「命には使いみちがある。石田殿の命にもまだまだ使いみちはある」
役者は目で演技する。
家康(寺尾聰)が右目を開くと、官兵衛(岡田准一)は鋭い目でにらみ返す。
この家康の言葉で官兵衛は理解した。
「徳川のねらいは天下を揺るがす大乱じゃ!
生かされた三成は死に物狂いで味方を集めるであろう。
国中の大名がどちらにつくのかを迫られる。
そうして三成に兵を挙げさせ、しかる後にその敵を根こそぎ滅ぼし天下を取る。
それが徳川家康の天下取りだ」
そして、善助(濱田岳)に、三成につくのか家康につくのかと問われて、
「播磨を思い出す。あの時もそうであった。
織田につくのか毛利につくのか生き残る道を必死に探った。
生き残る事は無論大事。
しかし、わしは我が道を行く」
官兵衛の天下取り宣言である。
今まで生き残ることのみを信条にしてきた官兵衛が賭けに出た。
第三極の誕生。
官兵衛VS家康VS三成(田中圭)の始まりである。
一方、息子の長政(松坂桃李)は完全に家康に取り込まれている。
家康は、長政の石田三成への憎悪を巧みに利用している。
官兵衛に足りないのはこうした<ずるさ>なんですよね。
正論だが、あまりにも真っ直ぐすぎる。
人の欲望や感情を利用するということも苦手なようだ。
それは、おそらく、こうした<人たらし>の部分は秀吉(竹中直人)が引き受けてきたからなんでしょうね。
官兵衛はあくまで<軍師>であり、<政治家>ではない。
秀吉のような華もないし、家康のようなずるさもない。
これが官兵衛の限界か?
一方、おね(黒木瞳)は非戦。
「わたしが本丸にいれば争いになる。無用な争いはなりませぬぞ」
「豊臣の天下は秀吉の一代限り。
この日本国に太平の世が続くのなら、徳川殿でも前田殿でも誰でもよい。
もっともふさわしい者が天下人になればよい」
おねがこうした境地になったのは、秀頼が自分の子でなかったせいもあるのでしょうが、実にあっさりしている。
ギラギラの男たちとは正反対。
さまざまな思いを乗せて、作品はいよいよ最後のクライマックスへ。
役者は目で演技する。
家康(寺尾聰)が右目を開くと、官兵衛(岡田准一)は鋭い目でにらみ返す。
この家康の言葉で官兵衛は理解した。
「徳川のねらいは天下を揺るがす大乱じゃ!
生かされた三成は死に物狂いで味方を集めるであろう。
国中の大名がどちらにつくのかを迫られる。
そうして三成に兵を挙げさせ、しかる後にその敵を根こそぎ滅ぼし天下を取る。
それが徳川家康の天下取りだ」
そして、善助(濱田岳)に、三成につくのか家康につくのかと問われて、
「播磨を思い出す。あの時もそうであった。
織田につくのか毛利につくのか生き残る道を必死に探った。
生き残る事は無論大事。
しかし、わしは我が道を行く」
官兵衛の天下取り宣言である。
今まで生き残ることのみを信条にしてきた官兵衛が賭けに出た。
第三極の誕生。
官兵衛VS家康VS三成(田中圭)の始まりである。
一方、息子の長政(松坂桃李)は完全に家康に取り込まれている。
家康は、長政の石田三成への憎悪を巧みに利用している。
官兵衛に足りないのはこうした<ずるさ>なんですよね。
正論だが、あまりにも真っ直ぐすぎる。
人の欲望や感情を利用するということも苦手なようだ。
それは、おそらく、こうした<人たらし>の部分は秀吉(竹中直人)が引き受けてきたからなんでしょうね。
官兵衛はあくまで<軍師>であり、<政治家>ではない。
秀吉のような華もないし、家康のようなずるさもない。
これが官兵衛の限界か?
一方、おね(黒木瞳)は非戦。
「わたしが本丸にいれば争いになる。無用な争いはなりませぬぞ」
「豊臣の天下は秀吉の一代限り。
この日本国に太平の世が続くのなら、徳川殿でも前田殿でも誰でもよい。
もっともふさわしい者が天下人になればよい」
おねがこうした境地になったのは、秀頼が自分の子でなかったせいもあるのでしょうが、実にあっさりしている。
ギラギラの男たちとは正反対。
さまざまな思いを乗せて、作品はいよいよ最後のクライマックスへ。