はるののに わかなつまむと きしものを ちりかふはなに みちはまどひぬ
春の野に わかなつまむと 来しものを 散りかふ花に 道はまどひぬ
紀貫之
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春の野に若菜を摘もうとやってきたのに、散り交う花で道がわからなくなってしまった。
若菜を摘むのは初春である一方、道がわからなくなるほど花が散るのは晩春ですから、時季が合いません。想像上の風景を歌ったものか、あるいは若菜摘みの季節に降る雪を落花に見立ててのものでしょうか。
万葉集に採録された 山部赤人 の歌
春の野に すみれ摘みにと 来しわれそ 野をなつかしみ 一夜寝にける
を踏まえています。