みやこいでて けふみかのはら いずみがは かはかぜさむし ころもかせやま
都出でて 今日みかの原 泉川 川風寒し 衣かせ山
よみ人知らず
都を出発して今日で三日、みかの原の泉川にいると川風が寒い。鹿背山よ、衣を貸しておくれ。
「みか」は「三日」と「みか(の原)」、「かせ」は「貸せ」と「鹿背(山)」の掛詞になっています。みかの原・泉川・鹿背山は京都南部に位置していて、中でも泉川は多く歌に詠まれた歌枕ですね。みかの原と併せ詠まれたものとしては、百人一首(27番)にも採録された次の歌が良く知られています。(新古今和歌集・996)
みかのはら わきてながるる いずみがは いつみきとてか こひしかるらむ
みかの原 わきて流るる 泉川 いつ見きとてか 恋しかるらむ
藤原兼輔