今回は一昨年の12/29・30にアップした「JIN-仁-」名セリフの再録です。
★「未来、俺は決めた。歴史は思った以上に強大で、ただ俺は憶することなく向かっていくよ。所詮人間は精一杯生きることしかできないのだから」
第3話の仁先生のせりふ。
<人間は精一杯生きることしかできないのだから>。
これがこの作品が一貫して言ってきたことでした。
その他、この作品では人間が生きることについて様々なせりふが述べられて来た。
★「人間は欲深い生き物じゃ!人間は一皮剥けば成り上がりたい、金が欲しい、名を残したいという欲でがんじがらめじゃ。わしじゃってそうじゃ!この国をもっと良くしたいと思うちょるじゃが、それは生まれて来たからには何かやってやりたいという欲があるからじゃ。じゃが、その欲があるき、わしは進んでいける。欲は生きる源じゃ!」
龍馬のせりふ。
従来の倫理だと欲を持つことは悪だと規定されますが、この龍馬のせりふの方が人間の本質をついているような気がする。
人の一生はこうした欲との戦い、葛藤なんでしょうね。
だから人は迷い、悩む。
咲の兄は自分の器の小ささに悩み、咲は劣等感からこうつぶやく。
★「他の皆様にかなわず、そばにいたとてそのお心さえ分からず、私は何のためにいるのでしょう」
人はこうやって悩んで生きていくのでしょうね。
そんな人の人生について花魁の夕霧は生きるための知恵としてこんなことを言っていた。
★「泣いても一生、笑っても一生。ならば今生泣くまいぞ」
そして、仁の恋人・未来はこんな言葉を。
★「神は乗り越えられる試練しか与えない」
勇気を与えてくれる言葉ですね。
困難に遭遇した時はこの言葉を思い出したい。
また、この作品は魅力的なキャラクターでいっぱいだった。
まずは咲の母親。
コロリの看病で疲れた咲。家に帰って休めと進める兄・恭太郎と話している時に。
★「いくさの途中で帰る家などありません。その様な覚悟で勝てるいくさなどありません。勝って戻ってきなさい」
彼女はまさに武家の女ですね。
内野聖陽さんの龍馬は素晴らしかった。
野風に浅葱裏(田舎侍)とバカにされて
★「浅葱裏に失礼じゃき。わしはただの脱藩浪人じゃ。脱藩浪人の坂本龍馬じゃ。今度は間違わんでくれるかの」
自分を浅葱裏以下だと卑下しながら、ある意味すごいプライドですね。
脱藩浪人・坂本龍馬、つまりオンリーワンであることに誇りを持っている。
われわれもこうやって胸を張って生きていきたいものです。
龍馬にはこんなせりふもあった。
★「今はただ自分の信じる道を歩きたいぜよ。それが誰も歩いておらん道でも正しい道なら仲間は後からついてくるぜよ」
龍馬といえば司馬遼太郎さんの「竜馬がいく」だが、この作品でさらに新しい竜馬像が生まれた感じ。
あとはキャラクターとして綾瀬はるかさん演じる咲が魅力だった。
咲は常に仁の理解者であり、悩む仁を励ましてきた。
★「先生は私の運命を変えましたよ。咲は生きておりますよ」
★「よろしければ私にお話いただけません? 大したお役には立てませんが、物を言わぬ写真とやらに話しかけるよりは力になれるかもしれません」
咲の愛情はこんなせりふでも表現されている。
★「ゆうげの豆腐は揚げ出しにしましょう」
こう書くと女性に怒られるかもしれませんが、咲は男性の理想ですね。
男というのは案外弱いものでありまして、こういうふうに陰に日向に励まされると頑張ろうという気になれる。
咲はこの作品の中で一番芯のある強いキャラクターかもしれません。
名セリフというのはやはりキャラクターがよく出来ているから生まれるんですね。
たとえば女形役者の田之助。甘いお坊ちゃん・恭太郎に……
★「この小判は俺の血と汗と肉だ。血を吐くような思いをして芸を磨き、手に入れたそういう金なんだ。どうしても初音を助けたいのなら、まず身を切るのが筋だろうが。旗本株でも売って出直してきやがれ!」
だが、心意気には心意気に応える。
★「あの薬はあなたの血肉を刻んだ命だそうじゃありませんか。この田之助、命には命で応えるさ」
そして小判をばらまき、中条流の医者に「おととい来やがれ!」と見栄を切る。
おまけに仁たちには
★「この金は返さなくていいから。貸すなんてセコい真似嫌いなんだよ!」
まさに粋ですね。
格好良すぎる!
