【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

自ら立ち上がった国民的政治勢力をもっと大切にし、はぐくんでいこう

2015-09-28 15:56:03 | 社会・政治思想・歴史


               櫻井 智志

 日本共産党がよびかけた「戦争法・安保体制廃止の国民連合政府」は、最初民主党の岡田代表が歓迎の意を表した。しかし、民主党細野豪志議員が民主党内の体制派の強い反対を背景に、選挙共闘への反対を強く代表に進言すると、岡田代表も党内の体制派に配慮せざるを得なくなった。

 けれども、いま最も強く戦争法制に反対し続けている勢力は、民主党ではない。共産党だけではない。誠意ある志位和夫日本共産党委員長が、シールズの代表の奥田さんの演説を聴いて強く感銘を受け賞賛している。私はそこにポイントがあると思う。

 反原発首都連合や大江・佐高・鎌田諸氏らが呼び掛け人として1000万人の反原発・原発廃止の署名運動は、政党のなかでは社民党の福島瑞穂元代表が意欲的だった。生活の党と合流した山本太郎氏も都知事選候補に「誰もいなければ自分がたってもいい」と市民グループ『私が東京を変える』の指導者格の今井一さんに、公開都知事を選ぶ市民会議で伝えてもいた。そういった福島原発廃止・県民救済の運動が、代々木公園で十万人集会が開かれた。その集会かその前の明治公園での集会かどちらかで、福島県民の女性がマイクを握りお話をされた。私は聴いている内に名状しがたい感銘で涙があふれた。お話されたかたは武藤類子さん。その後武藤さんの献身的なご活躍を後から知った。

 今回の共産党の提案は、永田町のなかの政党の組み合わせとは異質な発想を感じる。官邸前を埋め尽くした十二万人の多くは、日常生活の暮らしの延長上にやむにやまれず強い抗議と子どもたちの将来となる日本の歴史をになって立ち上がった。民主党細野議員がスマートに、時には美人女性アナウンサーと飲み歩きスキャンダルをスクープされるような、そんな優雅な国会議員お大尽暮らしに明け暮れる、身分制世襲国会議員大名制度とは無縁な政党と国民の新たな「憲法擁護共同体」を創出しよう、それが志位和夫氏の提案であろう。

 参院選で一人区で、もしも野党共闘が実現すれば、自民党の多くの国会議員は当選できない、

 しかし、与党の自民党公明党ははたで何もせずに指をくわえて見ていることはない、一人区での自公当選のために、あらゆる手管を尽くしてくるだろう。それは自公の基盤のみならず、民主党の地盤のナショナルセンター「連合」に、財界を通して徹底的に籠絡する策に出よう。自公は、マスコミを徹底的に利用して、国民世論を自暴自棄に陥らせるくらいのミス・リードは平気で行うだろう。

 この際に、潰瘍性大腸炎で持病と苦しむ安倍晋三氏が退陣したら、麻生太郎氏か石破茂氏をトップにすげ替えて、強力なリーダーシップを国民にアピールする策もあろう。安倍晋三の特異な政策であると同時に、アメリカ軍産複合体のマリオネットとして動く自衛隊制服組や政治家がポスト安部として動くだろう。
 安倍退陣、とシュプレヒコールしつつ、反原発・福島救援と反戦争法・安保体制、反米軍在沖・基地海外移転の三つの矢を三大根本理念・政策として動く巨大な運動体の形成が求められている。必要なのは、政党組み合わせではなく、立ち上がった全国の国民のエネルギーを大切に大事にして、参院選・衆院選へと導くルートづくりなのだ。

 民主党・社民党・生活の党と山本太郎となかまたち・緑の党・無所属良識派そして日本共産党。こういった政党も巨大な運動体の一部に過ぎぬ。政党の解散集合などではなく、統一戦線政府として、賛同して結集した各々の野党、労働団体、市民団体、学生・青年団体。そして厖大なひとりひとりの個人。政党連合が国民に指示するのではなく、「反戦争・平和擁護」の政党連合も、さきにあげた団体も、諸個人も同じ理想のもとに、共同し共闘していく。そのような形態をとることが必要なのは、いま全国津々浦々にあふれている平和への声を生かすことなく、政党組み合わせでエネルギーを裂いてしまいには運動のエネルギーを終熄させてしまう愚策を憂う。1945年に終わり始まった戦争と戦後民主化憲法は、いま初めて日本国民自らの主体として存続が問われている。アジアには韓国の金大中氏を大統領に当選させた民主化革命という手本がある。韓国でも東南アジアにも学生革命や市民革命が歴史上の先達として刻まれている。日本にいま求められているそれは、アナーキーな一揆主義や言葉だけの革命とは異なる。核兵器を備える巨大なアメリカ軍部と日本経済などひとたまりもないアメリカ軍産複合体。この闘いは一歩一歩、日本の1945年8月15日の青空から始まっている。日本国の運命に日本国民が歴史的な主体として、日本を改善させていく営みだ。




