をしむらむ ひとのこころを しらぬまに あきのしぐれと みぞふりにける
惜しむらむ 人の心を 知らぬまに 秋の時雨と 身ぞふりにける
兼覧王
別れを惜しんでくださるというあなた様のお気持ちも知らないまま、秋の時雨が降り、私の身も年老いてしまったことだ。
0397 の貫之歌に対する返し。「ふり」は時雨が「降る」とわが身が「古る」の掛詞になっています。しばしば用いられる手法ですね。
兼覧王(かねみのおほきみ)は第55代文徳天皇の皇孫で、0237、0298 に続いて3度目の登場。このあと、さらに二首が採録されています。
今日から12月。コロナ騒ぎに明け暮れた1年ですが、まだまだ収束の気配は見えないですね。来年は穏やかで落ち着いた年になってほしいものです。