・防波堤は侵入してくる水の量を出来る限り少なくし、住民が避難する時間をかせぐための構造物なのである。したがっていくら高い防波堤があるからといっても、「津波が来たらすぐ逃げろ」ということに変わりはないのである。そこが肝心である。
・田老の防波堤には水洗トイレのフロート弁とそっくりのカラクリがあった。大量の水が来るとフローとが浮き上がる。すると、ワイヤーでつないだフックが外れ、水門が動く仕掛けになっているのではないか。津波が迫ってきたら、人が来て扉を閉じられないことを予め考えに入れていたのではないか。
・大きな津波被害がわずか250年前に起こっているのに、大事故や大災害が起こると、みなすぐに口をそろえて同じことを言う。「今までに経験したことのない大災害だ」「100年に一度の大惨事だ」と。結局、人間は自分自身が経験したことでしか考えられない、と言っているに等しい。
・知っていても(津波が来たら逃げる)行動ができないということは、知識と行動を結びつける「行動回路」ができていない、ということである。頭で覚えるだけでなく、実際に体を動かして、自分の行動回路を作る必要があるのである。
・有田焼 酒井田柿右衛門の「美しい物を作る」と言う言葉の裏側には、「変わらないために変える」という柔軟な考え方が隠されているのである。
・「動かす」と「止める」
技術者は「動かす」ことに知恵をしぼる。「止める」は二の次になりがちである。そこに落とし穴がある。失敗や事故について考察していて気がつくのは。「動かす」という動作もさることながら、「止める」という動作を十全に行えなかった場合に起こっている。実際、ブレーキにまつわる事故が絶えない。2006年には、東京都港区の共同住宅でエレベータが開扉したまま上昇し、男子高校生が挟まれて死亡する事故が起こった。
・技術者は本質安全と制御安全を取り違える。事故はそこで起きるのである。「本質安全」に配慮して設計された機械は、何らかの不具合が発生したり、外乱が加わったりした場合でも、最後の最後で安全が保たれるようになっている。
・事故を起こした六本木ヒルズの自動回転ドアは、約10年にわたってさまざまな改変を経て出来上がったものであった。元々の原型はオランダ製の自動回転ドアで、駆動部のフレームも回転部の骨材もすべてアルミ製で、総重量は約1トンであった。日本ではステンレスを使うことにした。重量が増したことで回転体の慣性力も大きくなったが、その危険に対しては、挟まれ防止センダーを取り付けて対処することにした。制御安全を図ったわけである。総重量2.7トンになり重いドアに変わり、本質安全が軽視された。
・ベトナム市場でのホンダ車のバイクのシェア回復
中国製のイミテーションのバイクが故障したら、ホンダの部品に置きかえる戦略を取った。ベトナム市場の向けの新型バイクを造った。技術レベルが上がっているイミテーションメーカー(の特徴)を自社に取り込んだ。こうしてホンダは中国車を放逐し、ベトナムの市場を奪回しただけでなく、ベトナムの人医たちが求めている、安くてきちんと動く、信頼性のあるオートバイをを提供できるようになった。
・韓国のサムソンには「地域専門家」という技術者がいて、商品を売り込む現地に移り住み、人々が日々の生活の中で何に困っているか、何を不満に思っているか、何を欲しいと思いそうなのかをジッと観察しているそうである。
・リマンの効用(リマニファクチャリング)
コマツでは、ブルトーザーやパワーショベルなどの中古市場に出てきた建設機械や、使われなくなって捨てられたり、自社で引き取ったりした建設機械を完全に分解して組み立て直し販売した。
・「価値の世界を考える」3つの視点
1)不満に思っていること
2)いまはないが、あったらいいなと思うこと
3)お金を払っても手に入れたいと思うこと
・中国の生産ラインには無駄と思われるスペースが多い。しかし、これは将来の変更のための投資として位置付けている。
・思考展開法(考えを作る技法)
新しいアイデアや構想を練る際には、自分の頭の中にある想念や概念を構造的に組み立て、目に見える形に表出することが有効である。
・種出しをする
・くくり図を作る
・思考関連図を描く
・課題を選ぶ
・思考展開図を描く
感想;
