「プロメテウスは神から火を盗み、人間に与えた。そのため彼は岩に繋がれ永遠に拷問を受けた」
『マンハッタン計画』
原爆を造ったJ・ロバート・オッペンハイマー(キリアン・マーフィー)の話である。
オッペンハイマーはユダヤ人だったこともあり、ナチスとの戦争を終わらせるために原子爆弾の製造に手を貸した。
ナチスも原子爆弾の製造に着手していたから先に開発されたら、連合国に使われる可能性もあった。
だが原爆完成前にナチスは敗北。
製造された原子爆弾は日本に使われることになる。
ここからオッペンハイマーは苦しみ始める。
原爆を造ったことは是だったのか?
アインシュタイン(トム・コンティ)は反対した。
人類が途方もない力を持つことになるからだ。
オッペンハイマーは政治に翻弄されるようになる。
第二次世界大戦後は東西冷戦の始まり。
レッドパージの時代。
オッペンハイマーは共産主義の妻、恋人、友人がいたため、ソ連に通じているのではないかと疑われる。
ソ連も原子爆弾を開発したので、アメリカ政府は「オッペンハイマーが原爆の製造方法やデータをソ連に流したのではないか」と疑ったのだ。
実際、友人の中にはソ連のスパイがいた。
その後、東西冷戦は本格化。
米ソは原子爆弾を競って製造するようになる。
プロメテウスがもたらした火はあっという間に世界中に広まってしまったのだ。
この状況にオッペンハイマーは唖然とし、自分にこう言い聞かせる。
「人類を滅ぼす力だから、使用されることはない。逆に戦争の抑止力になる」
同時にこう主張する。
「核兵器に関する国際的なルールをつくろう」
「各国が保有する核兵器の数を決めよう」
だが政治は止らない。
原子力委員会のルイス・ストローズ(ロバート・ダウニー・Jr.)はソ連より優位に立つため、
さらなる軍拡と水爆の製造に着手する。
そのため軍縮・水爆製造に反対するオッペンハイマーが邪魔になっていく。
オッペンハイマーを排除するために過去の交友関係をほじくり返し、
「オッペンハイマーはソ連のスパイだ」
「ソ連に情報を流している」
と告発する。
………………………………………………
政治に翻弄される科学者の話である。
プロメテウスがもたらした火が世界に拡散し、
プロメテウスが岩に繋がれたように人類が身動きとれなくなった話である。
常に核の脅威にさらされているという点で、人類は拷問を受けている、と言ってもいいかもしれない。
作品はともかくせりふの嵐。
全編しゃべりまくりで、そのせりふの量に圧倒される。
原爆製造の理論や過程、レッドパージ時代のアメリカの状況も詳細に描かれていて学びになる。
戦前、戦争中にはアメリカにも結構、共産主義者がいたんだな。
原子爆弾を通して描かれた第二次大戦後のアメリカ。
これを押さえることで現在が見えて来る。
『オッペンハイマー』は現代人必見の作品だ。
※関連動画
【本予告】『オッペンハイマー』(YouTube)
『マンハッタン計画』
原爆を造ったJ・ロバート・オッペンハイマー(キリアン・マーフィー)の話である。
オッペンハイマーはユダヤ人だったこともあり、ナチスとの戦争を終わらせるために原子爆弾の製造に手を貸した。
ナチスも原子爆弾の製造に着手していたから先に開発されたら、連合国に使われる可能性もあった。
だが原爆完成前にナチスは敗北。
製造された原子爆弾は日本に使われることになる。
ここからオッペンハイマーは苦しみ始める。
原爆を造ったことは是だったのか?
アインシュタイン(トム・コンティ)は反対した。
人類が途方もない力を持つことになるからだ。
オッペンハイマーは政治に翻弄されるようになる。
第二次世界大戦後は東西冷戦の始まり。
レッドパージの時代。
オッペンハイマーは共産主義の妻、恋人、友人がいたため、ソ連に通じているのではないかと疑われる。
ソ連も原子爆弾を開発したので、アメリカ政府は「オッペンハイマーが原爆の製造方法やデータをソ連に流したのではないか」と疑ったのだ。
実際、友人の中にはソ連のスパイがいた。
その後、東西冷戦は本格化。
米ソは原子爆弾を競って製造するようになる。
プロメテウスがもたらした火はあっという間に世界中に広まってしまったのだ。
この状況にオッペンハイマーは唖然とし、自分にこう言い聞かせる。
「人類を滅ぼす力だから、使用されることはない。逆に戦争の抑止力になる」
同時にこう主張する。
「核兵器に関する国際的なルールをつくろう」
「各国が保有する核兵器の数を決めよう」
だが政治は止らない。
原子力委員会のルイス・ストローズ(ロバート・ダウニー・Jr.)はソ連より優位に立つため、
さらなる軍拡と水爆の製造に着手する。
そのため軍縮・水爆製造に反対するオッペンハイマーが邪魔になっていく。
オッペンハイマーを排除するために過去の交友関係をほじくり返し、
「オッペンハイマーはソ連のスパイだ」
「ソ連に情報を流している」
と告発する。
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政治に翻弄される科学者の話である。
プロメテウスがもたらした火が世界に拡散し、
プロメテウスが岩に繋がれたように人類が身動きとれなくなった話である。
常に核の脅威にさらされているという点で、人類は拷問を受けている、と言ってもいいかもしれない。
作品はともかくせりふの嵐。
全編しゃべりまくりで、そのせりふの量に圧倒される。
原爆製造の理論や過程、レッドパージ時代のアメリカの状況も詳細に描かれていて学びになる。
戦前、戦争中にはアメリカにも結構、共産主義者がいたんだな。
原子爆弾を通して描かれた第二次大戦後のアメリカ。
これを押さえることで現在が見えて来る。
『オッペンハイマー』は現代人必見の作品だ。
※関連動画
【本予告】『オッペンハイマー』(YouTube)
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