漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0118

2020-02-25 19:42:09 | 古今和歌集

ふくかぜと たにのみづとし なかりせば みやまがくれの はなをみましや

吹く風と 谷の水とし なかりせば 深山がくれの 花を見ましや


紀貫之

 吹く風と谷の水がなかったならば、深い山に隠れて咲く花をどうして見ることができようか。

 深い山の中に咲く、普通なら目にすることがない花も、散った花びらが吹く風や谷からの水の流れに運ばれることで見ることができる、ということですね。風に散る花びらを見て、遠くの山から風で運ばれてきたとはなかなか思わない(感じられない)だろうと私などは思います。歌合せで詠まれた歌とのことですので、実際の風景ではなく空想上の歌なのかもしれません。