===========================
孫崎享のつぶやき
安倍政権下の民主主義の危機と高村光太郎著『智恵子抄』
2015-09-28 08:454



1:安全保障関連法案、何が問題か
日本の国家が「民主主義国家」か、「法治国家」かが問われる

「民主主義国家」の点では国民の過半数が集団的自衛権に反対、安全保障関連法案の成立に反対した。日本国家は国民主権を大前提としている。国民は国会議員を選出する。国会議員はあくまで、国民の意思を実行するために存在する。国会議員にすべてを授権し、好きにしてもらう制度ではない。国の行方を左右する問題では国民の意思を最大限に尊重することを基本とする。しかし、安倍政権は国民の反対の声に配慮することなく、強引に法案の成立を行った。民主主義を前提に国家の経営を行うという前提が大きく崩された。
「法治国家」であるかの点については
①大森、宮崎、坂田(少なくとも一時期)、角田元内閣法制局長官が違憲ないし疑問の発言
②山口繁・元最高裁長官「集団的自衛権の行使を認める立法は、違憲」
③憲法学者の約95%が違憲と述べている。
 安倍政権が合憲とする論拠は砂川事件をめぐる最高裁判決であるが、ここでは安倍政権のいう自衛隊を米国戦略のためにつかうことを目的とする「集団的自衛権」は何らろんぎされておらず、「集団的自衛権」は専門家に激しい反論をあび、論拠となるものはほとんど存在していない。


2:高村光太郎著『智恵子抄』を見てみたい。
「すつかり変つたといつても、それは他力による変革で(日本の再教育と人はいひます。) 内からの爆発であなたのやうに、あんないきいきした新しい世界を命にかけてしんから望んだ さういふ自力で得たのでないことが あなたの前では恥しい。
 あなたこそまことの自由を求めました。 求められない鉄の囲かこひの中にゐて、あなたがあんなに求めたものは、 結局あなたを此世の意識の外に逐おひ、あなたの頭をこはしました。あなたの苦しみを今こそ思ふ。
 日本の形は変りましたが、あの苦しみを持たないわれわれの変革を あなたに報告するのはつらいことです。」


 3:『智恵子抄』では日本は民主主義と変化はしたが、それは自分の力で獲得したものではない、「日本の形は変りましたが、あの苦しみを持たないわれわれの変革を あなたに報告するのはつらいことです。」と述べた。

 与えられた民主主義。
 それでも国民はそれを謳歌したはずなのに今安倍政権で取り去られようとしている。
 結局民主主義は、国民自らの努力で獲得し、国民自らの努力でその維持に努めなければならないことを示した。

4:幸いにも安保関連法案で多くの国民が自らの選択でデモに参加した。
 政治勢力になりつつある。これがどう育つか、そしてそれが育つのに協力していきたい。

==========================

 安倍詭弁政治の国際的評価

2015-09-28 14:40:13 | 言論と政治
 
               櫻井智志



 安倍首相は、「戦争法案といって私を非難するひとたちがいるが、世界のどこでも平和安全法制は歓迎されている」とテレビで話した。世界中で歓迎しているという人々がどれほどいるか。少なくとも 国際世論が世界の指導者としてあげている実態は、孫崎享氏の評論はこう述べている。

「1位 プーチン  2位 オバマ  3位 習近平  4位 ローマ法王  5位 メルケル プーチンが過大評価されてはいるがほぼ妥当な所だ。
英国キャメロン首相は10位、サウド国王が11位、インド首相が15位、仏大統領が17位、ブラジル大統領が31位、韓国大統領が46位、63位にやっと安倍首相だ。」

国民は安倍首相の発言がいかにはったりと見栄でしかない詭弁と方便であることを見抜くことが大切である。そう思い込んでいる国民に、事実をあげて説明し良識の世論を拡大していくことが 大切な営みとなっている。

