・ゲーテ
「天には星がなければならない。大地には花がなければならない。そして、人間には愛がなければならない」
・ゲーテ「植物変態論」(花は葉の変形したものである)から170年、ついにゲーテの主張は、分子生物学によって証明されました。それが、「ABCモデル」と呼ばれるものです。
花の器官尾の形成は、A,B,Cという三つのクラスの遺伝子の組み合わせによって起こるということがわかりました。
・Aのみが発現するとガクが作られます。
・AとBが働くと花弁が作られます。
・Cのみが発現すると雌しべが作られ
・BとCが働く雄しべとなるのです。
・ABCいずれも発現しないと葉になるのです。
・蒸散の力で引き上げられる水の高さは、130~140mと計算されています。現存する世界一高い木はアメリカのカリフォルニア州にあるセコイアメスギで高さ115mにもなると言います。
・植物はフィボナッチ数列に従う
1 1 2 3 5 8 13 21(前の数値を足す)
一つ前に数字で割って行くと、3/2=1.5、5/3=1.67を続けていくと、黄金比1.618に近づいていきます。植物の葉は、光が満遍なく当たるように、少しずつ葉の位置をずらしながらつけていきます。葉のつき方は「葉序」と呼ばれます。1/2、1/3、2/5、3/8、5/13・・・(毎に葉が付いている)。この分数の分母と分子は、それぞれがフィボナッチ数列で並んでいます。
・うさぎの殖え方はフィボナッチ数に従う。
・花占いの必勝法
スキ→キライ→スキ・・・
コスモスは花びらが偶数の八枚なので、最後は「キライ」
ユリ3枚、ヤマブキ4枚、日日草5枚、マリーゴールド13枚、マーガレット21枚、デージー34枚。花びらもフィボナッチ数列に従っているのです。
例外もある。花びらが7枚や11枚、18枚のものも見つかります。フィボナッチ数列の最初の数字を2、次の数字を1とすると、2 1 3 4 7 11 18・・・。これをリュカ数列と呼ばれる数列です。
・被子植物は世代更新をしながら、さまざまな進化を遂げていきました。そして、食害を防ぐためにアルカロイドをいう毒成分を身につけたのです。トリケラトブスなどの恐竜はそれらの物質を消化できずに中毒死を起したのではないかと推察されています。
・リンゴの果実は、花の付け根の花托と呼ばれる部分が、死亡を包み込むように肥大してできているのです。子房が肥大した本当の実ではないので、リンゴの実は「擬果」と呼ばれています。私たちが食べ残す芯の部分がリンゴの子房が変化したものです。カキの実は子房。イチゴの赤い実もまた、花托と呼ばれる花の付け根の部分が太ったものです。つぶつぶが、イチゴの本当の実です。リンゴとイチゴはバラ科の植物です。バラ科は植物の中でも進化した植物の一つであると言われています。果実を食べさせて種子を散布するというアイデアを最初に実現した植物の一つがバラ科の植物だとされているのです。
・植物にとって一番大切なことは、花を咲かせて、種子を残すことです。踏まれても、立ち上がらなければならないというのは、人間の幻想です。踏まれやすいところに生えるタンポポが、茎を倒して花を咲かせていることがあります。踏まれた葉が刺激を受けると、最初から茎を横に伸ばします。こうして、踏まれるダメージから逃れているのです。
・日本タンポポは自然豊かな環境で育つのに、とても戦略的なのです。西洋タンポポは、種子が小さく競争力は高くありません。一年中、花を咲かせようとするので、夏には他の植物に負けてしまいます。その代わりに他の植物が生えないような都会の道ばたで花を咲かせて、分布を広げているのです。西洋タンポポと日本タンポポと、どちらが強いということはありません。どちらも自分の得意な場所を生息地にしています。雑草と言えども、どこにでも生えるというわけではないのです。
・ハートの形をした葉をよく見かけます。じつは、ハート形の葉の形は、機能的なのです。植物が、光を受けて光合成を行うためには、葉の面積が広いほど有利です。しかし、あまり葉が大きいと、葉柄が葉を支えることができません。ハート形にすれば、葉柄は重心バランスを保ちながら大きな葉を支えることができます。さらに、ハート形の葉は付け根の部分がえぐられているので、葉に受けた雨水や夜露が、葉柄を伝わって茎の根元に堕ちてきます。
何気ない葉の形にも、ちゃんと理由があるのです。
