平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

みんな!エスパーだよ!~超能力があったらどんなことに使うか?

2013年04月20日 | 学園・青春ドラマ
 もし超能力があったらどんなことに使うか?

・喫茶店のマスター・輝光(マキタスポーツ)はスカートめくりに使う(笑)
・主人公・鴨川嘉郎(染谷将太)は、そんな輝光たちの魔の手からヒロインたちを守るために使う。
・謎の教授(安田顕)とその助手・秋山(神楽坂恵)は世界平和のために使う。

 以上のことを人間心理でカテゴライズすると
・スカートめくりに使う→人間の動物的・原初的欲望
・ヒロインを守ることに使う→一般感覚・常識
・世界平和に使う→理想・イデオロギー
 みたいなことになるだろうか?

 そして、この作品を見ている視聴者は主人公・嘉郎の立場に立ちながら、この3つの選択肢を揺れ動く。
「確かにスカートめくりに使いたいよね」
「いやいや、それはダメでしょう」
「偽善者、もっと自分の欲望に素直になれよ」
「君たち、そんな低次元の議論はやめたまえ。せっかく与えられた力は人類の改革・世界平和のために使うべきだ」

 この3つの選択肢のうち、最後の〈世界平和のため〉っていうのが、モチベーションとしては一番弱いかな。
 それはスパイ映画などに出てくる国家レベルの話で、日常からはかけ離れている。
 理想やイデオロギーといったものが喪失して、何が正義なのか、正しい行動なのか、わからない状況だし。

 一方、モチベーションとして一番強いのは、〈スカートめくりに使う〉という選択。
 これは仕方がないね、〈種の保存〉というのは生物のDNAにすり込まれた根本的なものだと思うし。

 というわけで、『みんな!エスパーだよ!』はお下劣でありながら、人間というものを深くえぐり込んで描いた作品なのです。
 比較してみると、たとえば『ラストシンデレラ』(木曜10時・フジテレビ)の篠原涼子さんが演じる主人公は次のようなことに悩んでいる。
「今までは仕事を友達だと思って生きてきた。でも、このままおっさんみたいに朽ち果てていっていいのか? よし、男を作る! でも、どうやって作る? 気づいたら恋の仕方を忘れてた」
 この主人公の悩みって、実は浅くて表面的。
『みんな!エスパーだよ!』の義郎が一般感覚・常識のレベルで悩んでいるのと同じ。
 だからドラマとして退屈で、どこかで見たようなドラマにしかならない。

 低迷しているテレビドラマを活性化するひとつの方法論が、『みんな!エスパーだよ!』には示されている。


コメント (4)
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