以下の孫崎論文をぜひご拝読いただきたい。






=================================================

孫崎享のつぶやき
安倍「掛け声政治」の典型。国連安保理「米国に追随する」だけしかない日本外交で、世界がどうして日本の安保理常任理事国入りを望むか
2015-09-27 06:585


A事実関係

日本は今も安保理常任理事国入りを目指している。

 毎日新聞は次のように報じた。

「安倍首相は26日、国連安全保障理事会改革を共同提案しているインド、ブラジル、ドイツとの「4カ国グループ」(G4)の首脳会合に出席した。G4首脳は、常任理事国が現在の5カ国から拡大した場合、立候補を互いに支持する方針を確認。会合後、共同プレス声明を発表し、来年9月までの第70回総会会期中に具体的な成果を得る決意を示した。
 G4首脳会合は2004年以来11年ぶり。安倍首相のほか、インドのモディ首相、ブラジルのルセフ大統領、ドイツのメルケル首相が出席した。
 G4首脳は会合で、「急増しているグローバルな紛争や危機に対応するため、安保理をより代表性が高く、正当性があり、実効的なものにする必要がある」との認識で一致。05年以降、実質的な進展がないことを懸念し、改革は「一定の期限の中で進められるべきだ」と強調した。改革の早期実現に向け、すべての国連加盟国への働きかけを加速させることでも合意した。
 G4は、常任理事国枠を6増やして11カ国に、非常任理事国枠(10カ国、任期2年)を4~5増やして14~15カ国にする案を提出している。7月には国連総会のクテサ前議長が、各国の改革案を整理した文書を加盟国に配布した。G4首脳は会合で、この文書に基づいて政府間交渉を進めることを歓迎した。
 ただ、改革を実現するには国連加盟193カ国の3分の2以上の賛同が必要で、「大票田」のアフリカ連合(AU)と連携できるかどうかがカギになる。AUの改革案は常任理事国を11カ国、非常任理事国を15カ国(アフリカ枠の拡大2)にする内容で、G4案と共通点は多い。しかし、新常任理事国にも拒否権を与えるよう主張するAUに対し、G4は「当面は行使しない」という立場で、なお隔たりがある。
 G4が05年の総会に提出した改革案は支持が広がらず、採決されないまま廃案になった。日本政府は国連創設70年の節目に、改革に道筋をつけたい考えだ。」

 B評価

・日本は安保理常任理事国入りを目指している。
 そんなことはありえない。

・まず、日本は安保理常任理事国入りして何を国際社会に発信するつもりか。
 今や日本外交は「米国に追随する」、それ以外に何もない。
 こんな国をどうして世界が安保理常任入りさせたいと思うか。

・世界が日本をどのようにみているかは、安倍首相がどう評価されているか見ればよい。
米国経済誌「フォーブス」は毎年「世界で最も力のある人物(The World's Most Powerful People)」を発表している。2014年は次の順だった。
1位 プーチン
2位 オバマ
3位 習近平
4位 ローマ法王
5位 メルケル
 プーチンが過大評価されてはいるがほぼ妥当な所だ。
英国キャメロン首相は10位、サウド国王が11位、インド首相が15位、仏大統領が17位、ブラジル大統領が31位、韓国大統領が46位、63位にやっと安倍首相だ。

・国際社会は今、大きく変化している。かつてのように西側先進国が国際社会を動かせる時代ではない。西側先進国のG7の重要性は大きく後退した。変わってG20の発言力が増した。
 もし、安保理改革があって、新たな国が安保理常任理事国入りするとすれば、G20の代表だ。
中南米の代表、
中国とともに、発言力の増すインド、
ASEAN諸国も代表一か国主張するであろう。例えばインドネシア。
中東、アフリカの代表。

日本を代表に加えるべきだと主張する国を挙げてもらえればいい。真剣に日本を押す国なんて、ありゃしない。
 安倍首相の政治は実現できないことの掛け声だけ言う。この掛け声に満足する国民がいる。
 米英中ロ仏と同等に国際社会で「安保理常任理事国」として扱われたいという夢を国民に売る。
 他の全ての「掛け声」と同じように、何の実現性もない。
 しかし、それで「安倍首相はよくやっている」と思いたい人がいる。

===============================