まつひとも こぬものゆゑに うぐひすの なきつるはなを おりてけるかな
待つ人も こぬものゆゑに 鶯の 鳴きつる花を 折りてけるかな
よみ人知らず
待ち人も来ないのに、鶯が鳴いている花の枝を折ってしまった。そんなことをしても、見てくれる人もいないのに。
「ゆゑに」は、現代では「~なので」と順接の意味にしか用いませんが、古語では「~なのに」と逆説の意味もあり、この歌ではどちらで解釈しても意味が通ります(順接に捉えれば、待ち人が来ないからせめて花の枝を折って手元に置き、無聊をなぐさめたという歌になります)。皆さんはどちらだと感じられるでしょうか。
さて、昨年秋から続けてきた一日一首の古今和歌集。ようやく100番までたどりつきました。残り 1,000首 とまだまだ先は長いですが、無理せず急がず続けていきたいと思います。気が向かれた際には、どうぞお付き合いください。