内容説明
コロナ禍の危機的状況から復活した新宿・歌舞伎町。街の主役は中年男性から若者に変容、Z世代が多数派となった歌舞伎町では売春がカジュアル化し、日常風景となっていた。いくらお金があっても足りない“底なし沼”に落ちたホスト狂い。好きな男のためにオジサンと寝る未成年少女。追放運動で追いつめられたヤクザに尽くす妻や恋人―。“欲望の街”に引き寄せられる女たちは、「貢ぐ」ために貧困化していた。
目次
第1章 トー横キッズと未成年売春
第2章 絶望の地下アイドル
第3章 「ホス狂い」の女たち
第4章 売春という生存戦略
第5章 カモられる中年男性
終章 出会いカフェの女
第2章 絶望の地下アイドル
第3章 「ホス狂い」の女たち
第4章 売春という生存戦略
第5章 カモられる中年男性
終章 出会いカフェの女
・「地雷男子」
トー横キッズ 男女比はおおよそ3:7
・「トー横にいる女の子は、売春でお金をつくって地雷男子とか男に貢ぐ
・「おぢ」とは売春客のことをいう。
「売春して精神的にダメージを受けちゃう子は、せいぜい2割くらい。トー横の場所が楽しいのと、家に帰りたくないって気持ちのほうが大きい。だから、ほとんどの女の子は嫌でもなんとか乗り切る。おじと(セックスを)するのは嫌だけど、2,3回やって慣れちゃったみたいなのが普通。プロになっちゃう」
・未成年者を食い物にする異常な世界
「一応、日本が先進国と定義したうえで、中学生とか高校生の未成年の女の子を大人の男が色恋をかけてカラダの関係を持って、恋愛状態にさせて、子どもに売春させて蜜がさせるってことを集団としてやっているのは、世界的に見てもトー横隈しかないんじゃないですか。異常な世界だと思う」
・歌舞伎町は暴力団を追放し、国際交流都市を目指して再開発された。生まれ変わった歌舞伎町の主役はZ世代(1987年~95年生まれ)の若者になっていた。
・サイコパスはターゲットを虚言や恐怖で支配し、上下関係をつくって、洗脳していく。聞いていると、彼女の被害は本当にサイコパス被害だった。
・「5年前から生活保護、18歳のときに精神科にかかって、最初の先生からはさじを投げられました。18歳のときに難病にもかかって、地元の九州に帰ることになった。一生完治しないって。田舎は何もすることがないし、町で噂になっちゃうので精神科にもかかりづらい。結局、また上京した。いまは生活保護を受けながら埼玉に住んでいます」
「最初は鬱と境界性人格障害。いまメインで治療しているのは鬱と摂食障害。中学2年のときからリストカットをしまくって、高校2年のときから躁鬱みたいになって、全然治らないのでその延長でずっと。母子家庭だったので高校生になってからバイトして、学校とバイトと不眠症でまったく眠れなくなって本当におかしくなりました」
出身は九州の田舎。シングル家庭で母親はホステスだった。
「病んでおかしくなったきっかけは中学のとき、男子にブスとかデブとか気持ち悪いとか言われ続けたから。中学時代は体重60キロで自分を嫌いすぎた」
・ホストは初回だけは1,000円、2,000円という安価で遊べる。代わる代わるホストが席にやって来て、顔合わせ的に挨拶して短い会話をする。そして、2回目以降にそのホストをクラブに行くとき、誰かを指名しなくてはならない。ホストクラブは永久指名制。一度指名すると、その店では指名したホスト以外を指名することはできなくなる。女性たちは指名しているホストのことを「担当」、担当は指名してくれた女性を「姫」と呼ぶ。
・女性は来店時にお金を持っていなくても、ホストに借りることで遊ぶことができる。たとえば30万円のお会計だったとき、ホストが女性に代わって半分の15万円を店に入金する。そうすることで店舗側は30万円の売り上げとしてカウントする。女性は担当ホストに30万円の借金をした、ということになる。売掛をどう返すかは女性とホストの関係次第であり、店が関与することはない。
・「出稼ぎ」とは、都市部の風俗嬢が地方の風俗店で日程を決めて短期で働くこと。知らない街で、泊まり込みで客をとり、集中して働く。知らない町なので知り合いもおらず、お金を使わないのでかなりのお金が貯まる。
・1本番5万円の「同人AV」
