平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

軍師官兵衛 第45回「秀吉の最期」~天下とはその器たるべき者が治めるべきと存じまする

2014年11月10日 | 大河ドラマ・時代劇
 秀吉(竹中直人)の最期。
 官兵衛(岡田准一)との別れのやりとりで、変に感傷的にならなかった所が新しい。
 普通なら回想シーンも交えて、かつての楽しかった交流を描くはず。
 しかし、やりとりはこんなふうにシビアだった。

「秀頼を、豊臣を頼む」
 秀吉の手を解く官兵衛。
「断ると申すか? 秀頼ではいかぬと申すか?」
「天下とはその器たるべき者が治めるべきと存じまする」
 そして、
「それがしは、ただ殿下の下で世の乱れを収めたかっただけでございます」

 これが官兵衛の考え方なんですね。
 官兵衛は以前、こうも言っていた。
「豊臣のために天下があるのではない。天下のために豊臣がある」

 官兵衛の目的はあくまで<太平の世>をつくること。
 秀吉は太平の世をつくる役割を担うひとりでしかない。
 敢えて言えば、秀吉も官兵衛も太平の世を築くための奉仕者。

 すぐれた政治哲学ですね。
 当時の人間がこういう思想を持ち得たかどうかはわかりませんが。
 竹中半兵衛とかは持っていそうだけれど。

 一方、この官兵衛の言葉に応えて秀吉。
「すまなかった。お主の思うような天下人にはなれなかった。すまなかった」

 権力は人を狂わせる。
 どんなに高い理想を持っていたとしても、私意私欲に走るようになる。
 それは秀吉も例外ではなかった。
 利休、秀次のこともそうだったが、やはり官兵衛は朝鮮出兵が許せなかったんでしょうね。
 そんな秀吉を止められなかった自分の不甲斐なさにも。

 あるいは官兵衛が「天下とはその器たるべき者が治めるべきと存じまする」と言ったのは、死を迎える秀吉に秀頼に対する執着を解かせたかったのかもしれませんね。
 秀頼が天下を治める器でなければ、天下人から退くのも仕方のないことだと秀吉に認識させたかった。
 結果、これで秀吉は安らかに眠ることができた。

 そして、別れのあいさつ。
「殿下、永らく軍師としてお使い頂きありがとうございました」
「官兵衛、さらばじゃ」

 徳川家康(寺尾聰)の右目に関しては、面従腹背を意味していたのでしょうか。
 秀吉に対する表と裏のふたつの顔。
 閉じた右目は、天下への野心を眠らせているという意味。
 すこしコテコテな気がしますが、演出、演技プランとしては面白いですね。

コメント (2)
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