平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

「ブラジルから来た少年」~ミステリー・歴史・科学・オカルトがミックスされた壮大なプロット!

2023年07月19日 | 小説
 少し前の話題になるが、7月13日は「オカルトミステリー作品」の日らしい。
 オカルトミステリー作品として、真っ先に浮かんだのが、アイラ・レヴィンの『ブラジルから来た少年』だ。

 さて、作品内容は──

 舞台は南米パラグアイ。
 登場するのは元ナチスのヨーゼフ・メンゲレ。
 メンゲレは『双子の研究』などで有名な実在の遺伝学者だ。
『死の天使』と呼ばれ、アウシュビッツで人体実験を繰り返して来た。
 メンゲレはイスラエルのナチハンターから逃れ、パラグアイで生活している。

 そんなメンゲレは配下の元ナチにこんな指示を出す。
「世界各地で94名の男を殺せ」
「その男たちは1910〜1914年生まれで公務員。北欧系キリスト教を信仰している」
「妻は1933〜1937年生まれ」

 さて、こんな命令を出すメンゲレの意図は何だろう?
 主人公のナチハンターは94名の男のリストを手に入れ、メンゲレの意図を探っていく。
 そして、あっと驚く真相が披露される!

 ここから先はネタバレになるので、読みたい方だけお読みください。

 
 ※映画版はグレゴリー・ペックとローレンス・オリヴィエの豪華共演!
  グレゴリー・ペックがヨーゼフ・メンゲルを演じている。













 以下、真相。

 ナチハンターが尋ねたリストアップされた男たちの元を尋ねると、
 そこには、いずれも同じような顔をした『告発で青い目をした14歳の少年』がいた。
 この少年たちは何者なのか?
 実はメンゲレが作り出した『ヒトラーのクローン』なのだ。
 メンゲレの部下たちは養子斡旋所を通して、このクローンを一定の条件を満たした家庭に子供として入れた。
 その一定の条件とは、
・夫が1910〜1914年生まれの公務員であること。妻が1933〜1937年生まれであること。
・北欧系キリスト教の家庭であること。
 この条件は何かというと、ヒトラーが育ったのと同じ家庭環境なのだ。
 そして、ヒトラーの父親はヒトラーが14歳の時に死んでいる。
 だからメンゲレは部下に父親を殺害しろと命令した。
 つまりメンゲレは、ヒトラーと同じ環境でクローンを育てることにより、
『第2のヒトラー』を誕生させようとしたのだ!
 人の人格は『先天的なもの=遺伝』と『後天的なもの=社会環境・家庭環境など』で形成されると言われているが、メンゲレは後天的な条件も満たすことで『第2のヒトラー』を誕生させようとした。
 この計画が最終的に目指す所はナチス・ドイツの復活だ。

 さて、この真相をすごいと思うか? 荒唐無稽と思うか?
 僕はすごいと思うのだが、いかがでしょう?
 何しろ、この作品には「ミステリー」「歴史」「科学」「オカルト」がミックスされているのですから!
 こんな壮大なプロットの作品は滅多にない。

 アイラ・レヴィンの作品には他にも『ローズマリーの赤ちゃん』があるが、これもすごい!
 アイラ・レヴィンはもっと評価されていい作家だと思う。


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