・あるとき植物は、お荷物となってしまった葉を切り捨てることを決断します。植物は、葉の付け根に「離層」という水分や栄養分を通さない層を作ったのです。生産工場である植物の葉っぱは、けなげです。水分や栄養分の供給が絶たれているにもかかわらず、限られた手持ちの水分と栄養分を使って葉を維持しながら光合成を続けていきます。やがて、葉の中で作られた糖分からは、アントシアニンという赤い色素が作られて行きます。植物にとって、アントシアニンは、水不足や寒冷な気温によるストレスを軽減させる物質です。そして緑色の葉緑素が失われていくと、葉に貯まっていたアントシアニンの赤い色素が目立ってくるのです。昼の間、光合成で稼いだ糖が、夜の寒さで案と島人に変化していきます。植物が赤色や黄色の花を咲かせるのは、昆虫を呼び寄せるためでした。植物の果実が赤く色づくのは、鳥を呼び寄せるためでした。それでは、紅葉が赤くなることに何か意味はあるのでしょうか。紅葉した葉がアントシアニンを蓄積しているのは、水分不足や寒さから葉を守るためだったのです。また、抗菌活性や抗酸化機能があり、病原菌から身を守ります。この多機能な物質の抗菌活性や抗酸化機能は、私たちの体の中でもさまざまな効果をもたらします。
・針葉樹は時代遅れの古いタイプであったことが、思いがけず幸いしました。進化した被子植物は、茎の中に導管という水道管のような通水専用の空洞組織を持っていて、根で吸い上げた水を大量に運搬しています。一方、針葉樹は裸子植物なので導管が発達していません。そのかわりに細胞と細胞の間に小さな穴があいていて、この穴を通して細胞から細胞への順番に水が伝えられていきます。導管の中に水が凍結すると、氷が溶けるときに生じた気泡によって水柱に空洞が生じてしまいます。こうして、水のつながりに切れ目ができると、水を吸い上げることができなくなってしまうのです。一方、裸子植物は凍りつくような場所でも水を吸い上げることができるのです。
恐竜の時代、地球を制覇していた裸子植物は、進化した新しいタイプの被子植物にすみかを奪われて行きました。しかし、凍結に強いという優位性を生かして、裸子植物は針葉樹として極冠の地に広がり生き延びたのです。
・農林水産省の定義では「一年草本類から収穫される果実」を野菜、「多年生作物などの樹木から収穫される果実」を果物としています。「木」と「草」も、植物の世界に明確な区別があるわけではなく、人間が都合良く考え出した区別に過ぎないのです。
・根粒菌が空気中の窒素を固定するには多大なエネルギーを必要とします。そのエネルギーを生み出すために、根粒菌は酸素呼吸をします。ところが、窒素固定に必要な酸素は酸素があると活性を失ってしまいます。そのために、マメ科植物は根粒菌のために酸素を運び、余分な酵素はすばやく取り除かなければなりません。この問題を解決するために、マメ科植物は酸素を効率良く運搬するレグヘモグロビンを身につけたのです。マメ科植物が持つこのレグヘモグロビンも、酸素を効率良く運ぶのです。マメ科植物の新鮮な根粒を切ると、血がにじんだようにうす赤色に染まります。これがマメ科植物の血液、レグヘモグロビンなのです。
・人間の精子は一つの核を持っていて、卵子と受精します。ところが、植物の花粉は核を二つ持っています。このうちの一つは、通常の受精をして赤ちゃんである胚を作ります。そして、もう一つの精核は、別の受精をして赤ちゃんのミルクの部分に当たる胚乳を作るのです。このように植物は、二つの受精を行っていることから、「重複受精」と呼ばれています。
・果実の色を緑色から目立つ赤色に変えて食べ頃のサインを出すのです。緑色は「食べないでほしい」、「赤色は「食べてほしい」、これが植物たちが、種子を運ばせるサインなのです。植物の果実を食べて種子を運ぶのは、主に鳥です。鳥は植物の赤い果実のサインに寄ってきます。
・哺乳動物の中で、唯一、赤色を識別する能力を回復した動物がいます。それが人間の祖先であるサルの仲間なのです。こうして私たちの祖先は熟した果実の色を認識して、果実を餌にするようになったのです。赤ちょうちんの色は、熟した果実の色なのです。そのため、人間はついつい赤ちょうちんに吸い寄せられてしまうのです。
・種子が落ちる性質を「脱粒性」と言います。野生の植物はすべて脱粒性があります。しかし、少ない確率で、種子の落ちない突然変異が起こることがあります。人類は、この突然変異の株を見出しました。人類にとっては、ものすごく価値のある性質です。種子がそのまま残っていれば、収穫して食糧にすることができます。種子の落ちない「非脱粒性」の突然変異の発見、これこそが、人類の農業の始まりです。まさにそれは人類の歴史にとって、革命的な出来事でした。
