・一番大変だったのは、親族以外に、夫の死を誰に知らせるのかということです。その日はゴールデンウィークの初日、当然、会社は休み、夫の上司の姓だけは知っていましたが、ロックがかかっていなかった夫の携帯を見ると、同じ姓の登録が二件あります。
・弁護士にお願いしただけあって、労働基準監督署に提出する書類は、まるで裁判資料のように膨大な量でした。認定までには1年近くかかりましたが、その間、さまざまなことをまわりの人に言われました。「あいつの妻は会社おw訴えているらしい」という夫の同僚たちのうわさ話も耳に入ってきましたし、私の同僚の中には、「過労死申請なんかして、ご主人は喜ぶと思う? 20年も勤めた会社を敵に回すなんて・・・」と、私に思いとどまるよう忠告した人さえいたのです。ショックでした。もっと辛かったのは、夫と親しかった会社の先輩が悪気もなく、「あいつ、あの程度の労働時間で、過労死かなあ。僕なんてもっと労働時間が長い。・・・」と私にメールしてきたことです。
だから約1年後、労働基準監督署から労災認定の通知をもらった時には、本当にほっとしました。そして、「私は死の研究をしているプロ。あなたを無駄死にさせないからね」と、心の中で夫に報告できました。
・大切な人と死別した場合
1)ショック
2)虚脱
3)閉じこもり
4)適応
という段階を経るとされています。順番通りにいくわけではなく、行きつ戻りつする場合もあるし、二つの段階が同時に起こることもある。どのくらいの期間を経れば、その人がいないという状況に適応できるのかも、人によって様々です。
・上智大学名誉教授のアルフォンス・デーケンさんは、大切な人を亡くした時の「悲嘆のプロセス」を12段階に分類しています。
1)精神的打撃と麻痺状態
2)否認
3)パニック
4)怒りと不当感
5)敵意と恨み
6)罪意識
7)空想形成、幻想
8)孤独感と抑うつ
9)精神的混乱と無関心
10)あきらめ~受容
11)新しい希望~ユーモアと笑いの再発見
12)立ち直りの段階~新しいアイデンティティーの誕生
・「夫がかわいそう」「夫の死を無駄にしない」という気力だけが、私を突き動かしているのではないかと自分で思っています。
・70代の友人が最愛の妻を病気で亡くしました。とても悲しんでいたので、「つらいでしょうけれど、そんなに悲しい思いを妻にさせなくてよかった、と思うしかないですね」と声をかけました。身を切られるほど悲しくてもつらくても、同じ思いを配偶者に味わわせるなくてよかった、と思うしかないというのが、私が自分の経験から学んだ納得の方法でした。
・没イチ会には、「死んだ配偶者の分も、2倍人生を楽しむ使命を帯びた人の会」というテーマを掲げました。没イチは「人生を楽しんでいい」のではなく、「人生を楽しめなかった配偶者の分も人生を謳歌しなきゃならない」という発想です。
・亡くなって一番落ち込んだのは1年間。妻の両親から、本人の生きた証を何らかの形に残せないかとの希望を聞き、「それなら本を作りましょう」と、落ち込みながらも原稿を作成しました。本を書き終わって、全部吐き出したのではないでしょうか。本を書いているうちに気持ちの整理がついてきた気がしますね。
・実は、今、一番心配なのは義理の両親、妻の親をどう看ていくかということです。妻は一人っ子で、両親の兄弟。親戚はみんな他県なんです。
・老後をよりよく生きるには、「キョウイクとキョウヨウ」と身につけることが大事というんです。これは「今日行く(所)」「今日(する)用事」を日課として身につけようということらしいんですね。「教育と教養」の音をもじっているわけです。
・死別の悲嘆研究の第一人者であるウィリアム。ウォーデンは、悲嘆のプロセスは次の四つの課題をこなしていくことだと主張しています。
1)故人はもういないと認識し、亡くなったことを理解することだといいます。
2)死別の悲しみを体験することです。
3)故人のいあに環境に適応することです。
4)故人のことを忘れずに、残された人は生活をしていくということです。
・配偶者亡き後、親族とどう付き合うか-増える「死後離婚」
・没イチの再婚を考える
