さくはなは ちくさながらに あだなれど たれかははるを うらみはてたる
咲く花は ちくさながらに あだなれど 誰かは春を うらみはてたる
藤原興風
咲く花はどんな種類のものも必ず散ってしまうけれども、それでも一体誰が春という季節を恨み通すことができようか。
散る花を惜しむ余り、その一瞬は春(晩春)という季節を恨めしく思いもするが、一年が巡ってまた春を迎える時季となれば、誰しもがまた花の咲くのを(したがって春という季節を)待ち望む気持ちになる。
作者の藤原興風は平安時代前期の歌人で三十六歌仙の一人。古今集には17首と多くの歌が入集しています。中でも、百人一首にも採られた 0909 の歌はおなじみですね。
たれをかも しるひとにせむ たかさごの まつもむかしの ともならなくに
誰をかも 知る人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに