はなのちる ことやわびしき はるがすみ たつたのやまの うぐひすのこえ
花の散る ことやわびしき 春霞 たつたの山の 鶯の声
藤原後蔭
花の散るのがわびしくて鳴いているのだろうか。春霞が立つ、竜田の山の鶯の声は。
「たつ」は春霞が「立つ」と「竜」田の山との掛詞。竜田山は、今の大阪府と奈良県の境に位置したとされ、竜田川の流域にあって紅葉の美しさを多く詠まれています。
作者の藤原後蔭(ふじわらののちかげ)は俊蔭(としかげ)とも表記される平安時代前期の貴族にして歌人。古今和歌集への入集はこの一首のみです。