・『自殺の心理学』高橋祥友著
・社会的要因
②援助希求行動と
スティグマ(ネガティブなイメージ)
・自殺の対人関係理論 トーマス・ジョイナー
自殺の危険性
「身についた自殺潜在能力-死に切る力
「所属感の減弱」-孤独感の高まり
「負担感の知覚」-自分は社会のお荷物なっているとか、誰かに迷惑をかけるような存在
・Twitterで「死にたい」とか「自殺したい」とかつぶやいている人は、過去に自殺企図をした事がある人が多く、自殺の計画をしており、自殺念慮を抱いていて、自傷経験があり、抑うつ度が高く、精神科に通った経験があり、アルコールを飲む頻度が高いようでした。
・心の絆を作るためにやってはならないことは割と単純です。
①話をそらして「死にたい」という気持ちに向き合わないことは、最も避けるべきことです。相手のことを批判して𠮟りつけたり、社会的・一般的な価値観を押しつけたりすれば、心の絆ができることはないでしょう。これは難しいところですが、励ましたり激励することも、避けておいた方が無難かもしれません。
②助言することも同様で問題状況を解決するための助言やアドバイスは空疎に響くことも多く、当初は避けておいた方が無難です。死にたい状況に追い込まれた人の置かれた環境は複雑で、簡単な解決策が見当たらない場合がほとんどであり、死にたいと言う前に本人なりに考えたさまざまな解決案がいろいろと試されているはずです。そのような状況下で、安易な解決策を助言したところで、ほとんどの場合、「もうそんなことはとっくにやったよ」となってしまい、信頼を失う可能性が高くなります。
・話を聞くと書きましたが、沈黙が続く場合にはそれを共有するだけでもOKです。
・大事なことは相手の言ったことを全て肯定して受け入れることではありません。「死にたい」と言われて、それを工程する必要はありません。重要なことは、「死にたい」と感じる背景にある状況を理解し、そのような状況であれば「死にたい」と思うことも無理はないということに対して共感し、気持ちを分かち合うことです。
・「死にたい」には波がある。
「死にたい」に対応する時には、そのことと常に心の内にとどめておきたいものです。
・負担感の知覚に働きかけることはできるのか
①自殺の準備状況の確認であり、準備がなされている場合には、それを物理的に使えないようにするということでした。これが、自殺潜在能力への介入ということになります。
②所属感の減弱への介入であり、それは、関係性を強化することで所属感を作り、孤独な状況を解消するというものです。そのためには、絆/関係性を作るために話を聞くことが重要でした。
③危機介入の最終段階は、負担感の知覚への介入です。自分が周囲や親しい人の負担になっている、迷惑をかけている、自分が役立たずのお荷物になっている、そしてそんな自分が嫌いだという考えのことです。
・気をつけるべきポイント
①「死にたい」に対応することはある程度頑張ればできても、対応し続けることは相当難しいということです。
②危機介入をすることは重要ですが、それで済ますのではなく、死にたい気持ちが落ち着いている間に、少しでも問題を解決して状況を変える必要があるということです。
・死にたい気持ちに圧倒されそうな時に最も重要なことは、誰かとつながり、自分を一人にしないことです。誰かと一緒にいることは、物理的にも心理的に、自分の身体をマストに縛りつけておくことにつながります。
・我々の人生、死なないだけでつらいことは消えず、つらいことがあるたびに何らかの方法で対処をして、それだけでいいのかと言われれば、当然そんなことはないと感じるだろうと思います。死なないだけの人生に価値があると感じろというのは、それはそれでおかしな話です。できることであれば、幸せでハッピーに生きていきたいと思うのは人として当然のことです。
・私の場合は、毎月妻にその月に何をしてもらったのか、そのことについてどう感じたかということを書いて、メールで送って感謝を伝えています。・・・
それをやり始めると、しばらくしてから、妻からも同様に私への感謝状が毎月届くようになりました。やはり、人間関係の基本は小さな親切と感謝という相互贈与の積み重ねです。幸せで死にたくならない生活環境は、こうした小さな習慣から作っていくこともできると思われます。
・生活習慣の形成に重要なことは三つ
①有能性 特定の行動をやる方法が分かり、実際にやれると思うこと
②関係性 特定の行動をやることを通じて対人関係の満足が得られること
③自律性 他人から強制されてやっているわけではないということ
・こうした一見ネガティブに感じる感情が実はとても役に立っているからです。
・自殺を考えさせるような心の痛みも、ネガティブな感情も同様の大事な機能を持っています。不安感は不快ですが、不安を感じない人間がいたらその人はこの世界を適応的に生きていくことができるでしょうか。・・・ネガティブな感情は、我々が生きていく上で必要な者であり、重要な人生のパートナーです。
もちろん、喜び、うれしい、楽しいといったポジティブな感情も大事なものです。
・「死にたい」「消えたい」とだけ思い続けて一生を生きていくのはつらすぎます。ネガティブな感情が人生に多すぎれば、そうした感情に圧倒されてしまうと思います。しかし、ある時期に「死にたい」「消えたい」「とても憂うつだ」と感じることは、あなたの人生を豊かにするために役立つサインとなるかもしれません。
そして、そのための鍵は身近な他者との関係性と、自分が置かれた状況を把握するための理性が握っています。
感想;
今が苦しいから、この苦しさから逃れたい。
生活の困窮で生活保護まで受けて生きたくない。
何も楽しいことがない。生活の困窮、生きることの困難があります。
生きる意味が見いだせない。なぜ生きなければいけないのか。自殺してはいけないのか。という意味喪失もあります。
様々な理由があります。
一人ひとりその理由は違うのでしょう。
自分が生きる意味を見出すことは難しく、自分が誰かのために何かのために生きることが必要だと実感できると、困窮、困難に耐えて生きる力が高まるのかもしれません。
人生にネガティブなことが無ければと願います。
でもそれは人生をつまらないものにしてしまうことがあるようです。
大変なことがあったから今がある。
大変なこと、ネガティブなことは人生をより意味のあるものに、より深いものにしてくれる大切なきっかけの場合も多いようです。
まさに神様からどんな使命を与えられているのか?
その使命を達成するためには、ネガティブなことが必要と思えるかどうかもあるのではないでしょうか。
それとやはり楽しいことをして、嬉しいな、楽しいな、笑う時間を持つことなのでしょう。
美味しいものを食べる、好きなことをする、人を好きになる、それが幸せホルモンを分泌し、死にたい気持ちを緩和してくれるだけでなく生きるエネルギーにもなるように思います。