・WHITE ONLY
・満州問題
・職を奪っている日系移民
1932年のロサンゼルスは日本のオリンピック団を手放しで歓迎するものではなかった。
しかし、田畑政治(阿部サダヲ)にとっては、そんなことどうでもいい。
田畑の頭の中にあるのは、ただ勝つことのみ!
やっぱりスポーツはいいねえ。
人種問題、領土問題、移民問題──これらは突っ込めば突っ込むほどドロドロしてくる。
それらが最終的に行き着く先は『排除』と『戦争』だ。
一方、スポーツは戦いの後はノーサイド、互いの健闘をたたえ合う。
人種、領土などで生じた溝を一瞬で埋めてくれる。
たとえば田畑とアメリカ人水泳監督のキッパス。
「へーイ、キッパス!」
「合い言葉は打倒日本だ。メダルはひとつも譲らない。屈辱を手土産に日本に帰るがいい」
「何かお土産くれるって言ってるぞ」←田畑の英語力w
あるいは高石勝男(斎藤工)と黒人守衛。
選考会で奮闘する高石に黒人守衛は「You can do it!」
彼らはスポーツを通じて友情を育んでいるのだが、それはスポーツに限らない。
個人の繋がりは、国境、人種、民族を越える。
現在、日韓関係が深刻化し対立しているが、そんなものはバカな政治家や国粋主義者にやらせておけばいい。
国を乗り越えて個人としてつき合えば、対立など一気に無になる。
田畑のは『明るいナショナリズム』ですよね。
………………
田畑は皆に活力や明るさを与える存在でもある。
日本料理屋の女給にはキューカンバーのてんぷらを注文しながら、
「やってみないとわからないから面白いんじゃねえ? 勝つんだよ、俺たちは!」
女子水泳選手たちは田畑のモノマネをして悪口。
「何なの、あの河童?」
「何言ってるかわからない。あれ、河童の言葉だよ」
「好物はきっとキュウリだよ」
皆に活力と明るさを与える田畑。
田畑は自分がどういう存在であるかを無意識に理解しているのであろう。
それが今回、言葉になって表れた。
「笑うなよ。日本を明るくするためだ。
犬養さんが撃たれてから新聞の紙面が暗い。
不況・失業・満州問題。
朝から暗澹たる気持ちになる。これじゃ駄目だ。
言論の自由が奪われつつある今、誰かが明るいニュースを書かなきゃ駄目なんだよ!
で、考えたんだ。
もし水泳が全種目制覇したらさ、オリンピックの期間だけでも明るいニュースを一面に持ってくることができるじゃんね。
スポーツが日本を明るくするんだよ!
たった数日間だけど、スポーツで国を変えることができるじゃんね!」
『たった数日間だけど』というせりふをつけ加えるあたり、宮藤官九郎のリアリズムですね。
そんな簡単に国や世の中は変わらない。
今回のもうひとつのモチーフである高石勝男に対して田畑は、
「かっちゃん、ありがとう! お疲れ!」
実にさりげないけど、高石には突き刺さった言葉だろう。
田畑が高石のことを気にしていたことがわかるし、高石はこのひと言で吹っ切れた。
短いが、さまざまな意味が込められたせりふだ。
・満州問題
・職を奪っている日系移民
1932年のロサンゼルスは日本のオリンピック団を手放しで歓迎するものではなかった。
しかし、田畑政治(阿部サダヲ)にとっては、そんなことどうでもいい。
田畑の頭の中にあるのは、ただ勝つことのみ!
やっぱりスポーツはいいねえ。
人種問題、領土問題、移民問題──これらは突っ込めば突っ込むほどドロドロしてくる。
それらが最終的に行き着く先は『排除』と『戦争』だ。
一方、スポーツは戦いの後はノーサイド、互いの健闘をたたえ合う。
人種、領土などで生じた溝を一瞬で埋めてくれる。
たとえば田畑とアメリカ人水泳監督のキッパス。
「へーイ、キッパス!」
「合い言葉は打倒日本だ。メダルはひとつも譲らない。屈辱を手土産に日本に帰るがいい」
「何かお土産くれるって言ってるぞ」←田畑の英語力w
あるいは高石勝男(斎藤工)と黒人守衛。
選考会で奮闘する高石に黒人守衛は「You can do it!」
彼らはスポーツを通じて友情を育んでいるのだが、それはスポーツに限らない。
個人の繋がりは、国境、人種、民族を越える。
現在、日韓関係が深刻化し対立しているが、そんなものはバカな政治家や国粋主義者にやらせておけばいい。
国を乗り越えて個人としてつき合えば、対立など一気に無になる。
田畑のは『明るいナショナリズム』ですよね。
………………
田畑は皆に活力や明るさを与える存在でもある。
日本料理屋の女給にはキューカンバーのてんぷらを注文しながら、
「やってみないとわからないから面白いんじゃねえ? 勝つんだよ、俺たちは!」
女子水泳選手たちは田畑のモノマネをして悪口。
「何なの、あの河童?」
「何言ってるかわからない。あれ、河童の言葉だよ」
「好物はきっとキュウリだよ」
皆に活力と明るさを与える田畑。
田畑は自分がどういう存在であるかを無意識に理解しているのであろう。
それが今回、言葉になって表れた。
「笑うなよ。日本を明るくするためだ。
犬養さんが撃たれてから新聞の紙面が暗い。
不況・失業・満州問題。
朝から暗澹たる気持ちになる。これじゃ駄目だ。
言論の自由が奪われつつある今、誰かが明るいニュースを書かなきゃ駄目なんだよ!
で、考えたんだ。
もし水泳が全種目制覇したらさ、オリンピックの期間だけでも明るいニュースを一面に持ってくることができるじゃんね。
スポーツが日本を明るくするんだよ!
たった数日間だけど、スポーツで国を変えることができるじゃんね!」
『たった数日間だけど』というせりふをつけ加えるあたり、宮藤官九郎のリアリズムですね。
そんな簡単に国や世の中は変わらない。
今回のもうひとつのモチーフである高石勝男に対して田畑は、
「かっちゃん、ありがとう! お疲れ!」
実にさりげないけど、高石には突き刺さった言葉だろう。
田畑が高石のことを気にしていたことがわかるし、高石はこのひと言で吹っ切れた。
短いが、さまざまな意味が込められたせりふだ。