櫻井 智志
日本共産党がよびかけた「戦争法・安保体制廃止の国民連合政府」は、最初民主党の岡田代表が歓迎の意を表した。しかし、民主党細野豪志議員が民主党内の体制派の強い反対を背景に、選挙共闘への反対を強く代表に進言すると、岡田代表も党内の体制派に配慮せざるを得なくなった。
けれども、いま最も強く戦争法制に反対し続けている勢力は、民主党ではない。共産党だけではない。誠意ある志位和夫日本共産党委員長が、シールズの代表の奥田さんの演説を聴いて強く感銘を受け賞賛している。私はそこにポイントがあると思う。
反原発首都連合や大江・佐高・鎌田諸氏らが呼び掛け人として1000万人の反原発・原発廃止の署名運動は、政党のなかでは社民党の福島瑞穂元代表が意欲的だった。生活の党と合流した山本太郎氏も都知事選候補に「誰もいなければ自分がたってもいい」と市民グループ『私が東京を変える』の指導者格の今井一さんに、公開都知事を選ぶ市民会議で伝えてもいた。そういった福島原発廃止・県民救済の運動が、代々木公園で十万人集会が開かれた。その集会かその前の明治公園での集会かどちらかで、福島県民の女性がマイクを握りお話をされた。私は聴いている内に名状しがたい感銘で涙があふれた。お話されたかたは武藤類子さん。その後武藤さんの献身的なご活躍を後から知った。
今回の共産党の提案は、永田町のなかの政党の組み合わせとは異質な発想を感じる。官邸前を埋め尽くした十二万人の多くは、日常生活の暮らしの延長上にやむにやまれず強い抗議と子どもたちの将来となる日本の歴史をになって立ち上がった。民主党細野議員がスマートに、時には美人女性アナウンサーと飲み歩きスキャンダルをスクープされるような、そんな優雅な国会議員お大尽暮らしに明け暮れる、身分制世襲国会議員大名制度とは無縁な政党と国民の新たな「憲法擁護共同体」を創出しよう、それが志位和夫氏の提案であろう。
参院選で一人区で、もしも野党共闘が実現すれば、自民党の多くの国会議員は当選できない、
しかし、与党の自民党公明党ははたで何もせずに指をくわえて見ていることはない、一人区での自公当選のために、あらゆる手管を尽くしてくるだろう。それは自公の基盤のみならず、民主党の地盤のナショナルセンター「連合」に、財界を通して徹底的に籠絡する策に出よう。自公は、マスコミを徹底的に利用して、国民世論を自暴自棄に陥らせるくらいのミス・リードは平気で行うだろう。
この際に、潰瘍性大腸炎で持病と苦しむ安倍晋三氏が退陣したら、麻生太郎氏か石破茂氏をトップにすげ替えて、強力なリーダーシップを国民にアピールする策もあろう。安倍晋三の特異な政策であると同時に、アメリカ軍産複合体のマリオネットとして動く自衛隊制服組や政治家がポスト安部として動くだろう。
安倍退陣、とシュプレヒコールしつつ、反原発・福島救援と反戦争法・安保体制、反米軍在沖・基地海外移転の三つの矢を三大根本理念・政策として動く巨大な運動体の形成が求められている。必要なのは、政党組み合わせではなく、立ち上がった全国の国民のエネルギーを大切に大事にして、参院選・衆院選へと導くルートづくりなのだ。
民主党・社民党・生活の党と山本太郎となかまたち・緑の党・無所属良識派そして日本共産党。こういった政党も巨大な運動体の一部に過ぎぬ。政党の解散集合などではなく、統一戦線政府として、賛同して結集した各々の野党、労働団体、市民団体、学生・青年団体。そして厖大なひとりひとりの個人。政党連合が国民に指示するのではなく、「反戦争・平和擁護」の政党連合も、さきにあげた団体も、諸個人も同じ理想のもとに、共同し共闘していく。そのような形態をとることが必要なのは、いま全国津々浦々にあふれている平和への声を生かすことなく、政党組み合わせでエネルギーを裂いてしまいには運動のエネルギーを終熄させてしまう愚策を憂う。1945年に終わり始まった戦争と戦後民主化憲法は、いま初めて日本国民自らの主体として存続が問われている。アジアには韓国の金大中氏を大統領に当選させた民主化革命という手本がある。韓国でも東南アジアにも学生革命や市民革命が歴史上の先達として刻まれている。日本にいま求められているそれは、アナーキーな一揆主義や言葉だけの革命とは異なる。核兵器を備える巨大なアメリカ軍部と日本経済などひとたまりもないアメリカ軍産複合体。この闘いは一歩一歩、日本の1945年8月15日の青空から始まっている。日本国の運命に日本国民が歴史的な主体として、日本を改善させていく営みだ。
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孫崎享のつぶやき
安倍政権下の民主主義の危機と高村光太郎著『智恵子抄』
2015-09-28 08:454
1:安全保障関連法案、何が問題か
日本の国家が「民主主義国家」か、「法治国家」かが問われる
「民主主義国家」の点では国民の過半数が集団的自衛権に反対、安全保障関連法案の成立に反対した。日本国家は国民主権を大前提としている。国民は国会議員を選出する。国会議員はあくまで、国民の意思を実行するために存在する。国会議員にすべてを授権し、好きにしてもらう制度ではない。国の行方を左右する問題では国民の意思を最大限に尊重することを基本とする。しかし、安倍政権は国民の反対の声に配慮することなく、強引に法案の成立を行った。民主主義を前提に国家の経営を行うという前提が大きく崩された。
「法治国家」であるかの点については
①大森、宮崎、坂田(少なくとも一時期)、角田元内閣法制局長官が違憲ないし疑問の発言
②山口繁・元最高裁長官「集団的自衛権の行使を認める立法は、違憲」
③憲法学者の約95%が違憲と述べている。
安倍政権が合憲とする論拠は砂川事件をめぐる最高裁判決であるが、ここでは安倍政権のいう自衛隊を米国戦略のためにつかうことを目的とする「集団的自衛権」は何らろんぎされておらず、「集団的自衛権」は専門家に激しい反論をあび、論拠となるものはほとんど存在していない。
2:高村光太郎著『智恵子抄』を見てみたい。
「すつかり変つたといつても、それは他力による変革で(日本の再教育と人はいひます。) 内からの爆発であなたのやうに、あんないきいきした新しい世界を命にかけてしんから望んだ さういふ自力で得たのでないことが あなたの前では恥しい。
あなたこそまことの自由を求めました。 求められない鉄の囲かこひの中にゐて、あなたがあんなに求めたものは、 結局あなたを此世の意識の外に逐おひ、あなたの頭をこはしました。あなたの苦しみを今こそ思ふ。
日本の形は変りましたが、あの苦しみを持たないわれわれの変革を あなたに報告するのはつらいことです。」
3:『智恵子抄』では日本は民主主義と変化はしたが、それは自分の力で獲得したものではない、「日本の形は変りましたが、あの苦しみを持たないわれわれの変革を あなたに報告するのはつらいことです。」と述べた。
与えられた民主主義。
それでも国民はそれを謳歌したはずなのに今安倍政権で取り去られようとしている。
結局民主主義は、国民自らの努力で獲得し、国民自らの努力でその維持に努めなければならないことを示した。
4:幸いにも安保関連法案で多くの国民が自らの選択でデモに参加した。
政治勢力になりつつある。これがどう育つか、そしてそれが育つのに協力していきたい。
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