緒方洪庵先生も渋かった。
洪庵は「石を投げられ、私財を投げ打ってまでも人を助けたいという医の心を持った人」。
仁よりもずっと年上で地位もある人間なのに仁を師と仰ぎ、こうも言う。
★「その寂しさを、この洪庵にお預け下さい。この洪庵、冥途に持っていきます」
一方、仁もそんな洪庵を師と仰ぎ、洪庵に受けた恩をどう返せばいいかを尋ねる。
その質問に答えてに洪庵は……
★「より良き未来をお作り下さい。皆が楽しう笑い合う平らな未来をお作り下さい」
この言葉はあらゆる人に当てはまる言葉ですね。
どんな人間だって誰かの恩を受けて生きてきたし、生きている。
ではそれをどうやって返すか。
洪庵の言葉はその答えのひとつですね。
キャラクターといえば野風の恋はせつなかった。
仁に抱きしめられて脈が速くなり、そのことを指摘されると
★「この音だけがあちきの誠でありんす」
偽りの恋愛で浮き世を生きてきた花魁生活の中で仁に抱きしめられたことが唯一の<誠>だった。
何とせつない。
仁に思っている女性(未来)がいることを聞くと
★「今よりその名を呼びなんし。それなら不実になりんせん」
思っている女性の名を呼びながら自分を抱けという野風。
これもせつない。
あるいはこんなせりふも。
★「雪になりたいでありんす。雪ならばいつでも先生の方に落ちられるでありんすから」
しかし、花魁としての矜持もある。
つらければ泣けという龍馬に
★「色恋に涙を流しては花魁の名がすたりんす」
最後のキャラクターは咲。
彼女は本当に聡明で強かった。
田之助の名を呼び恭太郎を傷つけた初音には……
★「おのれの気持ちに嘘などつけませぬ。せんないものかと思いますよ」
仁にはいつもさりげない励ましの言葉。
ペニシリン工房が焼け手術中に動揺する仁に
★「先生、今日は蒸しますね」
ペニシリンがなくて途方に暮れる仁には
★「先生、青カビを集めましょう。この季節ですし容易に集まりましょう」
こんなさりげない励ましをする咲だが、時にはこんな大胆な行動も。
四百両が払えなくてペニシリンを手放さなくてはならない時に
★「私がここでご奉公いたしますから四百両をお貸しいただけませんか。少しとうが立ってありますが、旗本の娘ということで物珍しさもございましょうし」
この作品の登場人物たちは皆が真剣に戦って生きている。
だからキャラが素晴らしいし、しゃべるすべてが名セリフになる。
★「未来、俺は決めた。歴史は思った以上に強大で、ただ俺は憶することなく向かっていくよ。所詮人間は精一杯生きることしかできないのだから」
第3話の仁先生のせりふ。
<人間は精一杯生きることしかできないのだから>。
これがこの作品が一貫して言ってきたことでした。
その他、この作品では人間が生きることについて様々なせりふが述べられて来た。
★「人間は欲深い生き物じゃ!人間は一皮剥けば成り上がりたい、金が欲しい、名を残したいという欲でがんじがらめじゃ。わしじゃってそうじゃ!この国をもっと良くしたいと思うちょるじゃが、それは生まれて来たからには何かやってやりたいという欲があるからじゃ。じゃが、その欲があるき、わしは進んでいける。欲は生きる源じゃ!」
龍馬のせりふ。
従来の倫理だと欲を持つことは悪だと規定されますが、この龍馬のせりふの方が人間の本質をついているような気がする。
人の一生はこうした欲との戦い、葛藤なんでしょうね。
だから人は迷い、悩む。
咲の兄は自分の器の小ささに悩み、咲は劣等感からこうつぶやく。
★「他の皆様にかなわず、そばにいたとてそのお心さえ分からず、私は何のためにいるのでしょう」
人はこうやって悩んで生きていくのでしょうね。
そんな人の人生について花魁の夕霧は生きるための知恵としてこんなことを言っていた。
★「泣いても一生、笑っても一生。ならば今生泣くまいぞ」
そして、仁の恋人・未来はこんな言葉を。
★「神は乗り越えられる試練しか与えない」
勇気を与えてくれる言葉ですね。
困難に遭遇した時はこの言葉を思い出したい。
また、この作品は魅力的なキャラクターでいっぱいだった。
まずは咲の母親。
コロリの看病で疲れた咲。家に帰って休めと進める兄・恭太郎と話している時に。
★「いくさの途中で帰る家などありません。その様な覚悟で勝てるいくさなどありません。勝って戻ってきなさい」
彼女はまさに武家の女ですね。
内野聖陽さんの龍馬は素晴らしかった。
野風に浅葱裏(田舎侍)とバカにされて
