平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

麒麟がくる 第43回「闇に光る樹」~毒を盛る、信長様に

2021年02月01日 | 大河ドラマ・時代劇
「道三様ならこれをどうお収めになるのか?」
「毒を盛る、信長様に」
「信長様あっての私でございます。
 信長様に毒を盛るのはおのれに毒を盛るのと同じでございます」
「今の信長様をつくったのは父上と私とそなた。
 つくった者がその始末をなすしかあるまい」

 帰蝶様(川口春奈)、何というゾクゾクとする美しさ。
 本能寺で帰蝶は信長(染谷将太)といっしょに死ぬが、信長をつくってしまった責任を取ろうとしたのだろう。
 それと、『信長をひとりで孤独に死なせない』という想い。
 死に際して、帰蝶は信長に何を語るのか?
 他人に褒めて貰いたい信長だから、
「あなたはよくやりました。ご立派でした」と褒めるのか?
 これで信長も満足して安らかに眠れる。

 森蘭丸(板垣瑞生)が登場した。
 膳をこぼした光秀(長谷川博己)を叱りつけ、打擲しようとする。
 功績で言えば、光秀の方がはるかに上なのに。
 ただの小姓、近習なのに。
 こういう思い上がりの存在が組織を滅ぼすんだよな……。
 一方、本願寺攻めで苦労した佐久間信盛(金子ノブアキ)は追放。
 苦労した者は評価されず、実績はないのにおべっかを言う者が重宝される。
 これでは部下の心は離れていく。
 家康(風間俊介)と光秀の仲を邪推して、告げ口したのも蘭丸だった。

 秀吉(佐々木蔵之介)は細川藤孝(眞島秀和)に言う。
「帝の御譲位は行き過ぎにございます」
 しかし、これは本心から言っているのか?
 藤孝は返事をしない。
 もし「そのとおりだ」と答えれば、信長に告げ口されるかもしれないと思っているからだ。
 不信が渦巻き、誰を信じていいかわからない。
 これもまた組織の崩壊の前兆だ。

 秀吉は「武士が嫌い」な男のようだ。
 このモチーフが最終回でどう描かれるのか?

 家康は光秀に領国統治の方法を尋ねた。
 どうやら家康は安寧をもたらす存在として描かれているようだ。
「私には信長様はまだまだ怖ろしいお方です」と語ったように距離感もある様子。
 安土城での宴で毒を盛られるかもしれなというエピソードは『おんな城主直虎』でも描かれていた。

 そして光秀。
『本能寺』への気持ちを今回は『闇に光る樹』として描かれた。
 月に行こうとして樹にのぼる信長。
 その樹を切り倒す光秀。
 いろいろ象徴的なイメージをつくって来るなあ。
 これが池端俊策流なのか。
 あと、光秀役の長谷川博己さん、ここ数回、目も剥いたりして狂気の表情を入れてるな。
「本能寺の変」が必ずしも理性な動機でおこなわれたものでないことを表現しているのだろうか?

 いずれにしても、さまざまな登場人物の想いが交錯して描かれる次回の『本能寺の変』は見事なドラマになりそうだ。
『本能寺』をここまで深く描き切った作品は他にはない。

コメント (4)
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