「個人の撮影者のモデルをすることで、ハメ撮りみたいなことをする。今年からどんどん出演している。2~3時間で終わるのですごくラク」
1本番5万円、生中出し10万円で出演している。同人AVとは個人の撮影者がハメ撮りなどを撮影し、FC2などのサイトで動画配信をする。女性器や結合部が丸見えの無修正映像があふれていて市場希望はどんどん拡大している。いまは適正AVと呼ばれるアダルトビデオと同程度の規模がある。
・アカウントをつくって「#同人モデル #フェッチ #個人撮影」などのハッシュタグをつけて発信していれば、個人撮影者から出演依頼のDMが来る。そこで条件が合えば撮影となる。
・女性たちがホストクラブに行くのは、その場を楽しむために行っているわけではない。ホストクラブはホスト女性客の疑似恋愛の場である。
女性は恋愛感情のあるホストに会いに行き、ホストは恋愛感情を持たれている女性から少しでも多くの売り上げを得る目的がある。彼女たちの消費を最大数目指し、女性に対しさまざまなアプローチを行う。
・2018年から空前のホストブームが起こっている。
・『「ぴえん」という病』佐々木チワワ著
・マッチングアプリのTenderはホストの集客ツールに利用されているという。
・歌舞伎町二丁目のホスト街には、女の子たちに限界を超えた消費をさせるシステムができ上がっていゐた。
・ホストを批判するわけではないが、昭和から平成に数々の女性たちを壊してきたアダルトびでも業界、そして無数の依存症と経済破綻を生んだパチンコ業界は社会悪のターゲットとされて厳しい法規制が入っている。
令和のホストクラブが同じ道をだとるのは、時間の問題だろうという印象を持った。
・「いまはもう若い人たちは誰もヤクザにならない。儲からないし、すぐに逮捕されるし、旨味が何もない。ヤクザの貧困化と高齢化が進んでいて、もうどうしようもない状態になっている」
・「ヤクザはシノギがないから、みんな日雇いの土方をしていますよ。土方をしても組織を辞めないのは、こうやって仲間で集まって飲みたいから。暴力団は金と力がなくなって、もう老人サークルみたいになっちゃっている」
・いま(大久保病院前の)目の前で立ちんぼしているのは、元気そうなZ世代の女の子たちだ。少なくとも戦争未亡人のような状態ではない。
・オジサンに言われたとおり、病院前に試しに立った。中年男性から5秒で声がかかった。2万円という条件を言うと、相手はうなずいたのですぐに近くのラブホテルに行った。それが初めての売春行為さった。
それから時間を見つけては、大久保病院前に行って街娼をするようになった。
・中国の農村部の女性は結婚願望が強く、恋愛=結婚という意識が少なからずあるようだ。売春クラブの女性とは思えない話になっていく。
「その日本人とは友達の紹介で一緒に遊びに行った。付き合ってセックスしたけど、日本人は、結婚してくれなかった。いおんな女と遊んでいた。だからフラれた理由は好きだった男が、いろんな女と遊びたいから。結婚したくないから。私の地元だった、そんなことあり得ない。必ず責任とって結婚する。それが常識、当たり前」
・「覚せい剤をやると風俗の仕事が苦痛じゃなくなった」
「なんでも頑張れる。仕事も頑張れるし、たとえば、すごく汚いオジサンがカッコよく見えちゃうみたいな。だから仕事も苦痛じゃなかった。だからずっと働いた。だけど働いた分、覚せい剤を買う。それで仕事を頑張る。負のループになっちゃって何も残ってない。覚せい剤はグラムイチハチ(1グラム1万8千円)だった。薬物が完全にやめられなくなった」
・「ホス狂いの女の子はたちは無限にお金が必要なので、常にどうやってお金をつくろうか考えています。ホス狂い女子会みたいなのはよくある。基本的にお金の話ばかり。内容はエグイです。どこの風俗が稼げるとかいうレベルじゃなく、おじさんたちからどうやって財産を奪うかみいなこと。彼女たちに狙われているのは、寂しいおじさん、40代、50代で見込んで優しそうな人をなんとか見つけて、“ガチ恋”をさせてお金を引っ張りたがっている」