・タマネギの刺激物質であるアリシンは温度が低いと既発しにくい特徴があります。そのためタマネギを切る直前に冷蔵庫に入れて冷やしておけば揮発性物質の発生を抑えることができるのです。
・タマネギは、縦切りにする場合と、横切りにする場合では、涙の出方が変わります。じつは横切りにしたほうが、涙が出やすいのです。タマネギの細胞も縦に並んでいます。そのため、タマネギを縦切りにした場合は、縦に並んだ細胞と細胞とが離れるだけなので、細胞はあまり壊れないことになります。ところが、横切りにすると、細胞が切られて壊れていくので刺激物質がたくさん出てきてしまうのです。
・ワサビを擦るときに力を入れて擦ると、キメが粗くなり、細胞の一つ一つまで壊れません。しかし、力を抜いてていねいに擦っていくと、細胞の一つ一つが壊れていきます。そのため、辛味成分がよりたくさん生産されて、辛味のある擦りわさびができるのです。
感想;
「雑草は踏まれても諦めない 逆境を生き抜くための成功戦略」稲垣栄洋著
「雑草はなぜそこに生えているのか-弱さからの戦略」稲垣栄洋著
を読み、そして今回、
「面白くて眠れなく植物学」稲垣栄洋著を読みました。
雑草魂とか言いますので、雑草は強いと思っていました。
著者は「雑草は強くなく弱い」と述べられていました。
弱いからこそ、与えられた環境で柔軟に生き抜くために自らが工夫して変わっていくとのことです。そしてその逆境を生かして生きていくそうです。逆境なので競争相手がいないなど。
読んでいて、ロゴセラピーの学びを雑草は既に学んでロゴ的に生きているのではと思ってしまいました。
サクラが花を咲かすのにも意味がある。
ただ、人が手を加えたものは環境の変化にとても弱いそうです。
ソメイヨシノは接ぎ木なのでクローンで、一斉に咲きます。
山桜は人の手が入っていないので、バラバラに咲きます。
春先は黄色の花が多いのも意味があるそうです。
スミレがアリの巣の近くの道ばたに咲いているのもスミレの戦術があるそうです。
「天には星がなければならない。大地には花がなければならない。そして、人間には愛がなければならない」
・ゲーテ「植物変態論」(花は葉の変形したものである)から170年、ついにゲーテの主張は、分子生物学によって証明されました。それが、「ABCモデル」と呼ばれるものです。
花の器官尾の形成は、A,B,Cという三つのクラスの遺伝子の組み合わせによって起こるということがわかりました。
・Aのみが発現するとガクが作られます。
・AとBが働くと花弁が作られます。
・Cのみが発現すると雌しべが作られ
・BとCが働く雄しべとなるのです。
・ABCいずれも発現しないと葉になるのです。
・蒸散の力で引き上げられる水の高さは、130~140mと計算されています。現存する世界一高い木はアメリカのカリフォルニア州にあるセコイアメスギで高さ115mにもなると言います。
・植物はフィボナッチ数列に従う
1 1 2 3 5 8 13 21(前の数値を足す)
一つ前に数字で割って行くと、3/2=1.5、5/3=1.67を続けていくと、黄金比1.618に近づいていきます。植物の葉は、光が満遍なく当たるように、少しずつ葉の位置をずらしながらつけていきます。葉のつき方は「葉序」と呼ばれます。1/2、1/3、2/5、3/8、5/13・・・(毎に葉が付いている)。この分数の分母と分子は、それぞれがフィボナッチ数列で並んでいます。
・うさぎの殖え方はフィボナッチ数に従う。
・花占いの必勝法
スキ→キライ→スキ・・・
コスモスは花びらが偶数の八枚なので、最後は「キライ」
ユリ3枚、ヤマブキ4枚、日日草5枚、マリーゴールド13枚、マーガレット21枚、デージー34枚。花びらもフィボナッチ数列に従っているのです。
例外もある。花びらが7枚や11枚、18枚のものも見つかります。フィボナッチ数列の最初の数字を2、次の数字を1とすると、2 1 3 4 7 11 18・・・。これをリュカ数列と呼ばれる数列です。
・被子植物は世代更新をしながら、さまざまな進化を遂げていきました。そして、食害を防ぐためにアルカロイドをいう毒成分を身につけたのです。トリケラトブスなどの恐竜はそれらの物質を消化できずに中毒死を起したのではないかと推察されています。