2016年に再婚した没イチの人は男性で3,913人、女性で2,295人でしたので、没イチの女性が再婚しないのではなく、60歳を超えてからの再婚は女性では1割にも満たず、少ないのに対して、男性ではむしろ、60歳以降での再婚が全体の3割を占めていることがわかります。没イチで再婚した年齢を見ると、女性では30代から40代前半が圧倒的に多いようです。夫に先立たれ、教育費や養育費がかかる子供を抱えていれば、経済的な理由で再婚したいという人は少なくないはずです。一方、男性の場合、50代後半以降での再婚が多いのは、退職後の長い人生をこのまま一人で過ごしたくないとという男性が多いからなのでしょう。
・没イチのシニア女性が再婚したくない理由の一つに、年金問題があります。厚生年金に加入する夫が亡くなり、18歳以下の子供がいない妻は、遺族年金を受給できますが、妻が再婚すると、遺族年金の受給資格は消滅し、遺族年金受給はなくなります。この再婚相手と離婚した場合でも、一度受給資格がなくなった遺族年金は、再度受給することはできません。つまり没イチ女性にとって再婚は、遺族年金を受け取る権利を失うことになるのです。
・配偶者は自分のことをよく理解しているかと思うかとたずねたところ、男性では「そう思う」と回答した人は過半数の50.2%もいましたが、女性では20.4%にとどまっているうえ、3割以上の女性は夫から理解されていないと感じていました。
・かっては、配偶者の「きょうだい」と再婚することもありました。この慣習は世界の各地で見られ、夫に先立たれた妻が、夫の兄弟と結婚することをレビラト婚、逆に妻に先立たれた夫が、妻の姉妹と結婚することをソロラト婚といい、両家の親族集団の結びつきを維持するためにおこなわれていました。
感想;
結婚していても、どちらかが先に亡くなります。
残された方が一人になります。
子どもがいても別々に暮らしている人も多いです。
老人ホームに入っていても2週間、死亡が発見されなかったそうです。
仲間と話していたら、一人暮らしの人が、「毎日子どもにメールしている」と言っていました。
メールがなかったらおかしいと気づいてもらえるとのことです。
LINEの良さは既読かどうかが分かることです。
子どもからスタンプ送ればそれを見てくれたかわかります。
ネットを生かして、上手く活用することは”没イチ”にとっても必要だと思います。
・弁護士にお願いしただけあって、労働基準監督署に提出する書類は、まるで裁判資料のように膨大な量でした。認定までには1年近くかかりましたが、その間、さまざまなことをまわりの人に言われました。「あいつの妻は会社おw訴えているらしい」という夫の同僚たちのうわさ話も耳に入ってきましたし、私の同僚の中には、「過労死申請なんかして、ご主人は喜ぶと思う? 20年も勤めた会社を敵に回すなんて・・・」と、私に思いとどまるよう忠告した人さえいたのです。ショックでした。もっと辛かったのは、夫と親しかった会社の先輩が悪気もなく、「あいつ、あの程度の労働時間で、過労死かなあ。僕なんてもっと労働時間が長い。・・・」と私にメールしてきたことです。
だから約1年後、労働基準監督署から労災認定の通知をもらった時には、本当にほっとしました。そして、「私は死の研究をしているプロ。あなたを無駄死にさせないからね」と、心の中で夫に報告できました。
・大切な人と死別した場合
1)ショック
2)虚脱
3)閉じこもり
4)適応
という段階を経るとされています。順番通りにいくわけではなく、行きつ戻りつする場合もあるし、二つの段階が同時に起こることもある。どのくらいの期間を経れば、その人がいないという状況に適応できるのかも、人によって様々です。
・上智大学名誉教授のアルフォンス・デーケンさんは、大切な人を亡くした時の「悲嘆のプロセス」を12段階に分類しています。
1)精神的打撃と麻痺状態
2)否認
3)パニック
4)怒りと不当感
5)敵意と恨み
6)罪意識
7)空想形成、幻想
8)孤独感と抑うつ
9)精神的混乱と無関心
10)あきらめ~受容
11)新しい希望~ユーモアと笑いの再発見
12)立ち直りの段階~新しいアイデンティティーの誕生
・「夫がかわいそう」「夫の死を無駄にしない」という気力だけが、私を突き動かしているのではないかと自分で思っています。