・ホストクラブに行くお金をつくるため、風俗や街娼をする女性たちはこれまで本書で紹介した。若い女性を求める中年男性に、肉体を提供してその対価をもらうだけでは上限がある。ホストクラブで他の女性に勝つためには、それではお金が足りない。されに稼ぐために、寂しい心を抱える中年男性を恋愛状態にさせ、そこからお金緒引っ張ることまで企んでいる。
・『おじさん攻略法』情報教材がバカ売れ
客の収入が高い傾向があり、十分なコミュニケーションがとれるのは高価格帯のソープランドだ。
・風俗での就労収入と色恋での収入でダブルインカムとなる。稼ぎながらカモを探すことが出来るので、ホス狂いたちはこぞってソープランドで働く。
・“ホストに狂う”心理を分析する
「ホストと姫という立場を超えて愛されたいのだと思う。他の女ん本営だけど、自分だけは違うと思いたい」
・「ホストクラブは趣味とか、好きなことがなあった人がハマる。それでホストに依存して執着する」
・同人AVに出演しまくるホス狂いの宮下あさ美も、「ホストは初めてできた趣味だから」と言っていたい。
・セックスなしのパパ活は継続しない(都内私立大学4年生)
茶飯のときはパパとの関係は続かなかった。しかし、セックスをするとパパはまた会いたがった。新規のオファーも激増した。定期のパパがどんどん増えていいった。・・・
定期のパパの年齢は31~60歳。19人全員と肉体関係がある。そして一度のデートやセックスで3万~6万円をもらう。洋服や持ち物はすべてパパから買ってもらったもので、食事はぱぱとのデートだけで賄える。
・「ずっと死にたくて。風俗嬢として全盛期だった21歳、22歳とかですね。なんで死にたかったんですかね。死ぬのは、もうあきらめました」
・「死のうと思って切っていたので、「けっこう傷がある。でも、切っても死ねない。精神科で薬をもらって、薬を溜めて300~400錠とか一気に飲んでも助かっちゃう。何回も何回も救急車で運ばれたり、入院している。けど、死ねない。死ぬことは、だいぶ前にあきらめました」
「一人になると落ち込む。遊んでいるときはいいけど、落ち込むと死にたくなる。いまでも死にたいってときはあるけど、子どもを産んでからは自殺未遂みたいなことはしてないかな。そう、子どもがいる。いま中学3年生、男の子。31歳で産んで33歳で離婚して、調停して子どもは持っていかれた。いまも月1で会っている。持ったいかれたのは生活力がないし、貧乏だからじゃないですか」
感想;
読んだ感想は下記でした。
①貧困女性が苦しんでいるということ
②国は助けようとしていないこと
③男は女を食い物にしているということ
④私は実態を知らなかったということ
⑤苦しんでいる女性にはそれぞれ背景(貧困家庭、虐め、病気など)があるということ
寂しいので、ホストが恋愛体験を与えてくれるのでそれを失いたくないので、どんどんお金を貢ぐのでしょう。
そしてお金を貢げなくなるとホストから棄てられてしまうのです。
大金を稼げないので、風俗、そして自分の女性としての武器を売ることでお金を稼ぐ。そして自分と同じ寂しい人である、寂しいおじさんの貯金を狙うのです。
おじさんに”恋人”と思わせたり、”結婚”と思わせたりしてお金を出さすのです。
社会がおかしい。日本がおかしい。
日本の未来を支える若者が苦しんでいる。
日本はOECDの国では貧困国と言われて久しいです。
今歌舞伎町はヤクザではなく、ホストクラブが頂点に立ち、ホストが”サイコパス”的に、女性を自分のための食い物にしています。
食い物にされている女性は、食い物にしているホストにしがみついて生きています。
何かホストやホス狂いの女性に違う生き方を見つけてもらうことはできないのでしょうか。
もちろんホストも女性を楽しませて、女性が余裕のある遊ぶお金を使っている分には何の問題もないのですが。
寂しさに効く特効薬はないのでしょうか。
結局人と人とのつながりなのでしょう。
それと悪い男(特にサイコパス)に騙されないようにすることなのでしょう。
宗教や異性で、お金の話が出てくると「おかしい/あやしい」と思うことが、リスクに巻き込まれないキーワードかもしれません。
騙しの手口など、知ることも騙されることがから防ぐことになるのでしょう。この本も騙されないための、自分の人生をより良く生きるための参考にできると良いのですが。