畑村氏は失敗学の第一人者と言われている方です。
何冊かその関係の本を読みました。
第一人者から学ぶことは多くの得るものがありました。
・田老の防波堤には水洗トイレのフロート弁とそっくりのカラクリがあった。大量の水が来るとフローとが浮き上がる。すると、ワイヤーでつないだフックが外れ、水門が動く仕掛けになっているのではないか。津波が迫ってきたら、人が来て扉を閉じられないことを予め考えに入れていたのではないか。
・大きな津波被害がわずか250年前に起こっているのに、大事故や大災害が起こると、みなすぐに口をそろえて同じことを言う。「今までに経験したことのない大災害だ」「100年に一度の大惨事だ」と。結局、人間は自分自身が経験したことでしか考えられない、と言っているに等しい。
・知っていても(津波が来たら逃げる)行動ができないということは、知識と行動を結びつける「行動回路」ができていない、ということである。頭で覚えるだけでなく、実際に体を動かして、自分の行動回路を作る必要があるのである。
・有田焼 酒井田柿右衛門の「美しい物を作る」と言う言葉の裏側には、「変わらないために変える」という柔軟な考え方が隠されているのである。
・「動かす」と「止める」
技術者は「動かす」ことに知恵をしぼる。「止める」は二の次になりがちである。そこに落とし穴がある。失敗や事故について考察していて気がつくのは。「動かす」という動作もさることながら、「止める」という動作を十全に行えなかった場合に起こっている。実際、ブレーキにまつわる事故が絶えない。2006年には、東京都港区の共同住宅でエレベータが開扉したまま上昇し、男子高校生が挟まれて死亡する事故が起こった。
・技術者は本質安全と制御安全を取り違える。事故はそこで起きるのである。「本質安全」に配慮して設計された機械は、何らかの不具合が発生したり、外乱が加わったりした場合でも、最後の最後で安全が保たれるようになっている。
・事故を起こした六本木ヒルズの自動回転ドアは、約10年にわたってさまざまな改変を経て出来上がったものであった。元々の原型はオランダ製の自動回転ドアで、駆動部のフレームも回転部の骨材もすべてアルミ製で、総重量は約1トンであった。日本ではステンレスを使うことにした。重量が増したことで回転体の慣性力も大きくなったが、その危険に対しては、挟まれ防止センダーを取り付けて対処することにした。制御安全を図ったわけである。総重量2.7トンになり重いドアに変わり、本質安全が軽視された。
・ベトナム市場でのホンダ車のバイクのシェア回復
中国製のイミテーションのバイクが故障したら、ホンダの部品に置きかえる戦略を取った。ベトナム市場の向けの新型バイクを造った。技術レベルが上がっているイミテーションメーカー(の特徴)を自社に取り込んだ。こうしてホンダは中国車を放逐し、ベトナムの市場を奪回しただけでなく、ベトナムの人医たちが求めている、安くてきちんと動く、信頼性のあるオートバイをを提供できるようになった。
・韓国のサムソンには「地域専門家」という技術者がいて、商品を売り込む現地に移り住み、人々が日々の生活の中で何に困っているか、何を不満に思っているか、何を欲しいと思いそうなのかをジッと観察しているそうである。
・リマンの効用(リマニファクチャリング)
コマツでは、ブルトーザーやパワーショベルなどの中古市場に出てきた建設機械や、使われなくなって捨てられたり、自社で引き取ったりした建設機械を完全に分解して組み立て直し販売した。
・「価値の世界を考える」3つの視点
1)不満に思っていること
2)いまはないが、あったらいいなと思うこと
3)お金を払っても手に入れたいと思うこと
・中国の生産ラインには無駄と思われるスペースが多い。しかし、これは将来の変更のための投資として位置付けている。
・思考展開法(考えを作る技法)
新しいアイデアや構想を練る際には、自分の頭の中にある想念や概念を構造的に組み立て、目に見える形に表出することが有効である。
・種出しをする
・くくり図を作る
・思考関連図を描く
・課題を選ぶ
・思考展開図を描く
感想;
畑村氏は失敗学の第一人者と言われている方です。
何冊かその関係の本を読みました。
第一人者から学ぶことは多くの得るものがありました。