平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

江~姫たちの戦国~第2回「父の仇」

2011年01月17日 | 大河ドラマ・時代劇
 父・浅井長政の最期の真実を知ってしまった江(上野樹里)。
 叔父・信長(豊川悦司)は父の仇! 姉たちは信長を憎んでいる。
 この後の行動が江らしい。
 信長にわざわざ確かめにいく。父を殺した真意を聞こうとする。

 この人物像は、同じ田渕久美子脚本の「篤姫」なんですね。
 篤姫は他人の言ったことに惑わされず、直接会って真実を確かめた。
 たとえば、不正をしていると皆に噂されている調所広郷に会いに行ったり、政敵である井伊直弼と茶をたてながら話したり。
 それは信長に会いにいった江も同じ。
 江は姉たちに聞かされたことをそのまま素直に信じようとは思わなかった。

 「自分を信じろ」と江が信長に諭されたことも同じ。
 篤姫の場合は、父・斉彬。
 斉彬も「自分の考えで動け」と遺言したが、薩摩が幕府の敵にまわった時、篤姫は自分の考えで、幕府を守る側についた。
 おそらく江が、徳川家の妻になり、茶々(宮沢りえ)がいる豊臣家を滅ぼさなければならない立場に立った時、篤姫と同じ様な判断をすることになるだろう。

 ファーザーコンプレックスという点でも、田渕久美子作品らしい。
 篤姫の場合は実父に斉彬というふたりの父がいたし、江の場合も、信長。そして家康が影響を与える父親になりそう。
 茶々も初(水川あさみ)も江とは別の形で、父を求めている。

 ということで、「江」は「篤姫」の戦国時代版。
 作家はどの様な作品を書いても根っこにあるのは同じ、とよく言われるが、田渕久美子さんの場合も例外ではない。
 ただ三年前の「篤姫」の成功が、今回も通用するかどうかは疑問だが。

※追記
 あとはいくつか気がついた点を。

・三姉妹の描き分けは、この作品のポイントだと僕は思っているが、今回はこう描き分けている。
 茶々は冷静。初は感情的。江は素直で聡明。
 彼女たちが歴史のうねりに揉まれて、どう変わっていくかは見所。
 茶々なんかは大きく変わりそう。

・信長の、森兄弟を例に出しての<いくさ>や<仇>に関する考え方は説得力があった。
 森兄弟にとって三姉妹の父・長政は父の仇。
 それが現在、森兄弟は父の仇の子供たちである三姉妹の世話係をしている。
 <いくさ>の敵味方や<仇>というのは、考え方次第で変わる相対的なものであり、執着するべきことではない、過去にとらわれるよりは現在や未来に生きよ、と信長は教えている。

・そして権力者・信長の孤独。
 「自分に言いたいことを言う人間がいなくなった」と江に語る信長はまさに孤独。
 だからこそ率直に言いたいことを言ってくる江が面白い。
 そう言えば、「篤姫」でも斉彬と同じ様なやりとりがありましたよね。

・槍を投げる信長。
 なぜっ?
 こういうシーンはいらない。作品が軽くなるだけだ。
 次のシーンが家康だったけど、その槍が家康のそばに刺さったりしたらギャグになるが……。

・遠景で見る先週の小谷城と今回の安土城。
 ドラマの内容はともかくこのCGは城マニアにはたまらない。
 特に小谷城、よく再現してくれました。


コメント (2)
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