★「浅葱裏に失礼じゃき。わしはただの脱藩浪人じゃ。脱藩浪人の坂本龍馬じゃ。今度は間違わんでくれるかの」
自分を浅葱裏以下だと卑下しながら、ある意味すごいプライドですね。
脱藩浪人・坂本龍馬、つまりオンリーワンであることに誇りを持っている。
われわれもこうやって胸を張って生きていきたいものです。
龍馬にはこんなせりふもあった。
★「今はただ自分の信じる道を歩きたいぜよ。それが誰も歩いておらん道でも正しい道なら仲間は後からついてくるぜよ」
龍馬といえば司馬遼太郎さんの「竜馬がいく」だが、この作品でさらに新しい竜馬像が生まれた感じ。
あとはキャラクターとして綾瀬はるかさん演じる咲が魅力だった。
咲は常に仁の理解者であり、悩む仁を励ましてきた。
★「先生は私の運命を変えましたよ。咲は生きておりますよ」
★「よろしければ私にお話いただけません? 大したお役には立てませんが、物を言わぬ写真とやらに話しかけるよりは力になれるかもしれません」
咲の愛情はこんなせりふでも表現されている。
★「ゆうげの豆腐は揚げ出しにしましょう」
こう書くと女性に怒られるかもしれませんが、咲は男性の理想ですね。
男というのは案外弱いものでありまして、こういうふうに陰に日向に励まされると頑張ろうという気になれる。
咲はこの作品の中で一番芯のある強いキャラクターかもしれません。
名セリフというのはやはりキャラクターがよく出来ているから生まれるんですね。
たとえば女形役者の田之助。甘いお坊ちゃん・恭太郎に……
★「この小判は俺の血と汗と肉だ。血を吐くような思いをして芸を磨き、手に入れたそういう金なんだ。どうしても初音を助けたいのなら、まず身を切るのが筋だろうが。旗本株でも売って出直してきやがれ!」
だが、心意気には心意気に応える。
★「あの薬はあなたの血肉を刻んだ命だそうじゃありませんか。この田之助、命には命で応えるさ」
そして小判をばらまき、中条流の医者に「おととい来やがれ!」と見栄を切る。
おまけに仁たちには
★「この金は返さなくていいから。貸すなんてセコい真似嫌いなんだよ!」
まさに粋ですね。
格好良すぎる!
緒方洪庵先生も渋かった。
洪庵は「石を投げられ、私財を投げ打ってまでも人を助けたいという医の心を持った人」。
仁よりもずっと年上で地位もある人間なのに仁を師と仰ぎ、こうも言う。
★「その寂しさを、この洪庵にお預け下さい。この洪庵、冥途に持っていきます」
一方、仁もそんな洪庵を師と仰ぎ、洪庵に受けた恩をどう返せばいいかを尋ねる。
その質問に答えてに洪庵は……
★「より良き未来をお作り下さい。皆が楽しう笑い合う平らな未来をお作り下さい」
この言葉はあらゆる人に当てはまる言葉ですね。
どんな人間だって誰かの恩を受けて生きてきたし、生きている。
ではそれをどうやって返すか。
洪庵の言葉はその答えのひとつですね。
キャラクターといえば野風の恋はせつなかった。
仁に抱きしめられて脈が速くなり、そのことを指摘されると
★「この音だけがあちきの誠でありんす」
偽りの恋愛で浮き世を生きてきた花魁生活の中で仁に抱きしめられたことが唯一の<誠>だった。
何とせつない。
仁に思っている女性(未来)がいることを聞くと
★「今よりその名を呼びなんし。それなら不実になりんせん」
思っている女性の名を呼びながら自分を抱けという野風。
これもせつない。
あるいはこんなせりふも。
★「雪になりたいでありんす。雪ならばいつでも先生の方に落ちられるでありんすから」
しかし、花魁としての矜持もある。
つらければ泣けという龍馬に
★「色恋に涙を流しては花魁の名がすたりんす」
最後のキャラクターは咲。
彼女は本当に聡明で強かった。
田之助の名を呼び恭太郎を傷つけた初音には……
★「おのれの気持ちに嘘などつけませぬ。せんないものかと思いますよ」
仁にはいつもさりげない励ましの言葉。
ペニシリン工房が焼け手術中に動揺する仁に
★「先生、今日は蒸しますね」
ペニシリンがなくて途方に暮れる仁には
★「先生、青カビを集めましょう。この季節ですし容易に集まりましょう」
こんなさりげない励ましをする咲だが、時にはこんな大胆な行動も。
四百両が払えなくてペニシリンを手放さなくてはならない時に
★「私がここでご奉公いたしますから四百両をお貸しいただけませんか。少しとうが立ってありますが、旗本の娘ということで物珍しさもございましょうし」
この作品の登場人物たちは皆が真剣に戦って生きている。
だからキャラが素晴らしいし、しゃべるすべてが名セリフになる。