六年間抱えていたまひろ(吉高由里子)の思いが爆発した。
まひろは道長(柄本佑)に言う。
「倒れたのはあなたの隣りに座っていた顔を見たからです。
わたしはあの顔を忘れません。
六年前母はあなたの兄に殺されました」
「わたしは三郎のことは恨まない。でも道兼のことは生涯呪う」
ここまでまひろは事実を語り、道兼(玉置玲央)への憎しみを叫んだ。
まひろの告白はさらに続く。
ここからがすごい。
作家はさらにまひろの心の中を掘り下げた。
「あの日、わたしが三郎に会いたいと思わなければ……。
あの時、わたしが走り出さなければ……。
道兼が馬から落ちなければ……母は殺されなかったの。
だから母上が死んだのはわたしのせいなの!」
まひろは自分に罪の意識を抱いていたんですね。
怒りの矛先は道兼や父(岸谷五朗)だけに向いていたわけではなかった。
自分自身も責めていた。
六年間、まひろは道兼や父への怒りを語っていたが、自分への怒りは押し隠していた。
これは身を引き裂かれる思いであったことだろう。
……………………………………………………………………
道長の反応も見応えがあった。
「右大臣藤原兼家の三男・道長だ」
「驚かせてしまってすまなかった」
「一族の罪を詫びる。許してくれ」
「俺はまひろの言うことを信じる。許してくれ」
「恨めばよい。呪うがよい」
短い台詞だが、的確に心に届く言葉を発している。
直秀(毎熊克哉)が「帰るのかよ」とツッコんだように、傷心のまひろをそのまま残していったのは女心をわかっていないと思うが……。
結局、まひろは道長ではなく、父の胸の中で泣いた。
道長はまひろを気づかうより、兄に対する怒りの方が大きかったようだ。
道兼を殴って叫ぶ。
「何だと! 虫けらはお前だ!」
道長、覚醒である。
これから道長は政治の道に入って行くのだろう。
まひろのような不幸な人間を増やさないために。
自分の生家の右大臣家を叩き潰すために。
……………………………………………………………………
藤原兼家(段田安則)はすごいな。
道兼を殴った道長を諫めることなく、
「道長にこのような熱き心があったとは知らなんだ。これでわが一族も安泰じゃ」
あの修羅場でこれを言えるとは……!
兼家は本当の悪党だ。
こんな兼家は、左大臣・関白を巻き込んで反花山天皇の派閥を結成。
左大臣家との関係を堅固なものにするために道長と○○○を結婚させるのだろう。
因果・因縁も描かれた。
まひろは三郎に会おうと思わなければ母を殺されることがなかった。
道長が道兼に「弱き者に乱暴を働く者は心小さき者」と言わなければ、
道兼はイライラしてまひろの母を殺害することはなかった。
まひろ、道長、道兼──とんでもない因果である。
まひろの母の死はすべて道長が起点になっていた。
ここまで描いてしまう脚本・大石静さんの筆は素晴しい。
さて、今回で「まひろと三郎のすれ違いの恋愛物語」は終了。
次回からは清少納言が登場するようだし、新たな展開が始まる。
まひろは道長(柄本佑)に言う。
「倒れたのはあなたの隣りに座っていた顔を見たからです。
わたしはあの顔を忘れません。
六年前母はあなたの兄に殺されました」
「わたしは三郎のことは恨まない。でも道兼のことは生涯呪う」
ここまでまひろは事実を語り、道兼(玉置玲央)への憎しみを叫んだ。
まひろの告白はさらに続く。
ここからがすごい。
作家はさらにまひろの心の中を掘り下げた。
「あの日、わたしが三郎に会いたいと思わなければ……。
あの時、わたしが走り出さなければ……。
道兼が馬から落ちなければ……母は殺されなかったの。
だから母上が死んだのはわたしのせいなの!」
まひろは自分に罪の意識を抱いていたんですね。
怒りの矛先は道兼や父(岸谷五朗)だけに向いていたわけではなかった。
自分自身も責めていた。
六年間、まひろは道兼や父への怒りを語っていたが、自分への怒りは押し隠していた。
これは身を引き裂かれる思いであったことだろう。
……………………………………………………………………
道長の反応も見応えがあった。
「右大臣藤原兼家の三男・道長だ」
「驚かせてしまってすまなかった」
「一族の罪を詫びる。許してくれ」
「俺はまひろの言うことを信じる。許してくれ」
「恨めばよい。呪うがよい」
短い台詞だが、的確に心に届く言葉を発している。
直秀(毎熊克哉)が「帰るのかよ」とツッコんだように、傷心のまひろをそのまま残していったのは女心をわかっていないと思うが……。
結局、まひろは道長ではなく、父の胸の中で泣いた。
道長はまひろを気づかうより、兄に対する怒りの方が大きかったようだ。
道兼を殴って叫ぶ。
「何だと! 虫けらはお前だ!」
道長、覚醒である。
これから道長は政治の道に入って行くのだろう。
まひろのような不幸な人間を増やさないために。
自分の生家の右大臣家を叩き潰すために。
……………………………………………………………………
藤原兼家(段田安則)はすごいな。
道兼を殴った道長を諫めることなく、
「道長にこのような熱き心があったとは知らなんだ。これでわが一族も安泰じゃ」
あの修羅場でこれを言えるとは……!