・リンゴの果実は、花の付け根の花托と呼ばれる部分が、死亡を包み込むように肥大してできているのです。子房が肥大した本当の実ではないので、リンゴの実は「擬果」と呼ばれています。私たちが食べ残す芯の部分がリンゴの子房が変化したものです。カキの実は子房。イチゴの赤い実もまた、花托と呼ばれる花の付け根の部分が太ったものです。つぶつぶが、イチゴの本当の実です。リンゴとイチゴはバラ科の植物です。バラ科は植物の中でも進化した植物の一つであると言われています。果実を食べさせて種子を散布するというアイデアを最初に実現した植物の一つがバラ科の植物だとされているのです。
・植物にとって一番大切なことは、花を咲かせて、種子を残すことです。踏まれても、立ち上がらなければならないというのは、人間の幻想です。踏まれやすいところに生えるタンポポが、茎を倒して花を咲かせていることがあります。踏まれた葉が刺激を受けると、最初から茎を横に伸ばします。こうして、踏まれるダメージから逃れているのです。
・日本タンポポは自然豊かな環境で育つのに、とても戦略的なのです。西洋タンポポは、種子が小さく競争力は高くありません。一年中、花を咲かせようとするので、夏には他の植物に負けてしまいます。その代わりに他の植物が生えないような都会の道ばたで花を咲かせて、分布を広げているのです。西洋タンポポと日本タンポポと、どちらが強いということはありません。どちらも自分の得意な場所を生息地にしています。雑草と言えども、どこにでも生えるというわけではないのです。
・ハートの形をした葉をよく見かけます。じつは、ハート形の葉の形は、機能的なのです。植物が、光を受けて光合成を行うためには、葉の面積が広いほど有利です。しかし、あまり葉が大きいと、葉柄が葉を支えることができません。ハート形にすれば、葉柄は重心バランスを保ちながら大きな葉を支えることができます。さらに、ハート形の葉は付け根の部分がえぐられているので、葉に受けた雨水や夜露が、葉柄を伝わって茎の根元に堕ちてきます。
何気ない葉の形にも、ちゃんと理由があるのです。
・あるとき植物は、お荷物となってしまった葉を切り捨てることを決断します。植物は、葉の付け根に「離層」という水分や栄養分を通さない層を作ったのです。生産工場である植物の葉っぱは、けなげです。水分や栄養分の供給が絶たれているにもかかわらず、限られた手持ちの水分と栄養分を使って葉を維持しながら光合成を続けていきます。やがて、葉の中で作られた糖分からは、アントシアニンという赤い色素が作られて行きます。植物にとって、アントシアニンは、水不足や寒冷な気温によるストレスを軽減させる物質です。そして緑色の葉緑素が失われていくと、葉に貯まっていたアントシアニンの赤い色素が目立ってくるのです。昼の間、光合成で稼いだ糖が、夜の寒さで案と島人に変化していきます。植物が赤色や黄色の花を咲かせるのは、昆虫を呼び寄せるためでした。植物の果実が赤く色づくのは、鳥を呼び寄せるためでした。それでは、紅葉が赤くなることに何か意味はあるのでしょうか。紅葉した葉がアントシアニンを蓄積しているのは、水分不足や寒さから葉を守るためだったのです。また、抗菌活性や抗酸化機能があり、病原菌から身を守ります。この多機能な物質の抗菌活性や抗酸化機能は、私たちの体の中でもさまざまな効果をもたらします。
・針葉樹は時代遅れの古いタイプであったことが、思いがけず幸いしました。進化した被子植物は、茎の中に導管という水道管のような通水専用の空洞組織を持っていて、根で吸い上げた水を大量に運搬しています。一方、針葉樹は裸子植物なので導管が発達していません。そのかわりに細胞と細胞の間に小さな穴があいていて、この穴を通して細胞から細胞への順番に水が伝えられていきます。導管の中に水が凍結すると、氷が溶けるときに生じた気泡によって水柱に空洞が生じてしまいます。こうして、水のつながりに切れ目ができると、水を吸い上げることができなくなってしまうのです。一方、裸子植物は凍りつくような場所でも水を吸い上げることができるのです。
恐竜の時代、地球を制覇していた裸子植物は、進化した新しいタイプの被子植物にすみかを奪われて行きました。しかし、凍結に強いという優位性を生かして、裸子植物は針葉樹として極冠の地に広がり生き延びたのです。
