【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

その場その場で行き当たりばったりの安倍総理は日本国民を不幸のどん底に突き落とす

2015-01-23 21:14:39 | 社会・政治思想・歴史
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その場その場で行き当たりばったりの安倍総理は日本国民を不幸のどん底に突き落とす
櫻井智志

 私は、安倍総理が中東歴訪中におこなった演説をテレビのニュースで見ていた。その言葉が、欧米諸国には心地よいものではあっても、これは危ういなあと感じた箇所がある。勇気あるリベラリスト孫崎享氏の評論を以下に掲げるのでお読みになると、なにがイスラム国の側の逆鱗に触れたのかがわかる。


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孫崎享のつぶやき
安倍首相「イスラム国の脅威を食い止めるため2億ドル」と戦う姿勢明言」。殺害なら安倍に責任
2015-01-23 08:085


今政府はやっきになって、2億ドルは人道支援目的であると宣伝している。朝日新聞など。相変わらず、政府の大本営発表をそのまま報道している。

 安倍首相が何を言ったかは、演説を見れば一目明瞭である。
 23日朝日は次のように報じている。

「政府は2億ドルは“人道目的”再三発信」
「「イスラム国」側は20日に公開した身代金要求で、日本の2億ドル支援は“我々の助成と子供を殺し、イスラム教徒の家々を破壊するためだ」等と主張した。
このためこの映像をイスラエルで見た安倍首相は、電話で菅氏に「2億ドルは人道支援だとあらゆるメディアを通じて発信してほしい」と指示した。外務省はホームページで、「2億ドルは非軍事分野での支援です」という「日本からのメッセージ」を載せた」

 では安倍首相はどのような発言をしたのか。
「イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの支援をするのは、ISILがもたらす脅威を少しでも食い止めるためです。地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISILと闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します。
 イラクでは、全党派を含む、国民融和内閣による安定的な統治が絶対に必要です。日本は、そのための努力を支援し続けます。地域から暴力の芽を摘むには、たとえ時間がかかっても、民生を安定させ、中間層を育てる以外、早道はありません」

 この演説では、明確に「イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの支援をするのは、ISILがもたらす脅威を少しでも食い止めるためです」と述べている。

 確かに日本政府の云う様に、難民・避難民支援が主たるものである。
 しかし、今政府が行っている説明には、「ISILがもたらす脅威を少しでも食い止めるためです」というフレーズが抜けている。

 今政府ははやっきになって、2億ドルは人道支援目的であると宣伝しているが、安部首相が「ISILがもたらす脅威を少しでも食い止めるためです」とISIL対決姿勢を打ち出していたことには言及していない。

 更にイラクについては「イラクでは、全党派を含む、国民融和内閣による安定的な統治が絶対に必要です。日本は、そのための努力を支援し続けます。地域から暴力の芽を摘むには、たとえ時間がかかっても、民生を安定させ、中間層を育てる以外、早道はありません」とも言及している。今回の人質殺害予告は安倍首相の発言を原因としていることは明白だ。

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 念を押せば、イスラム国の様々な危険性や問題点を肯定しているわけではない。日本国の現在のありようと課題を明確にしたい。
安倍総理は、いままでの国会審議の様子でも、論理的な一貫性を欠いていることが多い。全く別の概念を修飾語でかざりながら、さらっと矛盾を自分の脳内では解決できているのであろうが、まるで矛盾そのものの答弁もある。集団的自衛権でも、消費増税でも、辺野古移転でも、どちらにでもとれるような曖昧な丁寧語が多い。「積極的平和主義」が「平和主義からの逸脱」を意味しているとは、外国の民衆には言葉だけではわからない。

 人質となっている後藤健二さんの母親石堂順子さんが日本外国特派員協会で記者会見をおこなった。
少し長いがきょうの東京新聞夕刊トップから書き写す。

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 私は石堂順子と申します。ジャーナリスト後藤健二の実の母親です。多くの外国人記者の皆さんにお集まりいただき、感謝します。日本国民・日本政府の皆さん、諸外国の皆さんに健二が大変ご迷惑をおかけしていることに心よりおわびします。私はこの三日間、ただただ悲しくて泣いていました。表現できません。健二は幼い頃から心の優しい子でした。健二はいつも「戦地の子どもたちの命を救いたい」と言っていました。中立な立場で戦争報道をしてきました。イスラム国の敵ではありません。日本は戦争をしないと憲法九条に誓った国です。七十年間戦争をしていません。日本はイスラム教諸国の敵ではなく、友好関係を保ってきました。日本は唯一の被爆国です。アメリカによる広島と長崎への原爆投下で数十万人が亡くなりました。あと遺された時間はわずかです。日本政府の皆さん、健二の命を救ってください。
「皆さまのお力で健二の命を救ってほしい」。石堂さんは涙をうかべながら、声を詰まらせて話した。
 今回の渡航について、後藤さんからは事前に知らされていなかったといい、「この三日間、ただただ悲しかった」と話した。22日に後藤さんの妻からの電話で、二週間前に子どもが生まれたばかりであること。先に拘束されていた知人の湯川遥菜さんを「何が何でも助けるために」と言って後藤さんが渡航したことなどを知ったという。
 「健二は小さいころから心の優しい子だった。いつも戦地の子どもたちの命を救いたい、と言っていた。乳飲み子を置いてまで、捕らえられた同胞、友達を救いたい、と言っていた。乳飲み子を置いてまで、捕らえられた同胞、友達を救おうと正義感を燃やしたのではないか」
 グループはビデオ声明で、安倍晋三首相がイスラム国対策で二億ドルの供与を表明したことを批判しているが、石堂さんはグループに向けて「日本は戦争をしないと憲法九条に誓った国。イスラム教諸国の敵ではなく、友好関係を保ってきた」と強調した。
 日本政府に対しては、「あと遺された時間はわずかです。健二の命を救ってください」と訴えた。これまでに、日本政府からの接触はなかったという。協会によると、会見は石堂さん側から人を介して、「世界に向けてメッセージを発信したい」との申し入れで開かれた。
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 まさに石堂順子さんの発言こそ、戦後の日本国憲法のもとで非戦平和のもとに生き抜いてきた日本国民の道義であり大義でもある。しかし、「特定秘密保護法」を強行採決して「集団的自衛権」を発動をめざし、「積極的平和主義」というデマゴギーのスローガンを掲げる安倍自公政権は、最初日本国民を戸惑わせ、ついには「日本は自らの憲法を捨て去り、軍事大国の仲間入りした」という事実が世界中にバレてしまった。
 それでも理性にのっとって、失墜発言をおこなった安倍首相の面子をもたてて、海外特派員協会で訴えた。それはまさに日本国の統治の法的倫理的規範に則ったものである。アメリカやイギリスのグループに入れば自国国民のことなど構わないというのが本音だとしたら、後藤=石堂親子の素晴らしい行為が気の毒すぎる。
 なお、私はTBSテレビのMEWS23の中心的ジャーナリストである岸井成格さんの言葉が心に残った。岸井氏はこう語った。
「日本では自己責任(論)という言い方がされていますが、慎重に使いたいものです。すべてを個人の責任ですませて社会が何も関わらないというのはどうでしょうか」(1月22日の番組中)。
 まさに後藤さんたちの人質は安倍総理と日本国民宛に向けられている。「イスラム国」の矛盾と問題とは別に、日本国民がいままで多くの先人の努力によってになわれてきた「非戦平和日本国」のくにの姿が厳しく試されている。