兼家は本当の悪党だ。
こんな兼家は、左大臣・関白を巻き込んで反花山天皇の派閥を結成。
左大臣家との関係を堅固なものにするために道長と○○○を結婚させるのだろう。
因果・因縁も描かれた。
まひろは三郎に会おうと思わなければ母を殺されることがなかった。
道長が道兼に「弱き者に乱暴を働く者は心小さき者」と言わなければ、
道兼はイライラしてまひろの母を殺害することはなかった。
まひろ、道長、道兼──とんでもない因果である。
まひろの母の死はすべて道長が起点になっていた。
ここまで描いてしまう脚本・大石静さんの筆は素晴しい。
さて、今回で「まひろと三郎のすれ違いの恋愛物語」は終了。
次回からは清少納言が登場するようだし、新たな展開が始まる。
史実において道長と紫式部との間に「男女の関係」があったという説もあるようですが、本作ではその説はとらないような気がしてきました。
一つのモデルとしては、「麒麟がくる」での光秀と駒とのような関係になるのかもしれません。
明智光秀は生涯側室をもたず、正妻(煕子)一筋だったという史実はよく知られていたのに、なぜヒロインが煕子ではないのかが不思議でした。
光秀と駒との間には、一時「初恋」の雰囲気があっても結局結ばれませんでした。
しかしながら、二人の間には一種のプラトニックな思いは続きました。
こうした「光秀・駒」モデルですと、まひろと倫子との関係もすんなりゆくように思います。
光秀・駒・煕子は三角関係にはなりませんでした。
むしろ、光秀一家が不遇な時期、駒が何かと助けになったことに対して煕子は駒に感謝していました。
同じように、まひろと倫子との関係も良好のままで行けるような気がします。
直秀の立ち位置が面白くなってきました。
彼は、貴族に対してはどちらかと言えば「アンチ」の立ち位置にある人間でしょう。
しかし成り行きで、まひろと道長との悲恋の唯一にして最大の理解者となってしまいました。
今後も彼は、あくまでも「道道の輩」、自由人であり続けることでしょう。
「戦国もの」の忍者は庭に跪いているのが常ですが、彼はまひろにも道長にも塀の屋根の上から見下ろすように「タメ口」で話しかけており、この点は今後道長が出世しても変わらないのではないかと思います。
おそらく直秀は、まひろ・道長に共通の「身分を超えた友人」となってゆくことでしょう。
ことによると、下級とは言え「貴族の姫」であるために制約されるまひろの行動範囲を補うべく、最上層から下層にいたるまで、すべての社会階層についての情報をまひろに教えてくれる存在となるのかもしれません。
いつもありがとうございます。
まひろと道長の関係はどうなっていくんでしょうね。
ここまで少女漫画のような世界を売りにしていたので、これを捨ててしまうのか?
『光る君へ』というタイトルをどう回収するのか?
ただ今回の道長のふるまいを見ると、まひろとの関係はプラトニックになりそうです。
でもオープニングの艶やかさを考えると……。
恋愛の名手と言われる脚本・大石静さんの手腕が楽しみです。
まひろのパートだけは朗らかで、道兼のこと以外、愛憎のドロドロは避けてほしいですよね。
直秀のことに関しては、いろいろ想像の膨らむキャラですよね。
個人的には道兼の事件を揉み消すために殺されたお供の息子ではないかと勝手に考えたりしています。
>直秀は、まひろ・道長に共通の「身分を超えた友人」
こうなりそうですよね!
実にいい立ち位置のキャラです。
毎熊克哉さん、「ゲスな夫」や「頭の堅い真面目すぎるサラリーマン」などの役をやって注目度ナンバーワンの役者さんですが、今作でもいい役をもらいましたよね。