・農林水産省の定義では「一年草本類から収穫される果実」を野菜、「多年生作物などの樹木から収穫される果実」を果物としています。「木」と「草」も、植物の世界に明確な区別があるわけではなく、人間が都合良く考え出した区別に過ぎないのです。
・根粒菌が空気中の窒素を固定するには多大なエネルギーを必要とします。そのエネルギーを生み出すために、根粒菌は酸素呼吸をします。ところが、窒素固定に必要な酸素は酸素があると活性を失ってしまいます。そのために、マメ科植物は根粒菌のために酸素を運び、余分な酵素はすばやく取り除かなければなりません。この問題を解決するために、マメ科植物は酸素を効率良く運搬するレグヘモグロビンを身につけたのです。マメ科植物が持つこのレグヘモグロビンも、酸素を効率良く運ぶのです。マメ科植物の新鮮な根粒を切ると、血がにじんだようにうす赤色に染まります。これがマメ科植物の血液、レグヘモグロビンなのです。
・人間の精子は一つの核を持っていて、卵子と受精します。ところが、植物の花粉は核を二つ持っています。このうちの一つは、通常の受精をして赤ちゃんである胚を作ります。そして、もう一つの精核は、別の受精をして赤ちゃんのミルクの部分に当たる胚乳を作るのです。このように植物は、二つの受精を行っていることから、「重複受精」と呼ばれています。
・果実の色を緑色から目立つ赤色に変えて食べ頃のサインを出すのです。緑色は「食べないでほしい」、「赤色は「食べてほしい」、これが植物たちが、種子を運ばせるサインなのです。植物の果実を食べて種子を運ぶのは、主に鳥です。鳥は植物の赤い果実のサインに寄ってきます。
・哺乳動物の中で、唯一、赤色を識別する能力を回復した動物がいます。それが人間の祖先であるサルの仲間なのです。こうして私たちの祖先は熟した果実の色を認識して、果実を餌にするようになったのです。赤ちょうちんの色は、熟した果実の色なのです。そのため、人間はついつい赤ちょうちんに吸い寄せられてしまうのです。
・種子が落ちる性質を「脱粒性」と言います。野生の植物はすべて脱粒性があります。しかし、少ない確率で、種子の落ちない突然変異が起こることがあります。人類は、この突然変異の株を見出しました。人類にとっては、ものすごく価値のある性質です。種子がそのまま残っていれば、収穫して食糧にすることができます。種子の落ちない「非脱粒性」の突然変異の発見、これこそが、人類の農業の始まりです。まさにそれは人類の歴史にとって、革命的な出来事でした。
・タマネギの刺激物質であるアリシンは温度が低いと既発しにくい特徴があります。そのためタマネギを切る直前に冷蔵庫に入れて冷やしておけば揮発性物質の発生を抑えることができるのです。
・タマネギは、縦切りにする場合と、横切りにする場合では、涙の出方が変わります。じつは横切りにしたほうが、涙が出やすいのです。タマネギの細胞も縦に並んでいます。そのため、タマネギを縦切りにした場合は、縦に並んだ細胞と細胞とが離れるだけなので、細胞はあまり壊れないことになります。ところが、横切りにすると、細胞が切られて壊れていくので刺激物質がたくさん出てきてしまうのです。
・ワサビを擦るときに力を入れて擦ると、キメが粗くなり、細胞の一つ一つまで壊れません。しかし、力を抜いてていねいに擦っていくと、細胞の一つ一つが壊れていきます。そのため、辛味成分がよりたくさん生産されて、辛味のある擦りわさびができるのです。
感想;
「雑草は踏まれても諦めない 逆境を生き抜くための成功戦略」稲垣栄洋著
「雑草はなぜそこに生えているのか-弱さからの戦略」稲垣栄洋著
を読み、そして今回、
「面白くて眠れなく植物学」稲垣栄洋著を読みました。
雑草魂とか言いますので、雑草は強いと思っていました。
著者は「雑草は強くなく弱い」と述べられていました。
弱いからこそ、与えられた環境で柔軟に生き抜くために自らが工夫して変わっていくとのことです。そしてその逆境を生かして生きていくそうです。逆境なので競争相手がいないなど。
読んでいて、ロゴセラピーの学びを雑草は既に学んでロゴ的に生きているのではと思ってしまいました。
サクラが花を咲かすのにも意味がある。
ただ、人が手を加えたものは環境の変化にとても弱いそうです。
ソメイヨシノは接ぎ木なのでクローンで、一斉に咲きます。
山桜は人の手が入っていないので、バラバラに咲きます。
春先は黄色の花が多いのも意味があるそうです。
スミレがアリの巣の近くの道ばたに咲いているのもスミレの戦術があるそうです。