平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

「光る君へ」 第36回「待ち望まれた日」~中宮・彰子、帝に愛され、母となり、覚醒する!

2024年09月23日 | 大河ドラマ・時代劇
 これが平安時代の高貴な方の出産なのか。
 鳴り響く読経。物の怪が憑依して狂う女たち。邪気払いの米。
 面白い。これを見るだけでも価値がある。

 中宮・彰子(見上愛)はいい顔になった。
 帝に愛され、母になり、役目を果たして、すっかり自信がついた様子。
 解放された人の表情はイキイキとしていて美しい。
 着物も青系統の色になった。
 このことで彰子の心の変化を表わした。

 まひろ・藤式部(吉高由里子)に対しては絶大な信頼を寄せているようだ。
「そなたがおればよい」
「すべては藤式部の導きに拠るもの」
 藤式部の言葉はスポンジが水を吸い込むように彰子の中に入って来ている。
「瑕(=欠点)こそが人をその人たらしめるものでございますれば」
「帝がお喜びになるお顔を思い浮かべ下さいませ」
 そして藤式部から漢籍の帝王学を学ぶ。
 このことが後の彰子に繋がるのだろう。

 倫子(黒木華)はふたつの点でショックだろう。
 自分が出来なかった、彰子の心を開くことを藤式部は見事にやってのけた。
「すべては藤式部の導きに拠るもの」
 と娘に言われたことは母親として心穏やかではないだろう。
 そして敦成親王の五十日の儀でバレてしまった……。
 道長(柄本佑)の心の中にいた女性は、まひろ・藤式部だった!
 夫と娘を奪われた倫子の心の中や如何に……?
 大貴族として鷹揚に受け入れることはできるのか?
 これまでもバレる機会はいくつもあったが、まさかここでバラして来るとはなぁ。
 脚本の大石静さん、意地悪だ。

 清少納言(ファーストサマーウィカ)も心穏やかではない。
 帝が夢中になる物語を書いている女房がいる。
 結果、道長の勢力はますます強くなり、帝の心は定子(高畑充希)を忘れて彰子に傾き始めた。
 その物語を書いている女房はまひろだった。
「伊周さま、わたくしもその物語を読みとうございます」
 清少納言の反応や如何に?
 今回の表情を見ると、波風が立ちそうだなぁ。
 脚本の大石静さん、倫子といい、今まで築き上げて来た人間関係を壊し始めた?

 そして後継者争い。
 彰子に皇子が産まれたことで、敦康親王の立場が危うくなって来た。
 彰子は「子が産まれても親王様を裏切るようなことはいたしませぬ」と言っていたが……。
 道長は誕生を喜びつつも「皇子であったか……」と困惑していたが……。
 敦康をめぐる悲劇が起こりそうだ。

 彰子の覚醒と皇子の誕生という光を描きながら、同時に今後の影を描く。
 永遠に続くと思われた明るい満月に暗雲が立ち込める。
 上手い作劇だなぁ。


※追記
 五十日の儀での公卿たちの所業は『紫式部日記』に描かれているらしい。
 公任(町田啓太)に「若紫はおいでかな?」とからかわれて、
 紫式部が「ここに光る君のような殿御はおりませぬから若紫もおりませぬ」と答えたこと。
 実資(秋山竜次)が女房の衣の数を数えていたのは、当時、倹約令が出ていて
 贅沢をしていないかをチェックしていたから。
 泥酔していても仕事をしている実資さま!笑
 

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2 コメント

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もうひと山来る? (コウジ)
2024-09-24 07:48:49
TEPOさん

いつもありがとうございます。

確かに今が絶頂ですよね。
とはいえ、まだ10話くらいを残している36回。
次回は直秀を思わせる盗賊?など、新キャラクターが出て来るようですし、あと1回もうひと山作ってくるかもしれません。

ドラマは不安定な時が面白く、それが解決した時、カタルシスになるんですよね。
今までの不安定要素は「彰子」であり「源氏物語が認められるか否か」だったのですが、それが今回一応解決してカタルシスを得ました。
そして新たに出て来た不安定要素。
後半の展開に期待です。

賢子は道長の「御落胤」の設定が活きてきましたね。
近々、宮廷勤めが始まるようですが、母子の確執や如何に?
演じるのは南紗良さん。
「鎌倉殿」では頼朝の娘・大姫をやっていましたね。
僕は「ドラゴン桜」で注目したのですが、どんな芝居が見られるか楽しみです。
返信する
まひろの「絶頂」? (TEPO)
2024-09-23 15:29:13
今回をもって「本作最大の山場」は完成したようです。
今がまひろの人生にとっても「絶頂」なのかもしれません。

>まひろ・藤式部に対しては絶大な信頼を寄せているようだ。
このこと自体は結構なのですが、その信頼が「倫子を凌ぐ」となると危うさの暗示。

>脚本の大石静さん、倫子といい、今まで築き上げて来た人間関係を壊し始めた?
ご指摘の倫子、清少納言の他にも「まひろを快く思わない」成分についての示唆がいくつか。
まず、先週の「覗き見・左衞門の内侍」に代表されるように、同僚の女房たちの中にも「やっかみ」はありました。
それ以上に問題なのは、一時はその左衞門の内侍を窘めていた赤染衛門による最後の「詰問」。
赤染衛門はまひろの不遇時代から「倫子サロン」に迎え入れてくれており、先輩女房としてオリエンテーションもしてくれたいわば「庇護者」でした。
立ち位置的には「倫子様の代理人」でもあるわけで、その彼女の険しい表情にはかなり怖いものがあります。
以前コウジさんが書かれていたように、本作は文学中心で、まひろ自身の政治的浮沈にはあまり立ち入らないのかもしれません。
ということで今回の「詰問」も意外とあっさり済むのか、あるいは「修羅場」につながるのか、次回冒頭に注目です。

他に気になるのは「予告編」で真正面からまひろに対する反抗発言をしていた賢子。
Wikiレベルでの「史実」では、「18歳ごろ、母の後を継ぎ一条院の女院彰子(上東門院)に女房として出仕」とあり、やがて「親仁親王(後冷泉天皇)の乳母」となり、「後冷泉天皇の即位とともに従三位に昇叙」とあります。
つまり、母紫式部の「到達点」だった「彰子の女房」は賢子にとっては「出発点」であり、母よりもはるかに出世しているわけです。
もっとも、本作の設定では賢子は道長の「御落胤」なので、出世も当然と言えば当然なのかもしれません。
ただ、まひろとの母子関係、今後どのようになるのでしょうね。
結構後半でのドラマティックな展開の材料となるのかもしれません。
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