【現代思想とジャーナリスト精神】

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名護市区 保守分裂か 市議と現職、立候補の意思固める 12年ぶり選挙戦の可能性 24年県議選

2023-02-23 22:51:34 | 転載と私見

2023年2月21日 琉球新報 転載
沖縄の選挙 県議選 名護市区 比嘉忍 末松文信 山里将雄

(左から)比嘉忍氏 末松文信氏 山里将雄氏


 【名護】2024年予定の沖縄県議選。16年と20年の過去2回無投票だった県議選名護市区(定数2)は、保守系名護市議の比嘉忍氏(55)が立候補の意志を固めたことで、12年ぶりの選挙戦になる可能性が浮上した。現職県議で自民党県連会長代行の末松文信氏(75)も出馬する意向で、保守分裂となる可能性があり、関係者に動揺が広がっている。

 比嘉、末松両氏に加え、現職で「オール沖縄」勢力の山里将雄氏(66)が出馬すれば、選挙戦になる可能性がある。末松氏は現在3期目。保守市政下の2002年~10年に助役、副市長を歴任。22年の名護市長選で再選を果たした渡具知武豊氏陣営の選対本部長を務めた。比嘉氏は渡具知氏との距離も近く、18~22年に名護市議会与党会派「礎之会」の会長を務め、議員らを取りまとめた。渡具知氏がどちらにつくかが焦点になりそうだ。

 渡具知氏は18日、本紙の取材に「できれば一本化が望ましいが、(私は)2人の立場を尊重しなければならない。まだ期間がある。今後の動向を見守りたい」と述べるにとどめた。

 県連関係者は「比嘉氏は国政選挙でも先頭に立って運動した。県連に公認を求めて来た場合、執行部としてはかなり悩ましい事態になるのは確かだ」と眉間にしわを寄せる。ある与党市議は「与党内でも、どちらを支持すべきか迷っている人もいるはずだ」と困惑気味に語る。関係者によると、比嘉氏は3年前の県議選出馬を見送ったことを後悔しているといい「今回は不退転の決意で、たとえ無所属でも出馬するだろう」との見方を示す。

 末松氏については、22年の市長選などで、票固めに向けた、支援団体への要請の頻度が足りないと、地元関係者から不満を漏らす声も上がっていた。同年9月の県知事選では、与党側の事務所が末松氏の事務所と、市内の一部建設業者を中心とした事務所の2カ所に分かれるなど「分裂」の兆候がみられていた。一方、「良識派として県連にはなくてはならない人物だ」(県連幹部)との評もある。

 渡具知氏の支持者の一人は、保守票が割れたとしても議席を失う可能性が低いとの見方を示し「長らく選挙戦をやってこなかったので、名護にとって誰が県議にふさわしいか選ぶことになっても、いいのではないか」と語る。

 オール沖縄関係者は「地元経済界がどう動くかが気になるが、最終的には一本化してくるだろう」と保守分裂の可能性を低いとみる。一方で「こちらも一枚岩とは言えない。仮に両氏が出るとしても、2議席獲得を目指してくるのではないか」と警戒感をあらわにした。保守系が一本化されるか。今後の動向に注目が集まる。
(長嶺晃太朗、松堂秀樹)


<視点>望月衣塑子 学術会議の任命拒否問題を許せば、言論や表現の自由までも脅かされる 

2023-02-23 22:18:02 | 転載

2020年12月24日 22時32分東京新聞


◆任命拒否問題への説明なく年越し

 日本学術会議の在り方を巡り、国からの切り離しの検討を求めた井上信治科学技術担当相は24日、梶田隆章会長と会談し、政府としての判断を来年4月以降に先送りすることを決めた。10月に判明した新会員候補6人の任命拒否問題は、政府からの説明は一切ないまま年を越す。
 後手後手のコロナ禍対応で、感染者は連日過去最多を更新している。政府が心血を注ぐべきは、学問の自由への侵害だと批判され続けている会議への人事介入などではなく、医療や検査体制、生活困窮者への支援を充実させ、予想された第3波に備えておくことだったのではないか。

◆2014年に始まった政治介入

 会議への介入や圧力は、菅義偉首相が官房長官だった2014年7月の学術会議の臨時総会後から始まっている。杉田和博官房副長官は、複数名簿の提示要求や会議側が付けた候補者の推薦順位の入れ替え、順位付けの拒否など、会議の独立性を脅かす数々の介入を重ねた。首相は候補に難色を示す理由は「人事の過程」を盾に答えることさえ拒否してきた。
 国会に提出された資料では、杉田氏が会議側に推薦順位の入れ替えを求めた18年9月以降、少なくとも20回にわたり会議事務局と法制局の間で、任命拒否の法的根拠となる文書の修正が繰り返されていたことも判明した。

◆文書黒塗りの理由は…


 文書の一部は「任命権者の考え方に基づき、誤解を招き得る記述」との理由で黒塗りにされている。一体、どんな「考え方」が「誤解を招き得る」のか、法の解釈や運用を示すはずの文書が黒塗りになっている時点で、国会で説明できないような「問題のある考え方」ではないか、との疑念がぬぐえない。
 「準公務員とはいえ公務員」「(105人の候補者リスト)見てない」「旧帝大に所属の会員が45%」「会員の出身や大学に偏りがある」「民間研究者が少ない。多様性が大事」など、菅首相のこれまでの答弁もちぐはぐで矛盾があり、6人拒否の明確な理由になっていない。

◆脅かされる学問、言論、表現の自由

 学術会議を国から切り離すか否かにかかわらず、首相が日本のナショナル・アカデミーの人事に介入した事実は消えない。国際学術会議はじめ海外からは、任命拒否による会議への中立性や独立性への懸念が出ている。切り離しの議論も、そもそも任命拒否問題の解決なくしてはあり得ない話だ。
 全国の研究者も官僚もメディアも、首相や杉田氏の理不尽なこだわりとメンツに振り回され続けている。学問の自由を理解できない者は、言論の自由も表現の自由も確実に脅かしていく。私たちはこの国のリーダーの今回の判断と数々の言動を次の選挙まで絶対に忘れてはなるまい。

写真:望月衣塑子記者


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