平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

相棒 「この胸の高鳴りを」

2007年11月29日 | 推理・サスペンスドラマ
 第6話「この胸の高鳴りを」

 事件は人気ロックバンドのリーダーの絞殺。
 容疑者としてふたりの女性、夏生と可奈子が浮かぶ。

 今回はそんな事件を取り巻く4人の人間の心模様。
 それがきっちり描かれていていいドラマになっている。
 まずは……

★人気ロックバンドのリーダー・丹野(松田悟志)
 盗作。
 盗作したことで自分は人気者になったが、盗作されたかつての友人・福地(玉有洋一郎)は裏切られたショックで自殺。(事故?)
 丹野はその罪と作られた自分の虚像に悩み、女に溺れる。
 そんな荒んだ丹野を救ったのが女子大生の夏生(前田亜季)。
 夏生とつき合って丹野は変わった。
 ありのままの自分を知ってほいい。
 罪を背負ったままでは夏生と向き合えない。
 そう考えた彼は『盗作』そして、その他の曲もゴーストライターが書いていたことを発表しようとする。 

★福地の恋人・可奈子(大谷允保)
 自殺した福地の恋人・可奈子(大谷允保)は丹野のことが許せない。
 そして知った驚愕の事実。
 福地はドナー登録をしていて彼の心臓は今、夏生の中に。
 福地の心臓を持った夏生が丹野とつき合っている。
 加奈子は夏生に丹野の本当の姿を話し、つき合うのはやめろと言う。
 だが可奈子は信じられない。
 偶然、運命の悪戯とはいえ、加奈子にとっては衝撃であったろう。
 恋人の心臓を移植された女が憎むべき男の彼女。
 丹野はまたも自分の恋人の力(心臓)を使って幸せになろうとしている。
 これでは自殺した恋人が浮かばれない。
 悲痛。

★夏生(前田亜季)
 生きることが諦めだった彼女が心臓移植で希望に。
 恋人・丹野の出現で「世界は輝きだして」。
 しかし可奈子によって知らされる丹野の真実。

 丹野に惹かれたきっかけは丹野の歌う歌だった。
 その歌は心臓を与えてくれた福地の作った歌。
 夏生は可奈子に言われる。
「あなたが丹野の歌に惹かれたのは、あなたの中の福地の心臓が反応したから」

 引き裂かれる自己。
 自分の心臓が丹野への憎しみを叫んでいるように思える。
 丹野を愛する自分と憎むもうひとりの自分。
 面白い人物造型だ。

★そして犯人の心象

 以下、ネタバレ。

 犯人が丹野を殺した理由がひとつのドラマになっている。
 犯人は丹野のバンドの2作目以降を作っていたゴーストライター。
 夏生と出会って生まれ変わろうと思った丹野は自分の作品がすべて他人の作ったものであることを発表しようとした。
 ゴーストライターはそれが許せない。
 そんなことをしたらバンド人気はがた落ちだ。
 自分には華がないことがわかっているからゴーストライターをやっている。
 彼には丹野と共に頂点までのし上がろうと思っている。
 だから殺した。
 実にすっきりした動機だ。

★4本の絡まった糸をほぐしていく右京
 今回はこの様な4人の人間の心模様が交錯して生まれた事件。
 右京(水谷豊)はこれらの絡まった糸をほぐしていくのだが、糸の一本一本が見事なドラマになっている。



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