もくじ
1.謙遜は容易に卑下に変わる
2.人生がぐらついた時に自信なんて持てるんだろうか
3.人はすでにあるものの中に自分を位置付けて生きる
著者が乳がんの発見が遅く、既に10か所ほど転移しています。今がんと闘っています。子どもたちが大きくなった時には、多分生きていないだろうとのことで、子どもたちに遺すために、15年後の息子(23歳)と娘と対話することで、著者がコンサルを行って来た知識と経験を元に子どもたちへのメッセージになっている。
著者は1982年生まれ。
2022年12月25日発行
・落ちこむ前に、紐解こう。母さんよく言ったよね? 「困ったときこそ幽体離脱」って、なにが起きているんだろう。
・『教育は何を評価してきたのか』本田由紀著
・「能力」に基づく社会的地位や社会資源の分配、職歴や収入といったものは、公平な社会の仕組みの産物のようでいて、実際は「生まれ」による影響が強いことがすでに明らかになっている。
・『大衆教育社会のゆくえ』刈谷剛彦著
平等と信じられた日本の教育が、かえって、生まれの格差を是正しようという気持ちになりにくい仕組みを作り上げている。つまり、「機会の平等」を重視したことが、「結果の不平等」を放置することにもつながったわけ。これじゃあ「うまく行かない人は、能力や努力が足りない人」という主張に、社会が違和感を持つことができないよね。
・『暴走する能力主義』中村高康著
・人材開発業界が生んだ大ヒット商品『適性検査』
・「経営資源の7S https://www.sbbit.jp/article/cont1/30243」 ビジネス+ITより
戦略、人材、ビジョン、組織体制、制度、スキル、組織風土(組織運営スタイル)
・ヘイグループ(人材開発系のコンサルティング会社最大手)のは、業績(成果)の約3割は、「組織風土」で説明できるとし、最も影響度が高いと言う。意外にも「人材」とは言わない。
・2013年 高野研一氏(ヘイグループの社長)
「優れたスポーツのチームは優れた風土を持つ。なでしこジャパンのゆおにオリンピックで勝つチームは、高い士気と一体感、柔軟性に溢れ、選手個々人が高い当事者意識を持っている。これは企業においても同じだ。・・・我々の調査によれば、こうした組織の風土と行政との間には、約3割の相関があることが分かっている。また、組織風土は業績に影響を及ぼす数多くの要因の中で、最も相関の高いものであることもわかっている」
・組織風土はあなたの「リーダーシップ」次第
組織のトップ、チームの大将の佇まいによる!
「こうした組織風土に重要な影響を及ぼすのがリーダーシップである。我々の調査によれば、組織の風土はリーダーが発揮するリーダーシップのスタイルによってほぼ決まってしまうことが分かっている。両者の間には5~7割の相関がある」
・「仕事で他界業績を出す人物を見極めるためには、知能テストや適性テストでは不十分である。『コンピテンシー』を見よ」
・「ピクチャー・ストリート・エクササイズ」
画面の中心で、白衣を着た女性が試験管を振っていて、それをメガネをかけた女性が見ている。そんな絵なんだけども、思うままに作文してみて。
何を見極めようとしているかをぼやかすのがこの検査のミソよ? 公開しちゃダメでしょ。ただヒントをしては、言動の癖というのかな、どういうことを喜びやすいかとか、もって言えば、なにに足元をすくわれやすいかまでわかるという・・・。
・「能力」のいかんにかかわらず、職場でうまくいかないことは誰しもある。そもそも「能力」なんてものは、人と人との関係性だから当然だよね。
・ある大手企業にミドル層の優秀な女性がいたんだけど、上司との相性の問題を、個人の能力の問題にされちゃったんだ。日々「仕事ができない」「能力が低い」と言われたそうな。次第に「本当に私ってダメなのかも?」と自信を失い、委縮しながら仕事をしていたらしい。すると、ある日突然、人事部からメールが来た。
「最近、あなたがやる気を失った状態にあると、部門長から報告がありました。メンタルヘルスに懸念があります。1週間の休暇を取得のうえ、提携メンタルクリニックの受診をお願いします」と。どう思う?
うわぁ、突然の戦力外通告も、受信の勧めとなると、正当性を帯びたかのようだな。
・カウンセラーさんだって、配置転換や職務要件の改定まではまさかしないでしょう? 「僕、今つらいんです」って言っても、相手は職場の詳細を知り、実際の業務改善まで踏み込む職責も権限もない。まあ、うちひしがれているときに、「そうですよね、お気持ちわかります」って、寄り添ってもらえるだけでもうれしいけどそ。ただ、カウンセリングルームを出て戻るのは、職場という戦場。「どうしましたか?」と個人の内面ばかりケアしようとしても、根本解決とはいかない。
ただ、あえて穿った視点で言うならば、商売としては、いいよね。一時的な受容を求めるメンタルヘルスケアの受容はなくならない。いい感じの依存状態すらつくり出せる。しかしながら、環境調整には決して踏み込まないから。自体が根本から好転することはなく、問題は繰り返し、存在し続ける。そして、また調子が悪くなっては頼り、職場に戻るもまたつらくなり・・・と終わりがないように思える。
問題解決が家業なら、問題は問題のままのほうが儲かるってことね。「解かない」という巧妙な戦略にも見えてくる・・・。・・・
そうだね。個人を「分析」したり、「教育」したりと、どこまでも内面を深堀するアプローチが図られている。
・占いの市場規模は国内だけで1兆円。侮れない。
・母さんが病気を通じて痛感したことの一つに、葛藤は死ぬまでなくならない、という気づきがあった。二人の言うとおり。曇天も雨天も、なかったら生きられない。悶々、ぐるぐる、フツフツ、めそめそは誰でもする。しかしながら性を全うすればそれでいいんだ。
二人とも、間違っても葛藤の除去に盲進しないでよ。わかりましたか?
はーい。
・『ネガティブ・ケイパビリティ-答えの出ない事態に耐える力』箒木蓮生著
ウイキペディアより
悩める現代人に最も必要と考えるのは「共感する」ことであり、この共感が成熟する過程で伴走し、容易に答えの出ない事態に耐えうる能力がネガティブ・ケイパビリティ
・「災禍の時代に早急な結論、過激な意見に飛びつかず、『急がず、焦らず、耐えていく』力=ネガティブ・ケイパビリティが必要です」
感想;
能力という言葉をよく使っていました。
能力があるないとか。
しかし、能力とは人と人との関係性で発揮できるもので、その状況で変わるということのようです。
業績や結果は人材が一番大きいと思っていましたが、組織風土の方が一番の大きい寄与率というのも発見でした。
目からうろこいうか、今までの視点を変えるもののように思いました。
能力がある人も、相性の悪い上司の下では能力のない人になってしまうということです。
猫に小判、豚に真珠のことわざ、猫と豚が上司で、小判や真珠は優秀な部下と言えるのかもしれません。