカーブも大きいので、三つ衿芯をすえて 衿の中を整えるときに、今まで以上に苦労します

前身ごろの衽下がり部分の縫い代を伸ばしたり、三つ衿の縫い代を伸ばして なるべく一直線になるように鏝で引っ張っていくのが とても難しいのです

以前の寸法で仕立てたときと同じ程度に うまく処理出来ません

それでも 何回も衿の中で縫い代がつれていないか表側からチェックして どうにか納得できるまで処理して仕上げていきます


そうやって縫った着物に 11月に仕立てたウールの単もあります

自分で後ろ姿は あまりよくわからないものの、着ていて衿ぐりを整えるのに ほとんど苦労なしです

ただ、この寸法の着物を着るときは 同じ寸法で仕立てた長襦袢を着るのがベストなわけで、そこまで厳格に組み合わせていないため、長襦袢と着物の三つ衿部分がしっくりこないこともあります

こういうときは、お手洗いのあとで、長襦袢の背縫い部分を下にひいてずれを解消するようにしています


「 着物はまっすぐ縫えばいいだけだから 簡単だ! 」 そんなことをご近所の方に言われたことのある先生は

「 まっすぐに縫えばいいだけなんていうのは、着物のこと何にも知らない人の言葉だよ。 工夫して縫ってある着物は 着る人も違いがわかるし、見た目も違うから 」 と、何回か口にされました

私が最初に縫った袷の着物は、私には地味すぎて、トトの母様に着てもらうことになったのですが、着付けのプロで 美容師で 自分でもよく着物をきていた母様が私に最初に言った感想は、

「 とても着やすく仕立ててあったし、上手に縫えていたね 」 でした

10年前の母様は まだ私と身長もほとんど変わらず、体形も一緒でしたから、私の体形に合わせて仕立てた着物が しっくりと体にそったのでしょう

そんなにたくさんの着物を着たことがなかった当時の私は、『 私の先生の言っていることと同じことを 母様が言ったぁ 』『 いい先生に巡り合えたんだ 』 その程度の思いでした 


単純な形なのに 着物って難しい 

単純な形だからなおさら少しの違いが表れる

着物にはまっている私は ますますそんなことを思っています

コメント
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