・70代の友人が最愛の妻を病気で亡くしました。とても悲しんでいたので、「つらいでしょうけれど、そんなに悲しい思いを妻にさせなくてよかった、と思うしかないですね」と声をかけました。身を切られるほど悲しくてもつらくても、同じ思いを配偶者に味わわせるなくてよかった、と思うしかないというのが、私が自分の経験から学んだ納得の方法でした。
・没イチ会には、「死んだ配偶者の分も、2倍人生を楽しむ使命を帯びた人の会」というテーマを掲げました。没イチは「人生を楽しんでいい」のではなく、「人生を楽しめなかった配偶者の分も人生を謳歌しなきゃならない」という発想です。
・亡くなって一番落ち込んだのは1年間。妻の両親から、本人の生きた証を何らかの形に残せないかとの希望を聞き、「それなら本を作りましょう」と、落ち込みながらも原稿を作成しました。本を書き終わって、全部吐き出したのではないでしょうか。本を書いているうちに気持ちの整理がついてきた気がしますね。
・実は、今、一番心配なのは義理の両親、妻の親をどう看ていくかということです。妻は一人っ子で、両親の兄弟。親戚はみんな他県なんです。
・老後をよりよく生きるには、「キョウイクとキョウヨウ」と身につけることが大事というんです。これは「今日行く(所)」「今日(する)用事」を日課として身につけようということらしいんですね。「教育と教養」の音をもじっているわけです。
・死別の悲嘆研究の第一人者であるウィリアム。ウォーデンは、悲嘆のプロセスは次の四つの課題をこなしていくことだと主張しています。
1)故人はもういないと認識し、亡くなったことを理解することだといいます。
2)死別の悲しみを体験することです。
3)故人のいあに環境に適応することです。
4)故人のことを忘れずに、残された人は生活をしていくということです。
・配偶者亡き後、親族とどう付き合うか-増える「死後離婚」
・没イチの再婚を考える
2016年に再婚した没イチの人は男性で3,913人、女性で2,295人でしたので、没イチの女性が再婚しないのではなく、60歳を超えてからの再婚は女性では1割にも満たず、少ないのに対して、男性ではむしろ、60歳以降での再婚が全体の3割を占めていることがわかります。没イチで再婚した年齢を見ると、女性では30代から40代前半が圧倒的に多いようです。夫に先立たれ、教育費や養育費がかかる子供を抱えていれば、経済的な理由で再婚したいという人は少なくないはずです。一方、男性の場合、50代後半以降での再婚が多いのは、退職後の長い人生をこのまま一人で過ごしたくないとという男性が多いからなのでしょう。
・没イチのシニア女性が再婚したくない理由の一つに、年金問題があります。厚生年金に加入する夫が亡くなり、18歳以下の子供がいない妻は、遺族年金を受給できますが、妻が再婚すると、遺族年金の受給資格は消滅し、遺族年金受給はなくなります。この再婚相手と離婚した場合でも、一度受給資格がなくなった遺族年金は、再度受給することはできません。つまり没イチ女性にとって再婚は、遺族年金を受け取る権利を失うことになるのです。
・配偶者は自分のことをよく理解しているかと思うかとたずねたところ、男性では「そう思う」と回答した人は過半数の50.2%もいましたが、女性では20.4%にとどまっているうえ、3割以上の女性は夫から理解されていないと感じていました。
・かっては、配偶者の「きょうだい」と再婚することもありました。この慣習は世界の各地で見られ、夫に先立たれた妻が、夫の兄弟と結婚することをレビラト婚、逆に妻に先立たれた夫が、妻の姉妹と結婚することをソロラト婚といい、両家の親族集団の結びつきを維持するためにおこなわれていました。
感想;
結婚していても、どちらかが先に亡くなります。
残された方が一人になります。
子どもがいても別々に暮らしている人も多いです。
老人ホームに入っていても2週間、死亡が発見されなかったそうです。
仲間と話していたら、一人暮らしの人が、「毎日子どもにメールしている」と言っていました。
メールがなかったらおかしいと気づいてもらえるとのことです。
LINEの良さは既読かどうかが分かることです。
子どもからスタンプ送ればそれを見てくれたかわかります。
ネットを生かして、上手く活用することは”没イチ”にとっても必要だと思います。