https://news.yahoo.co.jp/articles/2e8ef9461ac372b368ba02283ad43eb980c2528c 10/21(土) 7:06配信 山陰放送 双極症によるうつ症状におよそ10年間苦しんだ看護師の男性がいます。 生涯を通じて5人に1人がかかるともいわれている「こころの病気」。自身の経験を生かして、同じようにうつ症状に苦しむ人たちを助けたいと、相談室を立ち上げました。 当事者だからこそ分かる、患者が本当に必要としている支援提供を目指します。
島根県浜田市出身の安井裕貴さん(42)は、人の役に立ちたいとの思いから、30歳の時に看護師に転職。その3年後、さらにステップアップしようと、高度な技術が求められる救命救急センターで働くことになりました。しかし、希望に満ちていた安井さんに待っていたのは、双極症によるうつ症状でした。
看護師・うつ専門カウンセラー 安井裕貴さん 「夜勤があることによる不規則な生活やストレスなどもあって、はじめは、疲れが取れない、眠れない、頭も体も思うように動かないといった症状がありました」 新しい職場で働き始めた直後に感じた体の違和感。 ただ、そのときは「気合いが足りない」「やる気が足りない」と周りも安井さん自身も思っていました。 しかし、体調は悪化の一途。仕事熱心な性格から、頑張りすぎてエネルギー切れとなり、倒れてしまうことなどを繰り返す中で、医師からは双極症によるうつ症状だと診断されました。 双極症とは、気分がハイになり過ぎたり(躁状態)、落ち込み過ぎたり(うつ状態)を繰り返すという特徴があり、躁状態のときには仕事を頑張りすぎてしまい、うつ状態に落ちる。 安井さんの場合は、躁状態よりもうつ状態の期間の方が長く、うつ症状を改善するための薬を服用しながら、看護師を続けました。
安井裕貴さん 「救急車でどんどん患者さんが運ばれてくる、それに臨機応変に対応しなければいけない。常にアンテナを張っていて、刺激が強い。もともと、そういう現場で働きたいという思いはあったけど、自分には合っていなかったんだと思います。自分がやりたいことと自分ができることは違うんだとその時感じました」
頭痛、ボーっとする、不眠、吐き気、慢性疲労、記憶力低下、光がまぶしい、手先がしびれるなどの身体症状に加え、自信喪失、不安感などの精神症状に苦しみました。 しかし、仕事場では自分が双極症だということを悟られてはいけないという気持ちから、同僚にも打ち明けることはできませんでした。
安井裕貴さん 「注射器を使った薬の配合など、これまで何度もしてきた作業であっても、自信が無かったり、集中力が続かなかったりして、できなくなっていくんです。人との関わりも段々自信が無くなってくるんですよね。当時は、自分自身が双極症だということを周りにも悟られたくないと感じていたのもあって…」 「家族を守らなければいけない、けど自分も双極症でしんどい、相談もできない。家族や友人はいても、心理的に孤独に追い込まれていく。
「死にたくなる」っていうのはやっぱりあって、それを妻や両親に言ってしまったこともあります。今となっては申し訳ないと思いますが、それぐらい追い込まれました」 生きる道が閉ざされたような感覚に陥ったといいます。 「こんな情けない人生を送るのなら死んだ方がマシだ」「生まれて来なければよかった」と思ったこともあったそうです。 決して仕事が嫌いというわけではない、むしろ看護師という仕事が好きで、働いていて誇らしいとも感じていましたが、だからこそ、思うように自分が働けないことへの歯がゆさや情けなさを感じ、その気持ちが大きく膨らんでいきました。
安井裕貴さん 「看護師を目指した理由でもある、人の役に立ちたい、世の中の役に立ちたいという気持ちが過度だったと思います。まずは自分を大切にしないといけない、それができて人を助けるということを実感しました」 治療を続けながら職場を転々とし、およそ10年間かけて双極症を克服。現在は高齢者施設で看護師として勤務しています。 そして、同じように苦しんでいる人たちを助けたいと、プロフェッショナル心理カウンセラーの資格を取得し、今年5月「こころの回復相談室」を立ち上げました。
また、今年10月には自信の体験を記した本も出版。闘病中に自身が知りたかったことをはじめ、どのように双極性によるうつ症状を克服したかなどの情報をまとめていて、双極症に苦しむ人やその家族、周りの人の参考になればと話します。
安井裕貴さん 「当時の僕に必要だったサービスを作りたいと思ったんです。同じ苦しさ、同じ孤独感を味わった人にしかやはり分からないものがあると思います。同じ気持ちを味わった人の前だからこそ、自分の心からの叫びが出せると思います」 「こころの回復相談室」では、カウンセリングに加えて、自信の経験から得たアドバイス・助言をするほか、メールなどでいつでも相談できるような包括的なサポートを行っています。
安井さんの活動の拠点は広島市ですが、希望があれば相談は全国どこからでも構わないといいます。 安井裕貴さん 「うつを克服するということは、必ずしも通院が終了することや、薬がなくなることだけではありません。「常に穏やかな気持ちで、自分らしく幸せな社会生活が送れるようになること」それが私の考えるうつの克服です。 また、薬ですべて解決できる訳ではありません。生活を整えること、環境を調整すること、自分に合った生き方を見つけることなど、それぞれに合ったうつの克服方法を一緒に見つけたいと思っています」
感想;
薬だけでは、乗り越えることはなかなか大変なのでしょう。
薬は手助けと認識して、食事、睡眠、排便、運動などをうまく管理することが重要なのでしょう。
一人ひとり違うので、自分に合った解決方法を見つけることなのでしょう。
そして大変なときは、医者や誰かに話すことで、一人で抱え込まないことが大きいように思います。
自分を知ることが大切なように思います。
下記のサイトにメンタルに関係する本の紹介と読んで気になった箇所を紹介しています。